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第二話

それから、しばらくして、三月十四日、ホワイトデー。


「ついに来たわよ。私の女子力の高さを証明する日が!」


 弥生さんは興奮を隠せないようで、語尾に!マークがついている。そして、弥生さんは僕を強い視線で凝視した。僕というよりも僕の持っているモノに対してだ。


「さあ、遠慮しなくてもいいのよ。今日の私は男子に対して心を開いているから」


 そう言って、弥生さんは僕に手を差し出した。僕は困惑したのだが、そのとき、僕は彼女の後ろに立つ存在に気づいた。僕は彼女に向かって歩み出した。彼女と言っても弥生さんではなく、その後ろの女性である。


「ありがとうございます。私、うれしいです。バレンタインのお返しが頂けて・・・」


 僕がプレゼントを渡すと二月の擬人化した女性如月さんは最高の笑顔で受け取ってくれた。


「ちょい待ち!!何で、ここで、如月さんが出てくるわけ?今日の主役は私でしょう?私がもらうのが正しいでしょう?」


 弥生さんは完全に僕と如月さんに対して不満をぶつけた。僕と如月さんは困惑した表情で顔を見合わせた。


「でも、これはバレンタインデーにチョコをもらったお礼ですから」


「・・・・・・・・・」


 僕の一言に弥生さんは言葉を失っていた。硬直したまま、僕と如月さんを見つめていた。


「弥生さん、ホワイトデーは女子が男子からプレゼントをされる日ではないのよ。バレンタインデーにチョコを渡した女子にお礼がもらえる日なの。バレンタインデーあってのホワイトデーなのよ」


 そう言って、弥生さんの肩に手を置いて耳打ちしたのは水無月さんだった。弥生さんはムンクの叫びのような顔で硬直した。


「それよりも、弥生さん。あなた、ひな人形を片付けた?」


 水無月さんは弥生さんに追い打ちをかけるように言った。それに対して、弥生さんは愕然とした表情になった。そして、小さく「忘れてた・・・・」と呟いた。


「そう、それは大変ね。あなた、行き遅れるわよ、フフ」


 まるで悪い魔女のように邪悪な表情で水無月さんは弥生さんにとどめを刺した。日頃ネガティブな水無月さんはこういうことをすると本当に恐ろしいのだと僕はそのとき気づかされたのだ。


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