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第1話大きな一歩



 この話はどこにでもいる普通の高校生、、千葉勇気が数多の困難や宇宙人に立ち向かいながら、月面を人間の住める土地に変えていく物語。 



◆◆◆◆◆◆◆



 勇気は今日もいつも通り近くの公園から小型のロケットに乗った。 2100年の今日では交通手段は空に移り、車はなくなり家に一台は小型の飛行機を持っている。 道路だったものには車の通るスペースは無く、代わりに電線が地面を走るようになり、星は見やすくなった。 


 勇気が乗るのは学校が運用している通学用の飛行機であり、多くの人数を運べるようにエレベーターのような箱型の形をしている。


 勇気は飛行機に乗り込み、端で壁にもたれかけメガネ一体型のスマホを起動させた。視線の動きでスマホを操作し自分の目の前にを映画を見ているように画面を表示し、ゲームを始めた。



 「勇気!!」


 「うわ! マジで毎回毎回やめろよな!」



 勇気がゲームに熱中していると画面を割って出てくるように顔が現れ、勇気は思わず声を出した。



 「ごめんごめん、毎日引っかかるのが面白くてつい」



 勇気を脅かしたのは空島くりた、2人は小学生からの仲で高校生になった今でも宇宙やSFが好きという共通の趣味もあって仲が良い。 勇気や仲間達がくりと呼ぶのは、名前がくりたと言う事もあるが、顔がくりっぽい形をしているという理由もあるらしい。


 「お前やられたら分かると思うけど携帯見てたらそこからなんの前触れも無く画面から人が飛び出してくるのと一緒だぞ? 慣れるわけないだろ」


 「悪かったよ親友じゃん、許してくれよ。 それより昨日のニュース知ってるか? 例の元素が人にも作用する可能性があるってやつ!」


 「知ってるよ、昨日ネットで見た。 もう発見されたのは10年前らしくて極秘に実験とかもしてるらしいけどなんか全部胡散臭かったわ」



 勇気はくりたに向かってメガネを振ると勇気が見ていたネットの記事がくりたの画面に表示された。



 「確かにこれは怪しいな、やっぱり都市伝説的な物なのかな。 てかそれより、俺らにはそ2週間先の今年の初めてのテストの方が大事じゃね?」



 くりたはうんざりした感じでそう言った。 



 「うん、その方が大事だな、もう3年だしけどテスト勉強はやっぱり3日前からに限るよな!」



 くりたに同情を求める情けない顔をしてくりたの顔を覗き込む。



 「お、おう! 3日前からだよな!」



 勇気は絶対こいつ1週間前からしっかりやるタイプだと思った。


 勇気とくりたがそんな次元の低い話をしている間に飛行機は学校の屋上に着陸した。



 「良し! 裏切りるなよ! 屋上寒いし早く教室行こうぜ」


 「おう!」



 2人は階段を降り2人とも高校3年なので4階建ての校舎の4階にクラスがある。 2人共クラスは同じで5組だ。


 2人は教室に入ってた。 教室にはいつも通りの顔触れの生徒が続々と入ってきて各自携帯をいじったり話したりと時間を潰しながらチャイムが鳴るのを待っている。


 その時昨日の夜クラスの男子が決めたアイドルの曲のサビが流れる。 学校に行く意欲を持たせる為の政策で日替わりで生徒達がチャイムの音を決められる仕組みだ。 クラス間の防音はバッチリなので他のクラスの曲が混ざる心配もない。


 みんな他の人の好きな曲は案外知りたいらしく遅刻の数も少なくなり好評だ。


 

 教室のドアが開き担任の中村先生が入ってきた。 中村先生は体育教科担当の先生で昔ながらの体育教師という感じでガッチリした体つきをしている。 体育教師の定番の日焼けもバッチリだ。 生徒からの信頼も厚い。



 中村先生は朝のホームルームを始め1人ずつ出欠確認を始めた。



 「麻生かずき!」


 「はい!」



 カシャ



 「有馬みずき!」


 「はい!」



 カシャ


 さっきから鳴っている音はカメラのシャッター音で、出席した生徒の体調を生体認識機能のある最新型のカメラで撮り、脈拍、顔色などから、その日の1人1人の体調や精神状態色々な事をチェックしている。 


 その場で治療出来そうな症状関しては朝のうちに薬が配られる仕組みだ。 大体の親は風邪になっても学校に行かせれば治るからと言って無理矢理子供を学校に行かすくらいだ。



 「山本こうじ!」


 「はい!」



 パシャ!



