第66話
あいつがここにいるってことは、火凪と知り合い?なのかはわからないけど何かしら関係があるとするならば考えられることはいくつか思い浮かんだ。
その中でも重要なのは、火凪が敵になるのかどうか、だ。
サタンの思惑とは逆に、今までのルナの行動を思い返せばオロチ率いる蛇神の悪魔達がわたしたちと手を組むのはないだろう。
目的は同じなのかもしれない。
関わらなければ敵になることもないのかもしれない。
ただ、仲間になる気もない。
そんな感じだろう。
だから、ルナと火凪が仲間だとすると最悪だ。
彼女は少なからず人間ではないということが判明してしるし、なんならわたしと同じ悪魔だろうと思っている。
そう思わないと、この状況を説明できない。
だからあくまで、これは悪魔として想定しての考えだ。
もちろん普通の人間であってほしいと願っている。
九十九パーセントの確率でそれはないと心でわかってるけど。
ただ。
せめて彼女が悪魔だったとしても、ルナと仲間であってほしくない。
それにしても様子がおかしい。
火凪の問いかけに一向に反応しようとしない。
用があるから来ているはずでしょ?
外の様子をもっと覗き見たいが、これ以上蓋を動かすとバレてしまう可能性があるので何もできずにいる。
はやく何かしらアクション起こせよ!
勝手に苛つくこの自己中っぷり、ゴミかよわたし。
だがその願いが通じたのか、外でザザッと地面の石の音がして、何かしらの動きが起こっている。
慎重に外を見ると、さっきまでルナの左右にいた二人の悪魔が火凪の真横に突っ立っているではないか。
なんで?
まず質問に答えてあげなさいよ。
「もう失礼だなぁ。何の用って聞いてるのに無視するなんて」
ほらぁ怒ってるじゃんかぁ。
しかし声色はどこか穏やかでもある。
本気でそう言っているわけではないみたいな。
相手を馬鹿にしているような。
しかし彼等はその問いかけに答えることもなかった。
その代わりに、黒光りする短剣を火凪の方に向けた。
よっしゃ。
いや、親友が短剣を向けられている状況を喜んでいるわけじゃないよ?これでルナと火凪が仲間ではないことが確定した。
確定したと感じているのはこのわたしだけかもしれないが、仲間に武器を向けるやつを仲間と呼ぶようなやつは頭がおかしい。
だから、ひとまずは安心した。
安心できる事態ではないのだけれども。
しかし短剣を向けられても動揺を見せない親友の肝っ玉の据り具合はどうなっているのだろうか。
顔は見えないだけでめちゃくちゃ焦ってる様子を想像するとかなり可愛いけど、その可能性こそ皆無に等しいな。
助けに行けばますます彼女はわたしを好きになるだろうが(なんて考えてるわたしが気持ち悪かった)ここで出て行けばわたしが悪魔ということが判明してしまう。
それだけは避けたい。
しかしそんな妄想はすぐ打ち消されてしまう。
火凪がバッと腕を横に伸ばして二人の悪魔の腕を掴んだ途端、なんの前触れもないまま、静かに、二人の悪魔は消え去った。
目を疑いまくった。
どこに消えた?
この展開から望むものは、火凪は悪魔だがルナとは敵対している。
これがベスト。
しかし真実は望み通りにいくことはない最低で最悪なもので。
それは彼女の口からぽろっと零れ落ちる。
「僕が神様って知っていての所業かな?悪魔君」




