第58話
「メサイア、あんたは強くなってる。倒すことが目的だとしたら失敗なのかもしれん。性格悪いけど、うちは後出しじゃんけんが好きでなー。人の失敗を見てそれを踏まえて行動するチキン野郎やねん。おかげで余計な時間を使わんとこの戦いを終わらせれるわ」
自分をチキン野郎なんて言ってるけど、やり方としては別に卑怯でもなんでもないとは思う。それも一つのやり方なだけであって、周りから見たら卑怯に見えるかもしれないけれど、それは先に失敗したやつらの妬みや怒りが大半だ。成功する自信がないなら大人しく後からやればいいだけなのに、人間というのは本当に欠陥生物であることを自覚させられる。優劣を競いたがるのはいいことのはずなのに、己の欲望が度を超すと悪い方向に向いちゃうんだよなぁ。良いとこどりの何が悪いんだろうね。
今回の場合はチームを組んでるから、わたしが失敗してもチームが勝てばいいので何とも思わない。ただどうやって倒すのか、わたしにはまだよくわかってないが。
「終わらせられたらいいですけでねぇ。自分の体はもはや悪魔界最強ではないでしょうか。弱点を克服した自分をあなたが倒せるとは思わないですが」
「あぁ確かにあんたは最強や。うちが知ってる中でもあんたほどの再生能力があるやつはおらん。化物の称号を与えたる。ただ、勝負にはいろんな勝ち方があることはあんたは学んだ方がいい」
相手の実力を認めつつもどこか余裕を感じさせるサタンはとても頼もしく見えた。それが嘘やハッタリじゃないってのは見ればわかる。いろんな勝ち方、か・・・
その言葉を聞いても将門は相変わらず動じない。
自分が勝てると確信しているんだろう。そりゃあれだけのチート性能の体を手に入れたら自信もつくわな。
「では教えてくださいよ、そのいろんな勝ち方を。ほらどうしたんですか。かかってきてくださいよ。自分を倒してみせてくださいよ」ともうめちゃくちゃ倒されるフラグを自分で立ててるという事は、こういう時には盲目になって気付かないもの。恋は盲目、自信も盲目。
「なぁ将門。この世界のつくりってどうなっとるんやろなぁ」
「はい?」
「空はどこまで続いてるんやろうか。将門はその脚力であの高さまでジャンプはできた、だが空の終わりはかけらも見えない。それは下も同じだとは思わんか?」
空を見上げて急に変なモード入っちゃったけど大丈夫かな・・・
どうしたサタン!それも計算のうちなんだろうな!
演出に凝ってる場合じゃないと思うんですが!
「そんな事は知りませんが、そんなに気になるならあなたが調べたらどうですか」
「うちもたいがいやけど、あんたもだいぶ愚か者やな。相手の言葉の意味を捉えられていないようじゃ、あんたはまだまだや」
空に向けていた顔を将門の方へサタンが向ける。
仕掛けてくるか。
「ほな、さいなら」
中指を立てた。最大限の侮辱をとびっきりの笑顔を見せながら。
そしてその中指を地面にちょんっと触れさせる。
その時、辺り一帯の地面が地響きを立てながら一気に割れ始めた。
その殺風景な世界は崩落のステージへと姿を変える。




