第28話「大漁!」
「あー……腹減ったー」
『はいはい』
マージで腹減ったー……。
「めしー」
『はいはい』
ミユちゃん~。
5番~。
『……物欲しそうに見ないでよ。おじいさん、アタシはもう食べたでしょ』
誰がおじいさんか。
「や、お腹空いてさ……。ちょっと齧っていい?」
ワンチャン、ゴーストもいけるかも!
『ぎゃー! 噛むな噛むな!! アンタの口のなか怖いんだから!』
「あー。ダメだ歯ごたえないや」
なんなら味もしねー。
匂いもしないし、感触もねーわ。
『やめーや! 結構なトラウマなんだからー!』
「知らんわ。味もねぇ、匂いもしないし、感触もねーとか、え? なに、君? なんで存在しての?」
生きてる意味なくね?
あ、死んでるか。
『うーわ。存在そのものをディスってきたー。相変わらず、さいってー』
「じゃー、どっかいけや」
『やーよ。アンタが飢えて死ぬところと苦しむところを、ずっと見ててやるんだからねー。あははー』
げー。
ヤなやつー。
「……今度、神官でも来たらお祓いしてもらおー」
『どーせ食う癖に』
うん。
それはそう。
「つーか、どーなってんの? 人、全ッ然来なくね?!」
『そりゃそうでしょ──アンタが根こそぎ食べてるんだから』
えー!
そうならないように一人残らず食べてるんじゃーん!!
「何のために生かして帰してないと思ってんの?!」
『いや、むしろそれが原因でしょ……。正体不明で、わけもわからない何かがいて、誰一人帰ってこない素人向けダンジョンって、どうなのよ?』
む?
むー。
「──行く意味ないね」
『そういうこと』
…………がー!!
そういうことかー!!
「た、確かに、難易度バカ高で、全然美味しくない狩り場で、経験値稼ぎする奴なんていないわなー! 効率悪すぎだもん」
『ん、うん。……え? なんて──』
や。
言ってて「私」も良く変わらん。
『ま、まぁそういうこと──自業自得よ』
「えー。でも、前まで捜索隊とか来てたじゃん。あれは?」
そして、捜索隊が捜索隊を呼んで、
餌が餌を呼ぶ夢の人生は?!
──……あ、箱生かな? 人じゃないし。
『バーカ。そんなにBランクがホイホイいるわけないでしょ。ウチのギルドに至ってはCランクが最高! 前に言ったでしょ!』
Cランク?
「あー。ジナちゃんのとこね。……ジュルリ」
「思い出して、涎たらすな。もう食べたでしょ──!」
うん。
あ、もしかしてストレージに欠片残ってるかも。
ちょっとずつ食べたし──……あ、マジであった。
『……ちょっと、何齧ってんの?』
「ストレージ奥に合ったお肉。……多分ジナちゃんかな。──ん」
美味しいね。
「見せんな見せんな……あーあー。ジナさん、こんなんになっちゃって」
こんなんいうなや!
ジナちゃんは、いつまでたってもジナちゃんだよ。
マジうめー。
さすが3番。
『っていうか、なんで腐ってないの? お願いだから、せめてキッチリと土に返してあげてよ』
「知らないよー」
そも食べた人って土に還るのか?
死んだことないからわからんし──死んでるミユちゃんが還ってないから、還らないんじゃない?
そもそも、排泄したことねーし。
「んー、多分だけど、ストレージになんか物を入れると、時間が停まるみたい。おかげで腐らないのがいいねー」
『腐ってよー……』
やだよ。
臭いじゃん。……臭いのかな?
「案外、腐っても美味いのかも? なんかこう……──熟成的な? 今度やってみよ」
『やめて……』
物は試しだよ。
捕まえて、吊るしとけば腐るかな? あ、それは乾燥か。
「そも、陰干しするには、ある程度の広さと換気……。それと熱源と水分を抜くための排水かな」
熱源は松明とかの家具を買えばいけるな。
あとは、塩とかあれば簡単なんだろうけど、そんなのないし──……ふむ。
『うわ、マージでやる気だよ、コイツ……。次にきた冒険者が哀れだわー』
いやいや、なんのなんの。
「美味しく食べるためだよ。ほら、命に対する敬意的な」
『一個もねーよ。冒涜だよ』
そーかなー?
「少なくとも、意味なく殺すより良くね?」
こうして、ダンジョンのポイントとして生きていくわけだし、なにより美味しい。
……よし、熟成冒険者やってみるか。
「ま、それ以前に冒険者がこねーけどねー」
『幸いよ。そのまま死ね』
そんな殺生な────…………ん?
「ん、んんん?」
『な、なによ?──や、やる気?!』
いや、そうじゃなくて。なんか今感じたような?
急にギョロリと目を動かした「私」を警戒してか、
シュッシュ! と意味のないシャドーボクシングを始めたゴースト(?)化ミユちゃんを無視して、五感を研ぎ澄ましてみる。
うん。
確かになんか感じた──今までにない雰囲気のそれ。
近いというか、
感知に引っかかったというか────………………あ、これってまさか!!
「ジュルリ」
『げ……。また涎──はっ。ま、まさか!』
うん。
そのまさか。
しかもこれは────……。
「大量だね……♪」
あはは、なんてこった。
数十匹規模の餌がきたーーーーーーーーー♪




