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第26話「隠し部屋構造」

 パパーン♪


「──というわけで完成しました~♪」


 いえー。

 ドンドンパフパフ~♪……これ、なんの音?


『それさー、完成、完成って昨日から何回言ってるの?』

 え?

「そりゃ何回でも言いますよー」


 なにせ、よーうやく完成したからねー。

 いやー。凝った凝った! 凝りまくったよー。


 10日も掛けたからね!


 ポイントも使いまくり~の、

 ドロップ品も大盤振る舞い~の、

 地形も弄りまくり~の、完璧な作りとなりましたー!


「──えーまずはこちら! 一見して普通の部屋に見えますが、」

『えー……? マジでまたやるのー?』


 うっさいな。

 いやならどっか行けよ。


「パパーン! こちら、5×5の部屋ですが、なんと、休憩ポイント風にしてみました!」


 ダンジョン内にいくつかあるというセーフポイント。

 そこは魔物が入らず、安全安心に過ごせる部屋とのもっぱらの噂だ。……まぁ、噂の出どころは今のところ、5番の味わいのミユちゃんですけどね。


『いやいや、ダンジョンにこんな休憩ポイントないっつーの! あと、セーフポイントはもっと清浄な感じだから』

「やー。実物みてないから想像想像」


 あ、休憩ポイントっていっても、「ご休憩所」じゃないですよー。へへへ。


 ……ご休憩所ってなに?


『あと、シレっと人の顔みて、味を想像しなかった?』

「5番だね」

『また下がってる?! え、だれ?』


 や。誰って……。

 え? なに、君って美味しく食べられたい性癖もち?


 ……それはさすがに引くわー。


「チビ、坊主(破戒僧)、ジナちゃん、優男──からの越えられない壁でミユちゃんかな」

 指折り数える。

 ……指ないけど。

『チビに坊主って……、それマールさんとボルツさんね!! あと、バイナルさん!』


 いや、名前で言われてもなー。


『あと、いつの間にかボルツさんが二番?! え? マッチョなのに?!』

「味は良かったよ、硬さも乙なもんだよ」


 やっぱ魔力の質なんだよねー。

 攻撃魔法系が、なんか美味しい気がする。でも、あの坊主の回復魔法もまた美味いんだよねー。


『……忍者の人たちは?』

「あれは別枠──別腹かな?」


 ただ、単純にミユちゃんたちと同列に並べるものじゃないね。

 こう……珍味枠、みたいな?


『えー。わかんない』

「わかってどうするの?……え、食べるの?」


 それはさすがにドン引きだわー。


『食べるか! お前の弱点探ってんのよ!』

「や。いっぱいあるよ? そこに味覚は関係なくない?」


 そりゃ、不味いモン食べたら吐く自信あるけどさー。

 今のところ、人間は美味い。色んな味があって、皆いい!……ミユちゃんは不動の5番だよ?


『味覚も大事なの!──しかし、いっぱいもあったっけ?』

「あるある。言ってみ、正解なら正解て言うし」


 どうせ誰でも気づくことだしねー。


『えー。なんだろ……。動けないとか?』

「うん。それ一番でかいね。……動けないモンスターなんて、ただの(まと)だよ、的」


 まー。その(まと)に皆パカパカやられてるけどねー。

 あっはっはー。


『あとは──食いしん坊?』

「間違いじゃないけど、それはあんまし関係ないかなー。食べなくても大丈夫っぽいし」

『じゃー食うなよ!』


 やだよ。

 美味いもん。


『ちっ。……他にある?』

「あるある。それだけしか思いつかないなら、君はその程度」


 だから食われる。

 それで5番になる──まだまだだね。


『むー! なんかムカツクー』

「むかついて結構。そのまま、家出しなー」


 ここが家か知らんけど。


 つーか、マジで一個しか思いつかないもんかねー?

 「私」が逆の立場ならいくらでも対策思いつくなー。


 例えば攻撃の制約。

 武器こそあれど、基本は近接攻撃のみだ。重装備で取り囲み、遠間から攻撃すればいい。


 ほかに、耐久力の問題もある。

 魔法の攻撃には耐えれないし、耐性もないので、前衛が仕事をして、魔法使いがしっかり働けばそれで勝ちだ。


 あとは、待ち伏せ専門だからね。

 逆に奇襲するという手もある。例をあげるなら、忍者がやったみたいに、気付かれずに接近し、初っ端から遠距離攻撃。

 悠長に宝箱を見て調べるんじゃなくて、それこそ宝箱=見敵必殺をされたら、太刀打ちできない。


 もっというなら、犠牲覚悟で数で押されると詰む。


 食いつきも舌撃も強いっちゃ強いけど、しっかり距離をとるなり、攻撃角度を考えて攻めればいくらでも戦える。

 なにせ、こちとら箱の形状をしているんだから、背後からも横からも反撃できないんだもんねー。まぁ、そうならないように配置はするけどさ。


 ──ってな感じでいくらでも思いつくなー。


 ま、ミミック側視点もあるから、普通の人間にはわからないかな?


