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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
8章 親友との再会。明かされる秘密
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60/80

第60話

久しぶりに夢を見た。

そこに出てきたのはとても仲の良かった親友、神威  火凪(かむい ひな)。

彼女は小学六年生の時に初めてできた友達で、このころは火凪の方が身長が高くてクラスで目立っていて、逆にわたしはクラスで一番身長が低かった。中学二年生でわたしの成長期が頑張ったのか、一気に身長が伸びて火凪を軽く追い越すことに成功する。

関係ないが、髪の毛もわたしはベリーショートで相手はかなりにロングヘアーだったよ。

対極にいたわたしたちはクラスの男子にからかわれて泣いてしまう泣き虫コンビで有名となる。別にコンビになったつもりはなかったけど、周りが勝手に決めつけていた。

普通ならここで共通の意識が芽生えて仲良くなるはずなのだが、何故かわたしたちはずっとお互いを避けていた。友達ではなかった。嫌いとかじゃないけど理由はお互いわからずじまいで今も通っている。

というのもわたしたちが友達と言える関係になったのは小学六年生の時。しかも一年生の時からずっと一緒だったのにまともに話したのは六年生のころで、逆によくそこまで何もなかったなと思う。

仲良くなったきっかけは体育の授業。

二人組を作りなさいという先生からの指令によってだ。

別に六年生になるまでそれがなかったわけじゃない、この時初めて火凪と組んだのだ。幸いわたしたちはからかわれてはいたがクラスではぶられていたわけではなく、それなりに仲の良い友達もいた。いつも組んでいた相手の子が両方休みだったので、わたしと火凪は余りもの同士で引っ付いたのだった。

最初はぎこちない関係だったけれど、話してみるとすっごく明るくて面白い子で、笑った時に見える八重歯がとても可愛かった。泣いていたからわたしと同じ大人しい子なのかと思っていたけど、泣いていたのは力で敵わない自分が情けなくて泣いていたっていうカッコいい理由でちょっぴり悔しかった。

その日からわたしたちはしょっちゅう遊ぶ仲になり、親友といってもいいぐらいにはなった。

中学は同じだったけど、クラスは一度も一緒になったことはないし、部活もわたしは美術部で向こうはテニス部で本当に陰と陽の存在だなぁと改めて思う。

それでも昼休みになればどちらかにクラスに行ってしゃべってたし、選択授業だけでも一緒になりたかったから同じ教科を選んでいた。帰りもお互いの予定が合えば一緒に帰っていたし、本当に楽しい中学校生活を送っていた。


だけどそれは唐突に終わりを迎える。

中学三年の時、火凪はわたしに何も言わずに急に転校した。

あれだけ仲が良かったのに、どうして何も言ってくれないのか疑問だけが頭をグルグルと周り、大切な親友がいなくなった悲しみと何で言ってくれなかったのかという怒りの二つの感情で心が締め付けられる日々だったが、そうしたのは理由が理由だったからだと後にわかった。

噂話というのはすぐに広がるもので、それはわたしの耳にも当然入る。

それを聞いて言葉を失った。

火凪のお兄さんが死んだ。犯人は実の父親。

信じたくはなかった。

一緒に遊んだこともあって、火凪と一緒でとても面白くて明るい人だった。

殺された理由だけは何故か誰も知る人がいなかったのが逆に不気味で気持ち悪い。

こんなことが知れ渡ってしまえば火凪の家族は当然この街に暮らせるわけがなく、火凪がわたしに何も言わずに去ってしまったのも理解できた。

それでも。理由は言わなくてもいいから一言ぐらいは声をかけてほしかった。

メールもしてみたけど全く返事はないし、当たり前だけど電話をしても出てくれることは一度たりともあるわけないとわかりながら毎日かけていた。

そのまま月日は流れて、そんな噂話などなかったかのようにみんなは高校受験のことに必死になっていた。わたしもその一人だったわけだが、その時期をきっかけに無意味ともいえる連絡はとらないようになっていた。高校に入ったら火凪のことはもう忘れようと思い、新しい人間関係を築こうとした矢先にわたしはいじめっ子の標的となってしまい、悪魔になったあの高校二年生の秋まで地獄の高校生活を送ることになるなんて入学した時にはこんな事になるなんて思いもしなかったけど。

本当に辛かった。

親にも言えない、助けてくれる友達もいない。

今すぐにでも火凪に会いたかった。

けど言えるわけなかった。火凪は火凪で辛いのはわかっていたから。

そして耐えれなくなったわたしは自殺。未遂に終わったが。

今がいいかどうかなんてわからない。

だけどこの出会いにはきっと意味があるはずと、自分に言い聞かせ続けている。


「どうしたんや篝ちゃん・・・?とりあえず着いたで」


目を覚ますといつもの場所にいた。今度は太陽が出ているから昼のようだ。

あ、いつもの場所というのはわたしの母校の屋上のことね。

わたしが一度死んだ場所。そして悪魔になった場所。

心配された理由は、わたしの目から涙がでていたからだ。

なんでもないと強がったけど、忘れかけていた親友を思い出して再び泣いてしまった。

会いたい。

その思いが一気に溢れていた。

会える事などないと知っているから、余計に悲しくなって涙がでた。


「かっ、か、篝ちゃん。何があったかわからへんけど、とりあえずゆっくり休みや。そ、そや!気分転換にこの街をぶらってしてきぃな。服装やらお金やらはきっとガーディアンが何とかしてくれるやろうし!」


『そ、そうっすね!一度リラックスした方がいいと思うのでぶらっとしましょう篝様!服装は、えーっと~・・・制服しかないですが・・・お財布と携帯電話などは篝様があの日悪魔になられた時に俺が保管しといたので問題ないです』


余計な心配をかけてしまった。心が痛い。

オオカミさんはいまだぐっすり爆睡中で助かった。彼女に見つかっていたらもう滅茶苦茶心配されてしまうと思うし。

うん。二人の言う通り、気分転換しなきゃね。

手で涙をぬぐって、パチンと自分の顔を叩いた。

しっかりしろ篝!

制服は共闘モードで着用していた母校のものなので、このままガーディアンと共闘モードのまま出かけることになるので、まるっきりプライベートというわけではないけれど、もしもの時には便利だから良しとする。

携帯は何故かフル充電されていた。もしやお金も増えてたりしないだろうかと財布を見たが千円札が二枚と小銭が数枚入っているだけだった。むしろ減ってる気がする。

ま、キャッシュカードはあるからいざとなればお金をおろそう。

とりあえず準備が整った。

行こう。




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