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久しぶりのハレックの街・精霊王解放の前に

 第5号遺跡も30階層で風の精霊王の欠片をアプリコットが回収をした。すぐ隣ではエリックが付き添っていた。


「状態はどうだ?」


 俺は、具合を確認した。


「ん~・・・特には問題ないかな?」


 アプリコットは事も無げに答えた。


 しかし精霊王の欠片という膨大なエネルギーを、今のメイドゴーレム達はその身に宿しているのだ。早めに解放させてあげたいと思う。


 この後は50階層までの強行軍だ。皆も既に慣れたもので、素早い攻略だった。40階層の攻略を済ませ、最後に50階層に居た体長10mはあろうかというウインドドラゴンが居る。


 そのウインドドラゴンに、エステルが不意打ちで上位魔法ファイヤーストームを浴びせかけ、更に追い打ちとばかりに、キュリーシアのファイヤーボールとエリックの火の精霊魔法が飛んでいく。


 風属性は火属性に弱い。この波状攻撃は十分な効果を発揮する。


 そこに前衛組が飛びかかる。魔力を込めた武器が容赦なくドラゴンを切り刻んでいく。


 既にドラゴンには抵抗という程の力は残っていない。最後は塵となって魔鉱石を残して消滅していった。


 その後宝箱をエステルの異空間収納に収めて50階層の転移ポータルから地上へ戻った。35階層と45階層の魔鉱石の回収も忘れずに行っておいてある。その辺は抜かりない。


 その足で、カヌレ博士の研究所へ赴き、各遺跡で回収した宝箱や魔鉱石を倉庫へ保管した。宝箱が12個並ぶと壮観だ。


 魔鉱石に至っては、魔物からの回収も含めると、どの位の量なのか良く解らなくなっている。


 魔王領との融合が完了したら、時間を作って皆で宝箱の中身の確認などを行うとしよう。


 この日はもう遅い時間となったが、キュリーシアのゲートの魔法でハレックの街に向かった。


 エステルのゲートはレベルをカンストした影響か、1日に2回使用することが出来るようになった。しかし、今日の分は使い切ってしまっていた。


 久しぶりのハレックの街だった。どの位ぶりだっただろう・・・。「鹿の角亭」に顔を出す。


「あ!ヨーン達!やっと返ってきたか!1ヶ月くらいと聞いていたが、なかなか返ってこないモンだから死んじまったと思ったぜ!」


「冒険者ギルドに行けば生死は解るだろうが!まあ、心配掛けたな。だが明日にはまた出発する。」


「すぐ行くのか!?こんなに忙しい冒険者もこの国じゃ珍しいな・・・。」


「まあ、あと少しで片付くだろう。もう少しの辛抱だと思って頑張るさ。」


「夕飯は食うんだろ?」


「ああ。」


 そう言うと「鹿の角亭」ではいつも使っていた席に腰を落ち着かせて、メニューを注文していった。


 メニューがテーブルに並ぶと俺は、


「一応明日の昼に王都ルステーゼへ向かおうと思う。「ヤンの武具店」にも挨拶したいからな。」


「私たちも、行きつけのお店に顔を出しときたいから了解だよ。」


「私も、教会に行ってきます。」


 皆も行きつけがあるようだ。各自の予定を確認して翌日の昼に「鹿の角亭」へ集合することでまとまった。


 食事が終わると流石に、この強行軍に疲れたのか、口数も少なく各部屋に戻っていった。キュリーシアも1泊とった。


 翌日、早速「ヤンの武具店」にチョコロールと一緒に顔を出した。


「久しぶりに顔を出してやったぞ。」


「お!生きてたか?予定より大分遅かったな?」


「いや、まだ残っている仕事がある。今日の昼には王都に戻らにゃならん。」


「うへぇ~・・・。」


「まあ、今日は近くを通ったから顔を出しただけだ。仕事が一段落したらまた顔を出す。」


「おう!気を付けてな!」


 簡単な挨拶だったが、お互い言いたい事は言えたと思う。


 後はノンビリ「鹿の角亭」で皆を待つのみだ。暫くすると個々に集まりだしてきた。待っている間はいつもの席で、コーヒーもどきを飲んで時間を過ごす。


 ドワーフは酒じゃ無いのか?とよく言われるが、元が人間な為、そこまで酒を欲すると言う事は無い。ただ、深酒をしても二日酔いにはならなくなった・・・。


 全員が集まった所で、エステルのゲートの魔法で王都ルステーゼに向かった。馬車で3日かかる距離を一瞬で行けてしまう。便利な魔法である。


 皆には宿に戻っているように伝え、俺はマーリンに会いに、冒険者ギルド本部へ向かった。


 受付に用件を伝え、マーリンを呼び出して貰う。このときも冒険者カードで身分を証明しなければならないのだが、俺のレベルを見て腰を抜かし掛けていた。暫く待つとマーリンがやってきた。


