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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
8章 親友との再会。明かされる秘密
70/80

第70話

 嘘みたいに、ぶつけられなかった怒りの矛先はとうに真っ二つに折れて。目の前の少女に感謝を伝えたいと思った。それだけじゃない、なんだか変な気持ちになってきた。好きな人に対して湧き上がるこの感情、恋だ。

 あれ?でもわたし、さっきはもう拒絶する勢いだったのに。求めているのはこっちじゃないか。そんなことどうでもいっか。好きな人なんだから。

 好きな人?そうだったっけ?親友で、わたしが片思いしてた女の子。そうだ、好きだったんだ。この出会いは運命だったんだよね?そう言ってほしい、嬉しくなるから。

 気付けばわたしは彼女に抱きついていた。親友に、血まみれの女の子に、神様に。人間じゃなくっても構わない。わたしだけを見てほしい。この時間が永遠に続けばいいのにと思った。

 抱き着いたわたしをギュッと受け止めてくれたその感触は、今まで味わったことのない素敵なもので、これを超えるものはこれから先も出てくることは絶対にない。天にも昇る心地とはこのことだ。このまま死んでしまいそうな、体がとろけていくような・・・それでもいいよ。


『しっかりしてください篝様!!篝様っ!!!』


 遠くから怒鳴り声が聞こえるんだけど、誰の声なのかわからない。どうしてわたしの名前を知っているんだろう。怖いなぁ。


『ふざけてる場合じゃないですって!』


 ふざけてるのはあなたの方ですよ。誰か知らないけど、邪魔だけは

しないでくださいね。


『悪魔にならなきゃ俺は何にもできないし、あぁもうどうすればいいんだ!このままじゃヤバイってマジで!』


 うーん。うるさいなぁ。黙らしたいけど、どこから聞こえてくるのかわかんないし、どうしようもないな。


「黙らせてあげるよ、篝のために」


「えっ、火凪にできるの?」


『!? こいつまさかっ、俺の声が』


「ちょっと背中に触るから冷たいけど我慢してね」


『お、おい待t・・・うっ・・・そ、そん・・・・・・』


「冷たっ。んー、でも何したの火凪?」


「ひ・み・つ。でもほら、変な声聞こえないでしょ?」


「あれ?ほんとだ、ありがとう火凪!」


 どういうわけかわからないけど、耳障りな声はいつのまにか聞こえなくなり、気分を害されることはなかった。どんな方法で治してくれたのかなんてどうでもいい。火凪への好きの気持ちが止まらない。

 もっと。もっと触れ合いたい。その一心だった。

 

「やっぱりこれは卑怯だな。まぁでも、しばらくはいっか」


 ありがとうと言って返ってきたのはそんなよくわからない返事だった。返事というより独り言みたいな気もするが。

 優しく抱きしめてくれてた体をそっとわたしから離した火凪は、相変わらず可愛い笑顔をみせていた。そしてスマホを取り出し「携帯、新しいのにしたんだー。前のやつと変わってるし、番号とLINE交換しとこ!」とナイスな提案をしてきた。神様でも電話とか使うんだなぁ。とりあえずこれでいつでもまた連絡が取れる。よっしゃ!


「それじゃあ僕はまた別件で用事があるから帰るよ。また会おうね!」


「うん、また連絡する!!」


大きく手を振りながら名残惜しくも火凪と別れる。ま、会おうと思えばまたすぐに会えるよね。さぁ、わたしも帰ろっかな~。

 どこに?帰るって、わたしはどこからきたんだっけ?えっと、確かサタンに気分転換してこいって言われて、あれ?サタンって誰だっけ?もう一人誰かいたような気がするけど思い出せない。

 さっきまでどこにいたんだっけ?神社みたいなところだったけど、こんなとこにそんなのないし、とりあえず火凪が神様っていう驚愕の事実を教えてくれて。何か聞きたかったことがあったはずだけど、それもそのうち思い出すよね。よしっ、とりあえずまたぶらぶら再開しよ。

 表の通りに出ようとしたとき、さっきまでそこには誰もいなかったはずのところに、赤茶色の髪色をしたツインテールの可愛いギャルと犬(にしてはなんか逞しいな)がわたしの行く手を阻んだ。

 




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