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追放された無能魔術師、実は全属性適性だったので辺境で最強になります  作者: 蒼月アルト


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第13話 格の違い

 ギルドに戻ってから、空気が少し変わった。


 視線が、刺さる。

 敵意というより――探るような視線だ。


(……噂が回るの、早いな)


 初依頼を異常な速さで終えた新人。

 しかも、測定器を壊した張本人。


 目立たない方が難しい。


「……なあ」


 背後から、低い声がかかった。


 振り返ると、三人組の冒険者が立っている。

 装備はそこそこ。

 だが、使い込まれているというより、見せびらかすためのものだ。


「新人」

「さっきの依頼、本当に一人でやったのか?」


「一人ではありません」

「彼女と一緒に」


 リーファを示す。


 男たちは、ちらりと彼女を見て、鼻で笑った。


「エルフのガキ連れで?」

「冗談きついな」


 リーファの肩が、わずかに揺れる。


 俺は、一歩前に出た。


「事実です」

「それ以上でも、それ以下でもありません」


「……生意気だな」


 男の一人が、俺の胸ぐらに手を伸ばしかける。


 ――その瞬間。


 空気が、重くなった。


 俺は、何もしていない。

 ただ、魔力を“ほんの少し”漏らしただけだ。


「……っ?」


 男の動きが、止まる。


「な、なんだ……?」

「急に、身体が……」


 三人とも、顔色が変わっている。

 膝が、震えていた。


(……効きすぎたか)


 俺は、すぐに魔力を引く。


 空気が、元に戻る。


「……今の、何だ?」


「威圧、みたいなもんです」

「攻撃じゃありません」


 事実だ。


 もし攻撃していたら、

 彼らは今、立っていない。


「ここは、冒険者ギルドです」

「実力で語る場所のはずでしょう」


 男たちは、言葉を失っていた。


 そこへ。


「――そこまでにしてください」


 落ち着いた声が、割って入る。


 傷だらけの鎧を着た男。

 以前、忠告をしてきた冒険者だ。


「新人に絡むのは、みっともないぞ」


「ガ、ガルムさん……」


 どうやら、Bランクらしい。


 ガルムは、俺を見る。


「……お前」

「相当、抑えてるな」


「……そう見えますか」


「見えるとも」


 彼は、口の端を上げた。


「今のは“威圧”じゃない」

「力の差を、理解させただけだ」


 周囲が、静まり返る。


 男たちは、何も言えず、後ずさった。


「……悪かった」


 それだけ言って、去っていく。


 リーファが、ほっと息を吐いた。


「……怖かったです」


「悪い」

「俺の配慮が足りなかった」


 だが、必要なことでもあった。


 舐められ続ければ、面倒が増える。


「……お前」

 ガルムが、俺に声をかける。


「名前は?」


「アレンです」


「そうか」

「覚えておく」


 それだけ言い、背を向けた。


 だが、その背中は――

 もう“新人を見るもの”ではなかった。


 ギルド内のざわめきが、戻る。


「……今の見たか?」

「触れてもいないのに……」


 リーファが、小さく言った。


「……もう、完全に目立ちましたね」


「だな」

「でも――」


 俺は、掲示板を見る。


「これで、遠慮はいらない」


 追放された無能魔術師は、

 この日、ギルド内での立場を確立した。


 ――もう、誰も軽く扱わない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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