 「これで出欠は終わり……だが! まだ席を立つなよ、今日はこの前の精密健康診断の結果を返すからな」



 中村先生は1人1人に健康診断の結果が入った封筒を手渡しで配っていった。 



 「体重とかプライベートな事も乗ってるからあまり他人のやつを覗き見るなよ、後池本夏、本郷冬美、千葉勇気の3人は放課後教室にちょっと残ってくれじゃあ授業しっかり受けるようにホームルームお終い!」



 次の授業の準備や廊下に出て行く人達ですぐにクラスは慌ただしくなった。



 「今日月の特集組んでる雑誌をコンビニで取り置きしてたから早く帰りたかったのに!」


 「良いですなあ、クラスの美女2人と放課後居残りとは、羨ましい限りです」




 クリが勇気の肩に手をのせ、勇気を冷やかしている。



 「そんなんじゃないわどうせ記入漏れとかそういうくだらないやつでしょ、もうてきとうに書いてもらっていいんだけど」



 勇気は半ギレ状態で文句を垂れている。



 「俺には関係ない話だから頑張ってね、あ! 今日先にコンビニ行って雑誌受け取って読んでて良い? あの月のやつ!」


 「別に良いけどマジで! 綺麗に読めよ! 傷つけんな」


 「わかってるって」



 それから勇気は授業の8割は寝て過ごし、あっという間に放課後になった。


 クラスの生徒達が全員部活やら帰宅やらでいなくなった教室に3人だけが座っている。



 「夏、私達がこうして残されたって事はあの事しかないのかな?」


 「うん、冬美が言う通りあの事しかないでしょ、余計なのも1人居るけど」



 勇気は明らかに邪魔者扱いされている会話を聞いてしまい気まづそうに切り出した。



 「えーーと2人とも何の話をしてるの?」


 「結局確率の問題だからね、私達2人以外に居てもおかしくはないと思ってたけど本当に居るとわね」



 勇気を完全に無視して2人は話し続ける。 勇気はもう一度夏に確率の事を聞くがまた無視を続けられる。


 そこに中村先生が教室に入ってきた。



 「先生! 私達2人は何の事か分かっているのでもう帰ります! 明日の準備の為に時間が1分でも惜しいので!」



 「あーーわかった。 お前らは良いよ、明日10時に校庭集合だからな」


 「わかってます!」



 足早に2人は教室から去って行ってしまった。勇気は未だに状況が飲み込めずにいる。



 「中村先生いまいち状況が分からないんですけど俺はどうしてここに?」


 「1から説明するからよく聞けよ。 お前の体は新元素オメガが何らかの形で体に作用している事が分かった。 Ωは10年前に月からの飛来した隕石の中にある事がわかった。 調査を続ける中で体内にΩがを宿している人間が存在している事が分かった。


 Ωが作用した人間は多少の酸素が薄い所でも通常の生活が可能で他にも様々な研究から月での生活に耐性が付いたんじゃないかと我々は予測した。 そして夏と冬美をこの学校に送り、他の人間が覚醒するのを待った。


 そして今回の健康診断でお前もΩを宿している事が分かった。

 それでこれが1番重要なんだが…………勇気! お前には月に行って月面を通常の人間が生活出来るレベルまで発展させてきて欲しいんだ」


 「月!!」



 勇気は自分の心臓の鼓動が速くなっていくのを感じていた。 



 「嘘とかじゃないんですよね? 本当に月に行けるんですか?」


 「てっきり嫌がるかと思ったんだがな、月が好きなのか?」


 「それはもう! 特に月が好きだったんですよ! だって月のあの綺麗な色毎晩」



 勇気が月の事で熱くなって止まらなくなる前に中村先生は話を遮った。



 「わかった、わかった! その話は明日宇宙船の中で話してくれ」



 宇宙船!! 乗れるの!! 勇気に人生で感じた事の無い喜びが全身を駆け巡る。 その後の事を勇気は喜びのあまり覚えていない、中村先生に10時に校庭と言われたのは覚えているが、気づいたらくりの居るコンビニに向かっていた。



 「勇気やっと来たか、先に読んじゃってるからな」



 勇気は何も言葉が出ずクリの目の前で立ち尽くしている。



 「どうしだよ、黙り込んじゃってさなんか居残りで悪い事でもあったのか?」


 「…………俺……月に行ける事になった」


 「え? 月? 遂に頭おかしくなっちゃったか?」


 「俺も良く分からないけどとにかく月に行けるんだよ月に!」


 「マジで言ってる?」


 「マジマジ! 朝話した都市伝説とか言ってた話が本当でそれが俺!」


 「え? あの元素が人にも作用するってやつ?」


 「そうそう! マジなんだって」


 

 「長年の付き合いから見ると本当の事言ってる気がする。 じゃあこの雑誌貰って良い? もう使わないっしょ?」


 「いや持ってくから、返して」


 「なんだよ、本当に行けるんだから良いだろが」



 それから勇気とくりたは当分会えないとわかりながらもくだらない話をしながら2人で帰った。





 

 









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