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私、悪魔になりました  作者: 白子うに
6章 メサイア、覚醒
33/80

第33話

わたしもサタンも互いに動かず、相手の出方をうかがっている状態が何秒か続いた。

オオカミさんに貸してもらっているハンドガンを握る手は汗で湿り、練習通りに撃てるか不安になったのでとりあえずしまっておく。

まだ戦いという戦いになれない半人前のわたしは、一丁前にテレビで見たことのあるボクシングか何かの構えをしていたにも関わらず、一歩も動いてはいない。

どうすれば勝てるのか、それだけを必死に考えていたが全然思いつかない。

自分の能力さえまだまともに使いこなせてないとなると、やはりここは銃を使いながらの戦闘が一番勝率がいいのでは、いや、一か八か能力を信じて近接戦闘に持ち込むか・・・。


「どうしたんや~メサイアちゃ~ん。早くかかってきぃな~」


クソっ、馬鹿にしやがって。けど先手を取れれば希望は見えるはず。ならこっちから行くしかない。


「言われなくてもっ!」


一気に距離を詰めて、どこでもいいから一発お見舞いしてやる!

拳を握りしめサタンに近づいて殴るモーションをしているのに、一向にサタンは動こうとしない。それどころか目を瞑っている。完全に馬鹿にされている、だがそれは油断しているという事。なら好都合だ、そのまま振りかぶって殴ってやろう。

だがわたしの拳はサタンに届くことはなく、すんでのところで止められる。

目を瞑っているはずなのに、わたしを拳を掌でガッチリ受け止められてしまった。すかさずもう一方の腕で殴りにかかったが、いともたやすく防がれる。ゆっくりと目を開けてわたしの方を見た瞬間、上からもの凄い勢いで殴られ、そのままわたしは吹っ飛んだ。速さはあったがパンチに重みがなかったおかげで、ダメージはそんなになかった。けどリリスがいる分、手数は二倍になる。近接戦闘は不利か。

なら!

吹っ飛ばされてる途中、翼で体勢を立て直し、すかさずハンドガンを持ちサタン目がけて撃った。そして更に近づき撃ち込んだ。弾の補充はまた後、とにかく撃つ!

一発でも当たりさえすればっ!

何発撃ったか数えてないが、少なくとも十発は撃った。

見るとサタンが腹を押さえている。適当に撃ちまくったどれかが当たったのか?

よしっ、とりあえず隙が出来たぞ。

ハンドガンをしまい、急いでサタンのもとへ殴りにかかった。

徐々に距離が近づき、さっきと同じ状況に!しかし、今度こそ!!


「なんてなっ♪」


腹を押さえていたサタンはバッと下に向けていた顔を上げて、殴りかかるわたしをひょいっと軽々しく飛びながら避けて、上から一気にわたし目がけて突撃してきた。ダメだっ避けれない!身体を地面に押さえつけれる形となり、完全にマウントを取られてしまった。必死にもがいたが、サタンの力が想像よりも強くて抜け出せず、さらには両手足をリリスに拘束されてしまい、どうすることも出来ずにいるわたしは顔だけをぐいっとサタンの方に向けた。

満足そうに八重歯を見せながら笑っている。


「この感じに覚えはないか?」


「覚えってっ・・・まさか!」


「思い出したか。せや、今うちがやったのはあんたがグレムリンと戦った時。こんな感じの方法であんたは攻撃しようとしてたよな~。ああいう姑息というか卑怯なやり方はうちには到底思いつかへんことやし、ちゃ~んと参考にさせてもらって盗ませてもらいましたわ」


自分の技を盗まれるなんて、しかもあの時発動したよくわからない能力のせいでわたしは失敗した。わたしの持ってるステルスは強い能力のはずなのに全く使いこなせてないし、しかもよりによってこんな状況の時に発動しないしどうすればいいのよ・・・。

とりあえず透明になれ!透明になれ!と願うが何も起こらない。

あぁもう!!!何やってんだよわたし!


「あれ~~~?どないしたんですか~??前ん時みたいに、ステルス使ってなんとかしたらええんちゃいますか~?」


「うるさいっ!このぉっ・・・!」


もう一度力を振り絞って拘束を解こうとしたが、態勢が態勢なだけに下から力を入れているわたしと比べて、上から押さえつけているサタンの方がどう考えても有利だ。さらに両手足を拘束され追い打ちをかけられているこの状態では無理だというのは考えればわかるはずなのに。それぐらい今にわたしには心に余裕がなく、ただ体力を消耗した結果となってしまった。


「どうやらまだ能力のコントロールも出来ひんようやし、もうあんたに勝ち目はないんちゃうか?降参したらどうや」


「そんなの、するわけないでしょ!勝手に決めないで!」


強がりを精一杯振り絞ったがこの状況で勝ち目があるとするなら、運よくステルスが発動してくれるぐらいしかない。けどそんな期待通りにはいくはずない。必死に願ってもステルスが発動することはなく、最悪な状況が変わる事はない。


「まぁあんたが降参せぇへんなら、もう一つの方法でやるしかないわなぁ」


グッと首元を強く掴まれ、徐々にその力が掴んでいる手に入っていくのが苦しみと共に伝わる。


「いっ、息が・・・」


このままじゃ意識を失ってしまう。だけど何も出来ない。どうすることもできない。

わたしは負けてしまうのか。このままじゃオオカミさんは殺されてしまう。

それは阻止しないとダメだけど、こんな状態でどうすればいいんだ。

あぁ・・・。

もう、ダメっ・・・・・・・・・。

ごめん、オオカミさん。わたしのせいで、あなたは殺されてしまう。

深い後悔と罪悪感に苛まれて絶望を味わった瞬間、物凄いスピードで意識が遠のいていくのを感じた。それを阻止しようとすればするほど、もうどうしようもない現実が待ち受けている事実を突きつけられるだけで、死んだ方がマシだと思えるほどに辛かった。

諦めよう。こうなったのは全部自分の所為なんだから。


「ごめんなさい」


そうつぶやいた時。


『諦めてはダメです篝様!!!!!』


物凄い大声で誰かにそう言われ、一瞬だけ意識を取り戻した瞬間にわたしの身体から謎の衝撃波がサタン達を弾き飛ばした。

一体、何が起こったの・・・。










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