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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第81話 空白地帯

 依頼書は、簡素だった。


『西方外縁部にて境界発生頻度上昇。

 管理装置、反応せず。

 現地確認求む』


 それだけだ。


「反応しない?」


 リーファが、眉をひそめる。


「故障ではないらしい」

 ロイドは、腕を組んだまま答える。

「設置は正常。周辺の街では稼働している」


「そこだけ?」


「ああ」


 空白地帯。


 境界管理網の、端。

 装置の設置は最低限。

 技師の常駐もない。


「優先順位の低い区域か」


「言い方は悪いが、そうだ」


 ギルド内の空気が、わずかに重くなる。


 管理が前提になった世界で、

 “反応しない場所”が出る。


 それは、想定の外だ。


「……行く」


 短く告げると、

 ロイドがこちらを見る。


「判断を、戻す気か?」


「違う」


「様子を見る」


 それだけ言って、

 依頼書を手に取った。


 ――――


 西方外縁部。


 街道は細く、

 人の往来も少ない。


 管理装置は設置されている。

 だが、光は灯っていない。


「……本当に反応してない」


 同行した若手技師が、結晶を叩く。


「装置は正常です」

「信号も出ている」

「なのに、境界に干渉しない」


 少し離れた場所で、

 境界が揺れている。


 小規模だ。

 だが、確かに存在する。


「放置すれば、どうなる」


「拡大する可能性は低い」

「ですが、ゼロではありません」


 その言い回しが、

 管理前提の世界を感じさせる。


 拡大する“可能性”。

 数値化された不安。


 だが――

 ここでは、装置が通じない。


「誰が判断するんですか」


 ミレナが、思わず口にする。


 沈黙が落ちる。


 管理があれば、

 基準がある。

 責任の所在も明確だ。


 だが今は――ない。


 全員の視線が、

 無意識にアレンへ向く。


「……俺を見るな」


 静かに言う。


「決めるのは、現場だ」


「でも……!」


「装置は、動かない」

「だから、装置のない世界に戻るだけだ」


 それは、

 かつて当たり前だった世界。


 だが、今は違う。


 管理に慣れた世代にとって、

 それは“空白”だ。


 境界が、わずかに揺れる。


 風が止まり、

 鳥の声も消える。


 判断が、宙に浮く。


 踏むか。

 待つか。

 避難させるか。


 正解はない。


「……これが」


 若い技師が、呟く。


「管理の外……」


 アレンは、境界から目を離さない。


 管理が悪いわけじゃない。

 便利さが間違いでもない。


 だが、

 世界は――管理だけでは覆えない。


 空白地帯。


 そこは、

 制度が届かない場所ではなく、


 **選択が、むき出しになる場所**だった。


 境界が、もう一度揺れる。


 今度は、少しだけ強く。


 第四章は、

 この揺れとともに、始まった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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