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隣の人は青い  作者: EVE
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自分の意思




耳障りなスマホのアラームが朝を迎えた事を知らせてくる。

昨日の悪夢の事は忘れたはずだったのに、今朝は悪夢を見なかった事に少し安心した。

いつもと変わらない朝を過ごし、学校へと向かう。

教室に着いた時、何人かがすでに勉強をしていた。その中に、ナオキの姿があった。

「よっ!」俺に気づいたナオキは教室の隅の席から小声での挨拶と同時に手を振っていた。

「おはよー」他の人の邪魔にならないように俺も小声で返す。

教室の様子からも、受験が迫って来た事を嫌でも実感する。

勉強していたナオキに気を使って、まっすぐ自分の席へ向かう。


「みんな朝から勉強してて嫌になっちゃうよなー」さっきまで教室の隅で勉強していた、ナオキがすぐに俺んの席の目の前に来た。

「さっきまでナオキもしてたじゃん」

「いやー、この空気に耐えられずに嫌々だよ」

「俺も同じ事感じて、不本意ながら英語の単語帳開こうと思ってた」そう言い、とりあえず単語帳を机の上に置いた。

「あ、そういえば今日も単語テストあるのかな?」急に思い出したかのようにナオキが言った。

「新学期、1発目の授業だしないんじゃない?」俺が言い終わると同時に他の声が聞こえて来た。

「残念、多分あるよ」遅めに登校したアスカがツッコんで来た。

「「まじか」」俺とナオキ同時にため息をついた。


単語テストの結果に打ちのめされたものの、英語以外の授業はガイダンス的な内容で終わったので1日を乗り切れた。


「単語テストどうだった?」放課後の教室でアスカが話かけて来た。

それをきっかけにいつものメンバーが自分の机の周りに集まり始めた。


「まずはナオキの点数から聞こう」そう提案したのはタカだ。

 タカはナオキと同じで医療系の学部で薬学部を目指していナオキとは幼馴染だ。


「95点」さらっと答えるナオキに嫌味は一切感じない。


「負けたー、俺は85点」続いて答えたのはタカだ。


「俺は80」自分が最後に発表して1番低いのは避けたかったので、すかさず答えた。


「え、、俺がビリかよ。75点なんだけど」アスカはがっくししていた。


「来週の模試で挽回すれば大丈夫でしょ!実際、アスカ普段は点数良いんだし」

ナオキのフォローにアスカは少し救われた様子だった。


「てか、ユウって勉強してない雰囲気出してるのなんだかんだいつも点数悪くないよな」アスカに突っ込まれる。


「進路はまだハッキリと決まってないけど、勉強してないとは言ってないぞ」


「確かに。ずりぃー」アスカは自分の点数を受け入れた様だった。


 このやり取りを聞いてナオキとタカは笑っていた。


テストの度にこんな感じのやり取りが起きる。


けど、険悪な雰囲気になった事は1度もない。

各々が目指してる所が違うのを理解しているし、受験は個人戦だとみんな分かっている。

それ以上に気が合うから一緒にいるのがデカいんだと思う。


何かキッカケがあったとかではなく、高2の理系クラスになったタイミングで自然と仲良くなった。

もちろん他のクラスメイトとも普通に話すが、休日とかに一緒に出かけたりするのはこのメンバーだけだ。

こんな関係の友達をイツメンと言うのだろう。と勝手に思っている。


「そういえば、みんなは塾行くの?」ナオキが聞いてきた。


「俺は特に行く予定ないかもなー」アスカは答える。


「俺は次の模試の結果次第で考えようかな」実際俺はこれまで塾行く事なんて考えた事も無かった。


医療系を目指しているナオキとタカはすでに塾に通っていた。


一応、進学校と呼ばれるこの学校では塾に通わなくてもそこそこの進学実績がある。


塾に通う生徒は医学部は偏差値がかなり高い大学を目指している1部の生徒達だけである。


「ナオキって親からもプレッシャーとかあるの?」シンプルにずっと疑問に思っていた事を俺は聞いてみた。


「うーん、そんなにないんだよね。 お父さん自身、1浪して医学部入ってるから」しれっとナオキは答えてくれた。


