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第9話月面着陸



 勇気は重力の制御に成功し、アダムを止める事に成功したが、反動からか自分ではどうしようもない眠気に襲われ、アダムを押さえていた重力は解かれた。



 「勇気! 合格だ! 月では荷物の運搬とか資材の移動でお前の能力を使う事になると思う! 頑張ってくれよ! くれぐれも人に向けて使わないようにな、危ないから」


 「ふぁぃ」



 勇気は眠さによってろれつが回らないレベルまできていた。



 「やっぱりこうなったか、勇気寝て良いぞ、Ω能力を使った後に眠気が出るのは症状として報告されてるからな、もう聞いてないか」



 勇気はぐっすりと深い眠りについた。


 勇気が眠たと同時に船内に放送が響いた。 



「まもなく月面、月面でございます。 しっかりと動きが止まってからの下車をお願いいたします」



 りんごは電車の車内アナウンスをふざけ倒してやっている。 りんごも月に到着する事にテンションが上がってしまい奇行に走ったのだろう。



 「大変揺れが強くなる恐れがありますので、各自早く持ち場についてください。 後新人いびりをしていたアダム隊長は一刻も早く勇気君を担いで急いで! 急いで! 来てください、では放送は以上です!」


 「りんごちゃん怒ってんな、これは急がないと」



 アダムはこめかみを叩くと勇気を背負い船内を走り抜けていった。



◆◆◆◆◆◆◆◆



 「各計器以上ありません」


 

 管制官のりんごは着陸に向けて最終調整に入っていた。


 「視界良好、着陸フェイズに移行。 夏、機械類の微調整は任せたよ」


 「了解!」



 夏はコントローラーを忙しく動かしている。



 「大気! バイト起こして! 多分大気圏突入は見たいだろうから」



 夏にもまだ勇気を気遣う気持ちは残っているみたいだ。



 「勇気君、起きて、もう月見えてるよ」



 勇気は座席で口を開けながら寝ていたが大気の声掛けによりなんとかヨダレを拭いて、背もたれを上げた。



 「大気さん、おはようございます。 朝ご飯の時間ですか?」


 「違うよ、着陸だよ。 もう大気圏入るよ!」


 「それは寝てる場合じゃないですね!」


 「やっと起きたか! 勇気君、これから月の大気圏に突入する。  酸素が月には存在しないから、あまり影響は無いと思うが一応衝撃に備えてくれ、重力も地球の6分の1だが油断は出来ない」


 「備えます! 遂に月に着くんですね!」


 「楽しみにしてもんね、勇気君」


 「めっちゃ楽しみにしてましたよ!」


 「りんご、そんな奴と話してないで集中して、もう大気圏だよ」


 「ごめんごめん!」



 計器を確認しながらりんごは勇気の方に振り向き、軽く会釈をして微笑んだ。


 「良し! 着陸だ!!」



 船内にアダムの無駄にでかい声が響くが冬美は全く反応せず座席で爆睡している。



 こうして宇宙船アポロ777号通称ラッキーセブン号は月の大気圏へと突入した。



 「大気に異常あり! 酸素が存在してるよ!」



 夏は大声で叫んだ。


 「何で!? 今はそんな事どうでもいい! 夏! 空気抵抗で生じる衝撃を緩和する為に速度角度の調節やって!」


 「もうやってるよ!」


 船は想定外の事態に対応できず、コントロールを失なった。



 「こうなったら不時着しかない。 操縦桿貸して! 私が操縦する!」



 夏は半ば強引にりんごの席を奪うと力任せに操縦桿を右に切った。


 「あーー死ぬ気がする」



 そう夏は誰にも聞こえない声で呟いた。



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