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火を噴く墓所、あるいは虚構の終わり

巨神兵の咆哮と共に放たれた光線は、中央墓所の幾何学的な構造体を無慈悲に焼き切り、マザーの基幹プロセッサを蒸発させた。


「……あ……あああぁ……!!」


数千年にわたり世界を律してきた「主」の断末魔が、物理的な震動となってドームを揺らす。保存されていた旧人類のタンクが次々と破裂し、バイオ・ジェルが濁流となってフロアを飲み込んでいく。


佐藤は、熱線による発熱で皮膚を焼きながらも、操縦席から一ノ瀬を抱きかかえ、崩壊する中枢部を見つめていた。


「終わるよ、一ノ瀬。……いや、始まるんだ。僕たちの、汚れた現実が」


世界中のネットワークに直結していた「聖女」のバイタルが、物理的な焼却によって強制切断される。その瞬間、地上にいた数億人の脳に、凄まじい「空白」が訪れた。


高城は瓦礫の中で血を拭い、空を仰いだ。彼女の手元にある端末からは、世界OSの稼働を示すグリーンのラインが次々と消滅し、代わりに赤いエラーログが埋め尽くしていく。


「……信じられない。本当に焼き切ったのね、佐藤……。これから世界に訪れるのは、救済なんて言葉じゃ語れないほどの……剥き出しの飢餓よ」


一ノ瀬は、自分の中から「世界と繋がっていた感覚」が急速に消えていくのを感じていた。

それは万能感の喪失であり、同時に、一人の「ただの女の子」に戻るための、あまりに痛烈な通過儀礼だった。


「佐藤くん……。……私、もう神様じゃない。……ただの、あなたの……」


「ああ、それでいい。……誰にも分け与える必要のない、僕だけの毒だ」


佐藤は、燃え盛る墓所の炎を背景に、一ノ瀬の唇を強く塞いだ。

管理された快楽ではない、死の恐怖と生の渇望が混ざり合った、苦い体温だけがそこにあった。

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