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【完結済】妹の最期の嘘を、世界の真実に書き換える ~チェルノブイリの真実を偽造したKGB数学者の陰謀~  作者: 寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
ナイラの十三年間

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冬の国/言葉/赦せない/家

最初の冬。


ナイラは毎晩泣いていた。


言葉が通じない。


友人がいない。


故郷へ帰れない。


世界中から嘘つきと呼ばれる。


誰も自分を知らない。


ある雪の日。


施設の食堂で1人で座っていると、レフが向かいへ座った。


「ロシア語は覚えたか」


「少し」


「覚えろ」


「優しくない」


「優しくする理由がない」


ナイラは腹が立った。


しかし同時に思った。


この人は、私以上に苦しそうだ。


2年目。


ロシア語を覚えた。


3年目。


通訳が要らなくなった。


4年目。


ロシア語で夢を見るようになった。


それが怖かった。


ロシア語で夢を見るたび、クウェートを失っていく気がした。


ある日、レフに言った。


「私はクウェート人じゃなくなっていく」


レフは答えた。


「人間は1つの国だけではできていない」


「あなたもそうなの」


「俺は妹でできている」


その答えを、ナイラは10年以上忘れなかった。


7年目。


ナイラは真実を知る。


断片的に。少しずつ。


レフが嘘を作った可能性を。


しかし完全な証拠はない。


問い詰めることもない。


ただ理解だけがあった。


この男は世界を救ったかもしれない。


そして世界を壊したかもしれない。


どちらも本当だ。


だから赦せない。


だから離れられない。


13年目。


モスクワ郊外の家。


白い壁。林檎の木。


初めてここを見たとき、ナイラは思った。


私はこの家に住む。


理由は説明できなかった。


ただ直感だった。


後になってわかる。


庭に植えられていた白い花の名前。


ジャスミン。


レフの妹が好きだった花。


知らない誰かの思い出が、自分の帰る場所になった。

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