「勝手に教育に厳しいのかと思ってた」浅はかな考えだった自分を少し反省した。


「今度、ナオキの家に遊びに行こうぜ!」急に提案したのはタカだった。


「全然いいよ。いつくる?」ナオキは即答だった。


「いや、いいのかよ!! 病院やってるし親忙しいだろうからと思ってずっと遠慮してたわ」 

 ナオキの予想外の返事に俺は突っ込んでしまった。


「俺も俺も」アスカは俺と同じ事を思っていた様だ。


「そんな事だろうとは思ってたよ」

 俺とアスカの思考が予想通りすぎたのか、ナオキはそう言うと笑っていた。


 そして会話もひと段落した所で、ナオキとタカは塾に向かうために教室を後にした。


「俺達も勉強しないとだな」

 アスカのこの一言で急に現実に戻された俺は学校に残って少し勉強していく事にした。


 家に着いた時、1日の疲れが急にのしかかって来た。

そうは言っても、残って勉強した事に対する疲労の影響が大きいのは自分でもわかったいた。


リビング行くと両親はすでに夕飯を食べ終わっているのが分かった。


「ただいま」


「おかえり、今日は遅かったのね。すぐに夕飯食べる?今日は生姜焼きだけど」

 

「学校で勉強してたから。食べようかな」

 そう伝えると母は夕飯を温めて直してくれた。


「ユウ、塾とか通いたいなら遠慮せず言えよ。父さんに言い辛いなら母さんにでもいいから」


「ありがとう。その時はちゃんと言うよ。」


「明日も早いから先に寝るよ。おやすみ」

 そう言い残し、父は寝室へと行ってしまった。


 父とこういった話をするのが苦手なのは自分だけなのだろうか?

 父の事を嫌いとか苦手とかではなく何故か自分の事を相談するのが恥ずかしいのだ。

 多分、父もそれを分かっているからさっきも「母さんにでもいいから」という言い方をしてくれたんだと思う。


「おやすみー」そう言いながら母さんが夕飯を持って来てくれた。


「さっきお父さんも言ってたけど、予備校は行かなくて大丈夫?」それとなく母も聞いてくる。


「今度、模試があるからその結果で決めるよ。いただきます」

 話を逸らすかのように俺は夕飯を食べ始めた。


「そう。じゃあ頑張らないとね。」

 母も気を遣ってなのか、あまり深入りはしてこなかった。


夕飯とお風呂を済ませ、自分の部屋へと戻った時には既に22時を過ぎていた。


この時間から勉強をする気も起きないのでベッドに横になりながらSNSを開いたが、睡魔には勝つことが出来なかった。





キッチンで洗い物をしている母の後ろ姿に向かって話かける。

「母さん。俺、予備校に通いたいんだけど。」


「そうねぇ。考えておくわ。」


「うん」

 会話はこれで終わったが俺は何となく答えを察した。

 多分だけど、うちの経済力では予備校代を捻出するのが厳しいのだろう。

 弟もいるし、これから出費が増えるのは事実ななので仕方ない。


「仕方ないか。」と言い聞かせて自分を納得させるしかない。

 両親は俺の事を、優しいと言ってくれるが自分ではそう思わない。

 ただ毎回我慢しているだけって事に気づいてないから、優しいと勘違いしている。

 

 しかも両親は自分と弟を育てるために一生懸命働いてくれている。

 そんな両親が自分のわがままによってこれ以上苦労するのが心苦しいから、毎回自分の意見を押し殺してしまう。

 

 俺が予備校我慢すれば親にもこれ以上苦労かけないし、弟の将来の為に多少は貯金も多くできるでしょ

 ポジティブに考え今回も自分の意見を押し殺す事にした。



 目が覚めると部屋が明るい事に気づく。

 SNSを見てる途中で電気をつけたまま寝落ちしてしまった様だ。

 それと同時にさっきの母との会話が夢だった事を理解した。

 

 冷静に考えると。俺に弟はいない。

 なのに、思考や感情がハッキリと自分の実体験のように感じた。


 恐怖による悪夢とははまた違った意味での悪夢だったのかもしれない。

 自分の意思を必死に押し殺しす事に心が苦しかったし、目覚めた今も少し動悸がする。

 

 

 

 





















読んでいただきありがとうございます。

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