『────だめ、思いつかない』

「じゃ、そのままだね。君は一生勝てないよー」


 もう、一も生もないけどね。


『くっそー! ギブ&テイクでしょ! 教えなさいよー』

「君になんかテイクしてもらったっけー?」


 こっちが与えてばかりじゃなーい?

 あ、お肉は美味しかったよ? 骨も。内臓もー。


『くっ。人のこと食べときながら……』 

「はいはい。じゃー、そのセーフポイントとやらについて詳しく教えてよー」


 休憩所っぽく作ったけど、

 これじゃ片手落ちなんだよー。


『やーよ。絶対悪用するじゃん』

「うん」


 する。


 だってその方が、この「ミミックが考えたなんちゃって休憩ポイント~♪」より、絶対本家本元のセーフポイントのほうが食いつきがいいはず。間抜けがホイホイ引っかかってくれそう。


『だ・か・ら、教えないのー!……まぁ、ここもそれなり居心地は良さそうだけどねー』

「でっしょー!」


 5×5のマスをフルで活用して、整えたからねー。


「みてよ、このテーブル。そして、椅子!」

『──まーた、始まった……』


 何度でも言いますよー!


「そして、この給水所──これ、高かったんだー」


 壁に設置された、チョロチョロとライオンを模した像の口から洩れる新鮮な水が水盆に(たた)えられている。

 そして、あふれた分は、何処(いずこ)かへ続く排水溝に流れていくのだ……。


「どーよぉ」


 やっぱ休憩ポイントっていったら水だよね。水!

 給水大事。


『はー……。こんなんまで買えるとか、とんだモンスターだわ』

「それは思う」


 そして、給水所のまわりには石の椅子と石の丸テーブル。あと、部屋には焚火ができる簡易竈も作っておいた。

 その辺は安いので、ちょっと質のいいのを買ってみましたー。


「本当は、酒場とかバー風にしようと思ったんだけど、さすがに違和感だよね」

『それはそう』


 うん。

 なので、公園にある東屋風というか、貴族の庭園風というか──……まぁそんな感じをイメージしてみた。


『で、壁には棚を2、3個ほど置いて、今までのドロップ品をいくつか並べるっと──』

「そそ。ミユちゃんも完ぺきに覚えたー」

『あんだけ、毎日毎日自慢されてたら覚えるわよっ!……でも、いいの? この装備。アンタなら腹のストレージにしまいそうだけど?』


 あん?

 飾ってるドロップ品のこと?


「全然いいよー。それ、持っていかれてもいいやつばっかだし、本命はまた別だし」


 ポーションとか、薬草とか、

 あと、冒険者諸君が身に着けていた服とか、そんなの「私」が持っててもしょうがないので、血を洗って丁寧に畳んで棚に置いておいた。


 うん、こうしてみれば、一見してお店の陳列棚にも見えるね。


「あとは、()に対する警戒心をほぐすため、ポイントで買った空箱をいくつか壁際に置いとくのん」

『空箱……。そりゃ開けたらガッカリねー』


 まーね。

 でも、それはそれでありなのよねー。


「ほら。やっぱ、ダンジョンの中に置いてある箱とかって、中身を見たくなるじゃん?」

『……ちょっと分かる』


 だよね。


「だから敢えて空箱。まー、アイテムいれてもいいんだけど、好奇心を刺激するのが目的だからね」

 冒険者に稼がせるのが主目的ではないのだ!


「さらには、同じくポイントで買ったタペストリーを、棚のない壁の要所要所に吊るしておく。……さすがに棚だけだと殺風景だしねー」


 (いろど)り大事。


『んー……たしかに腹立つけど、こうしてみると、ダンジョンにあるという点を除けば、休憩所ッぽく見えるわねー』

「でしょ〜?」


 チラチラっ。


『……はいはい。言ってほしんでしょー。──じゃーアンタはどこにいるのよ? こんなとこに宝箱って目立つんじゃな~い?!』


 ちょっとヤケクソ気味だけどまぁいいか。


「よっくぞ聞いてくれました、ミユちゃん! それこそが今回の肝──……!」



 ダラララララ──ディン♪



「──はい、こちらご覧くださいーい」


 箱のふたを閉めてお辞儀の振り。

 その視線の先にはなんと。

 

『わー。なんだろうこの沢山のタペストリー。なぜか、ひとつだけボロボロだー』


 うわ、棒読みー。

 まぁええけど。


「その通ーーり! この5×5の部屋には棚と壁の間にタペストリーが飾りとして吊るしてあってるのですが──おぉ、なんということでしょうー♪」


『うわーなんだろうー……』


 そう!


 建築モードの家具購入で買える品のなかには、「普通のタペストリー」と「ボロボロのタペストリー」があったので、両方購入。


 使うのは主に普通のタペストリーだけど、一か所だけボロボロの奴を使用してみました。


 すると何ということでしょう~。


「おやおやー?? この一見してボロボロでなんの変哲もないタペストリーですが……な、なんと。布の隙間からなにやら光がチラチラとー!」


 そう。

 ここからがマジで(きも)なのだ!