「うちの受付が慌ててたけど、何かしたのかい?」


「いや?冒険者カードを見たら、ビックリしておったようだが?」


 そう言って、冒険者カードをマーリンにも見せた。


「なぁっっ!!レベル100!?どうすれば、そんなレベルにまでなれる!?」


「遺跡の階層が50階層まであったからな。時間がある時にレベル上げしておいただけだ。」


「ああ・・・あの時だね・・・。よくもまあ限界まで上げたモンだよ。経験値が余ってるじゃ無いかい。」


「限界突破する方法は他に無いのかのう・・・。」


 過剰分の経験値が勿体ないと言わんばかりに嘆いて見せた。


「そんな方法聞いた事が無いね。」


「だろうな・・・。まあ、冗談はさておき、こちらの準備は整ったぞ?後は出掛ける日程さえ決めて貰えば、問題ない。」


「・・・わかった。至急上には報告する。日程が決まりしだい連絡するから待っていてくれ。」


「解った。まあ、出来るだけ早く頼む。メイドゴーレム達の負担も心配だ。」


「立会人の選定は出来ているはずだよ。2、3日で出発出来ると思う。」


 そこまで話を済ませると俺は、冒険者ギルド本部を後にした。宿での夕食の時に皆にもその話をしておいた。皆もメイドゴーレム達の体の負担が心配のようだ。


 翌日、マーリンから出発の予定日の知らせが来た。出発日は2日後の午前出発で決まったそうだ。


「ワシ等は自前の馬車を使う。その方が馬車の台数も少なくすむだろう。それと、地上の神殿にはワシ等の魔法使いがゲートを使って、近くまで行く。帰りも同様だ。その日の内に全てを片付ける。構わんか?」


「それはこっちとしても願ったり叶ったりだよ。立会人の一人には第一王子も同行する事になった。私も護衛として同行する。あと、地上の神殿ってのは、あの調査隊を送り込んだ処の事だろ?」


「まあ、その通りだ。このまま上手く行けば良いのだが・・・。」


「何か心配事があるのかい?」


「まあ、こう言う大きなイベントには、反対派の反抗と言うものが付き物だからな。」


「だから地上の神殿のことを言わなかったんだね・・・。」


「どちらにせよ、反抗するのであれば、全力で返り討ちにするのみだがな。」


「レベル100に、全力で返り討ちにされる方が、可哀想になってくるね・・・。」


 その後詳細な打ち合わせを行い、当日は俺達の馬車は午前中に王宮の入り口に付ける算段となった。


 夜になり、夕食の時間に皆には詳細な打ち合わせを行った。


「当日は万が一と言う事もある。ブリットもフラグを立てているからのう。装備はしっかり準備しておいてくれ。」


「え~っ!襲撃があった場合は、私のせい!?」


 ブリットは頬を膨らませるが、皆は黙っていた・・・。


「それとエリック。精霊王と邂逅するんだ。折角だから契約出来ないか、チャンスを見て交渉してみろ。」


 俺はエリックにそう唆す。


「ええっ!精霊王と契約なんて出来るんですか!?」


「やってみなければ解らんだろ?お前さんがメイドゴーレム達の中に眠る精霊王の欠片を解放するんだ。一番近くに居るんだからチャンスだろ?」


「まあ確かに・・・。ダメ元でやってみます・・・。」


「もう・・・ヨーンてばそう言う悪い事には、頭の回転が速くなる。」


 ブリットが俺の脇腹を肘で突いて茶化してきたが、俺は素知らぬ顔で、


「チャンスがあれば戦力増強だ。精霊王との契約なんてチャンスはこの先無いかも知れんぞ?」


 と言い切った。

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