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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第31話 要請

 王都からの使者が到着したのは、その日の昼だった。


 街の門前に現れたのは、

 魔術局の高官と、王家の紋章を付けた護衛。


 周囲が、ざわつく。


「……王都から?」

「まさか……」


 ロイドが、低く息を吐いた。


「来ると思ってたが」

「早いな」


 応接室に通され、

 俺は使者たちと向かい合った。


 空気は、重い。


 形式ばった挨拶のあと、

 魔術局の高官が口を開く。


「アレン・フェルド殿」


 ――殿、か。


「今回の地脈異変について」

「王都として、正式に協力を要請したい」


 書状が、机に置かれる。


 封蝋付き。

 王家名義。


「条件は、王都主導」

「指揮権は、魔術局が持つ」


 つまり。


 俺は、使われる側に戻れということだ。


 俺は、書状を見ただけで、触れなかった。


「……お断りします」


 即答だった。


 高官の顔が、引きつる。


「理由を、お聞かせ願えますか」


 俺は、ゆっくりと顔を上げる。


「理由は、一つです」


 静かに、だがはっきり言う。


「俺を追放したのは、あなたたちだ」


 空気が、張り詰める。


「当時」

「俺の力を測ろうともしなかった」


「今になって」

「都合が悪くなったから、協力しろ?」


 淡々と続ける。


「それは、要請じゃない」

「命令です」


 高官が、言葉に詰まる。


「……しかし」

「これは、王国全体の危機だ」


「ええ」


 俺は、頷いた。


「だからこそ」

「指示される理由がない」


 沈黙。


 重い沈黙。


 やがて、高官は深く息を吐き――

 椅子から立ち上がった。


 そして。


 頭を下げた。


「……失礼を承知で、申し上げます」


「当時の判断は」

「誤りでした」


 その言葉に、周囲が息を呑む。


「測定制度の欠陥」

「現場の慢心」

「すべて、王都の責任です」


 顔を上げ、続ける。


「どうか」

「力を、お貸しください」


 ――ここが、分岐点だ。


 俺は、すぐには答えなかった。


 視線の先には、

 窓の外で待つ辺境の人々。


 俺を信じて、ここまで来た人たち。


「……条件があります」


 俺は、静かに言った。


 高官が、顔を上げる。


「王都のためには、動きません」


 一瞬、理解できない顔。


「俺が動く理由は」

「辺境と、ここにいる人たちです」


 言葉を、はっきりと刻む。


「指揮権は、俺が持つ」

「王都は、口出ししない」


「それが、受け入れられるなら」

「協力します」


 沈黙。


 長い沈黙のあと――

 高官は、再び頭を下げた。


「……承知しました」


 敗北宣言だった。


 応接室を出ると、

 ロイドが小さく笑った。


「……完全に、立場が逆だな」


「立場じゃありません」


 俺は、首を振る。


「選択です」


 外に出る。


 辺境の空は、今日も広い。


 追放された無能魔術師は、

 この日――


 命令される存在ではなく、

 選ばれる存在になった。


 そして。


 最後の異変は、

 ついに解決へ向けて動き出した。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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