 そして、そのためにこの部屋の照明は色々工夫して、この先に繋げている。


「や、やや! どうしたことだー! このタペストリーの奥に通路のようなものが見えるぞー」

『わー。きっと隠し通路だー』


 YESその通り!

 今回の建築で一番気を使ったのがこの先だ。


 そう! 

 ついに増築してみたのです!


 増築・拡張は、1×1で100ポイントも使うけど、もとの部屋を掘り進めることができるとんでも機能なのだ。

 そこまでして、わざわざ高値でダンジョンの壁に穴をあけてまで拡張し──この部屋を作ったわけです!


 いやー苦労したわー。

 そして、見てほしいのがこの先。


『せまーい、あやしー』

「でしょー」


 相変わらず棒読みのミユちゃんガン無視で──。


 怪しい照明の灯った通路が長く続く。

 もっとも距離は10マス程度なんだけどねー。


 そこを、

 ミユちゃんはゴースト移動でフワフワ追従し、「私」は建築モードの配置で動きつつ、中を見ていくと、



  じゃ~ん!



「──そして、ここが「私」の部屋でーす!」


 なんとなんと、1×1の通路を10個ほど繋げて長めの廊下を作り、その先にまた部屋を作りました!

 そのサイズ、なんと3×3! 結構大きい!!


 いやー、これぞ、いわゆる隠し部屋!

 男のロマンでーす!……男かどうか知らんけど。


『ひろーい! 素敵ー』


 うんうん!

 そうだろうそうだろう。


 なにせ、この部屋には基本「私」しかないからね。

 なので、代わりに壁際に今まで回収したドロップ品の武器なんかを綺麗にずら〜っと並べました──!


「すると、どうでしょう! なんと、隠し通路の奥には宝箱とたくさんの武器防具にアイテムが!」

『宝の部屋みたーい』

「でしょー!」


 あと、この隠し通路と隠し部屋の照明には魔力灯とかいう、光の魔石とかいうので明るさを保つ──ちょっとお高めの明かりをつけています。


 ……さすがに隠し通路に松明とかランタンはないしねー。


「──という感じでーす。他にも細々とあるけど、だいたいこんな感じかな」

『はいはい、聞き飽きた、聞き飽きた。スゴイスゴイ。……しっかし、アンタ魔物のくせやなよくこんなの考えつくわね』


 だよねー。

 我ながらナイスアイデアだわ。


『うーん、ダンジョンの中に安全地帯……。そして、棚や箱を漁っていると、破れたタペストリーの奥に……隠し通路と宝箱かー。こりゃ、アタシなら引っかかってるわ』

「だろうね」


 そう言う心理をついた部屋だからね。

 そして、ま~~~~~さか、隠し通路の奥の隠し部屋にミミックがいるとは思うまい!


 ──くっくっく。


 それが狙い目よ!


 それに、これは防御も兼ねている。

 以前の忍者戦で懲りたのもあるけど、これだけ奥なら奇襲攻撃を受けることはまぁないだろうと思う。

 いくら魔法が強かろうが、爆弾が高威力だろうが、ローグが優秀だろうが、この長〜い通路を超えてこなければならいという鬼畜仕様だ。


 オマケに無事に通路を抜けた先には、「私」──勝確だ。


 まぁ、ちょっと狭いのが玉に瑕だけど、そのほうがそれっぽいし、宝物庫っぽいよね。


 なによりこの狭さが肝だ。


 3×3ですよー。


 奇襲し放題です。

 隙だらけです。


 通路を抜けてきたのがソロなら、即捕食。

 パーティでも長通路なら、そう簡単に全員が部屋に展開できないし、出来たとしてもそれまでにできる隙がいかほどか。……そんなの見逃しませんよ。


 食べちゃいますよー。

 ぜ~~んぶ、食べちゃいますよー。


「あっはっはー!」

『まー。笑ってるとこ悪いんだけどさ。せっかく作ったのに、使えてなくない?』



 ……それな。

 最近、マジでだ~~~~れも来ないのだ。



「おかげで腹減ったわー……保存食も、もうないし」

 10匹……ごほん、

 10人くらいストレージに保管してたのになー。

『保存食いうなし』


「だって、せっかく……せ~~~~っかく、苦労して作ったのに、最近だ~~~~れも、来ないんだもん」


 そら、保存食も食い尽くすわ!

 一応、3日ほど前に、ソロで来た新人ポイ男の子がいたけど、それだけ。

 腹の足しにもならんかったわ。食ったけど。


 ……ま、ここのテストにはなったけどねー。


「はー……。こう、ドカッ! と、大量に捕まえらんないかなー」


 若くてピチピチで、

 魔力たっぷりの美味しい餌とかがさー。






「あー。人間食べたい」

『しね』 

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