第50話
『翼の修復にはもう少し時間がかかりそうですね』
「おぉビックリしたぁ。しゃべれるんならもっとしゃべっていいんだよ?」
『あんまり出しゃばるのも良くないと思いまして』
いやいや。
むしろ今一人で話し相手もいないから大歓迎よ。
いっそこの機会に彼の名前でもつけようとするか。
この機会って、そんな悠長なことを言える機会ではないんだけどね。
「ねぇ、君の名前を決めようと思うんだけど」
『今っすか!?こんな状況なのに??』
突っ込まれてしまった。話口調とは違いやはり常識人ということを確認できた。
だがわたしの言うことには従ってもらおう。
わたしを護るべき存在ならば。
「そう。こんなときだからこそよ」
どういうことだよ。自分でも意味もわからず発言してしまったが訂正などしない。
実は彼の名前についてはもう考えていたのだ。
その名前が気に食わないと言われてもこれについても訂正する気などない。
「あなたの名前は守護者、と名付ける」
『ガーディアン?ってどういう意味ですかね』
「守護者って意味よ。特定の人を護るべき存在ってこと。まぁこれを名前にするのも迷ったんだけど、姿形もわからないんじゃ普通の名前をつけるにつけれないし。それに日本だと守護霊みたいな意味合いもあるし、実体がない君にちょうどいいんじゃないかと思って」
あんまり嬉しそうにしてないのを見て咄嗟にそれっぽいことを言ってみたが、よくよく考えたらやっぱり名前にガーディアンて変だな。ミスったか。
『なんかよくわかんないけど良いっすね!』
「お、おぉそっか~気に入ってもらえたなら良かったよ」
よくわかんないっすけどって言われてわたしの説明力の低さを痛感したのと引き換えに無事に命名することに成功した。ミスってなかったぜ。
『やっぱ横文字って意味不明だけどほんとカッコいいっすよ!名付けていただいてありがとうございます篝様!』
「横文字かぁい!」
横文字て!もうちょっとマシな理由で気にいってくれたらよかったのに。
ま、名付け親のわたしが言えることではないな。
『では篝様。名前も決まったことですし、これからは遠慮なく俺を呼んでください。ガーディアンと!』
「名前つけたらってそんなに呼ぶ気はないんだけど」
『えぇぇ~~~そんなこと言わないでくださいって~。篝様の犬となりますから~』
やめろ。わたしをそんなエロ奴隷を従えてる下衆なご主人様みたいに言うんじゃない。
てかなんで犬になるとか知ってるんだ。どこで仕入れてきた情報なんだよ。
あっ。
わたしが読んでた同人誌にそんなのあったかもしれないな。
変な知識だけ取り込んでんじゃないよ全く・・・
「犬にはならなくていい。その代わりに命令する。わたしを全力で護り抜け」
『了解しました!』
決まった・・・。くぅーーーかっこいい!
こういうのも言ってみたかったんだよねー漫画の中しかこんな事えるキャラとかgシチュエーションがないし。漫画家を目指す者として中二病のセリフは必須なのだ。
『早速ですがピンチです篝様。あいつがこっちに向かってきました!』
もうマジかよぉやっぱこっち来たじゃん。
めっちゃ胸張って拳をグーにして怒ってる感じ伝わるよぉ~どうしよぉ~。
とりあえずさっきみたいに殴られることを想定して、わたしも拳に力を入れておこう。
ギュッと握りしめる手に汗がにじむ。
距離が少しずつ近づいてきた。
さぁ来るぞ来るぞ~。かかってこいや!
「全く・・・学習能力があるんですかねーあのお方は」と将門が独り言をつぶやくように言った。そしてすぐそのあとに「失敗はした方がいい。勉強になりますからね。だけど同じ失敗は二度としてはいけない。二度目の失敗には学ぶことなどない無駄な行為だからです」とまたつぶやいた。
「何が言いたいわけ?」とわたしは口調を荒げて言う。
「はぁ・・・メサイアさんも馬鹿なんですかね。あなたには知性を感じたのですが・・・自分の勘違いだったかもしれないですね」
「勝手に人を品定めしないでくれる!?さっさと言いたい事を言いなさいよ!」
めっちゃ腹立つわこいつ。
マジふざけんなって感じ。
後で絶対ぶん殴ってやる。
「ではすぐに見せてあげましょう。愚か者とはどういう者なのかを」




