自分の行動
あっという間に、模試の日はやって来てしまった。
前回、悪夢を見てからはその後1回も悪夢を見る事はなかった。
模試が近づく事で、そのプレッシャーから悪夢を見る頻度が増えるのでは無いかと少し不安だったのだが
実際はそんな事もなく、安心していた。
みんな平静を装ってはいるが高3になって初の模試という事もあり、 内心はかなり焦りや緊張をしているに違いない。
実際に自分のもその1人だ。
模試を受ける事でようやく受験生として自覚をハッキリと認識した気がした。
始まってしまえば、あっという間に感じる。
模試が終わり、会場を出る頃には空はオレンジ色になっていた。
会場の最寄駅前にある、カフェでナオキ達と合流す事になっているのだが1番乗りだったみたいで、まだ誰も居なかった。
1番安いブラックコーヒーを買い、4人が座れるテーブル席を確保しておく事にした。
1口コーヒーを飲んだが、あまりの苦さにビックリしたが、その苦さが体に沁みた気がした。
模試の結果が返って来るまでは断言できないが、周りの人より問題を解けていない気がしたし
手応えもなかった。
コーヒーの苦さはそんな自分に対する戒めな気がした。
1人反省会をしていると、3人が一緒にお店へと入って来た。
「お疲れー」
「お疲れー。俺らも飲み物買って来るわ。」そう言って3人は一旦、荷物を席に置いてからすぐにまた居なくなった。
流石に表情からは模試の出来具合を推測するのは難しいが、疲れいるのは見て取れた。
席に戻って来た3人はみんなホイップが乗った甘そうなドリンクを持っていた。
その様子を見て、俺も甘いのにすれば良かったと内心後悔した。
「皆さんどうでしたか?」早速、模試の内容に切り込んできたのはナオキだった。
「その感じ、結構自信ある感じ?」アスカがすぐに返した。
「いやー、全然そんな事ないんだけどね。」
謙遜しているものの、ナオキは安定していつも良い点数をとっているし、偏差値が60を下回った所を見た事ない。
「俺は化学がちょっと不安かも。」
強がる事もせず、俺はありのままの事を言った。
「今回の化学難しくなかった?」タカも同じ様な手応えだったのか、共感してくれた。
共感者がいた事で少し俺の不安が和らいだ。
その後も、どの問題が難しかったかなどの話題で盛り上がったが結局の所は模試の返却があるまでは分からないので、
すぐに模試に対する議論は終わりを迎えた。
「牛丼でも食べて帰らね?」
タカの提案によって模試の苦い記憶ではなく、みんなで食べた牛丼の楽しい記憶でその日を終えることができた。
「お前までふざけた事、考えたりしてないよなぁ!!!!!」
見知らぬ男に胸ぐらを掴まれながら俺は怒鳴られている事に気づいた。
「聞いてんのか?なぁ!」
胸ぐらがより一層強く握られる。
「ちゃんと約束は守ってます、父さん。」咄嗟に出た言葉だった。
夢の中ではこの男を自分は父親と認識している事に驚いた。
そして、この男の顔に見覚えがある気がした。
見知らぬ男なのは間違いないが、何故かこの男を父親と認識してしまっている事に気持ち悪さを覚えた。
「それならいい」
冷たくそう言い放つと、その男は俺の顔を見る事もせずに立ち去ってしまった。
周りを見渡すと、またあの部屋だった。
初めて悪夢を見た時と同じ部屋だ。机には数学の参考書や英語の単語帳が置いてある。
いきなり怒鳴られてすぐには分からなかったが、この男は初めて悪夢を見た時に、
暴力を振るってきた男と同じ事に気づいた。
もっと情報を集めようと、部屋から出ようとした所で夢から覚めてしまった。
スマホで時間確認すると午前2時だった。
悪夢を見たせいなのか眠気は全く感じなくなってしまい、しばらくは寝付けなそうな気がしたので
これまで見てきた悪夢の分析をする事にした。
ここまで見た3回の悪夢の共通点はおそらく自分と同じ、受験生目線の夢だ。
それ以外では、1回目と今回の夢は登場人物と場所が同じで、2回目の悪夢だけは登場人物や場所に共通点はない。
それ以外に具体的な情報は無いが、どこまで深刻にこの悪夢の事を考えるべきかも悩んでいた。
悪夢を見るのが苦痛なのは間違いないが、これがメンタル的な要因から来るものなら対処の仕様がない事に変わりはない。
結局は深く考えるだけ無駄な気もする。
そうこう考えているうちにやっと睡魔が来てくれてた。
読んでいただきありがとうございました。