第31話
「宣言通り、うちは銃は使ってない。助かったわリリス。さすがうちの初めてのパートナーやで」
「いえ、これくらいはさせていただきます。サタン様の体に住まわせてもらっている分際ですので」
「しっかしどえらい威力やな。しかもゼロ距離からとなったらもう武器の中では最強ちゃうか?いや~ほんま、うちがこれをくらってたと思うと・・・おぉ恐っ」
心にひっかかっていた疑問が解決したと同時に、すっかりリリスのことを忘れていたことに申し訳なさがあるのだが、だって仕方ないじゃん!全然出てこなかったし。
不意に出てきたリリスはこちらに一瞥をくれたので、わたしも条件反射で「どうも」と挨拶をしたが、そんなことよりもオオカミさんの事で頭がいっぱいで、さっきまでの罪悪感などどこへやら状態で、急いで倒れこんでいるオオカミさんの元へ駆け寄り、その身を心配する。
どうやら意識はあるが出血が酷く、とても立ち上がれる状態ではなさそうで、さっきサタンが撃たれていた弾とは違って、わたしたちが最初に撃たれた物と同一のものだと確信する。
未だ立ち上がれずにいるサタンは、敵を心配するわたしに怒りの眼差しを向けた。
「なぁメサイア、マジでお前はこいつと仲間になるつもりなんか」
「そんなこと言われてもすぐにはわかんないよ。けど、やっぱりもう少し話してみたいの」
「ここでこいつを生かしたら、今度こそお前もろともうちらも殺されるかもしれないんやぞ。その可能性があったとしても、お前はまだこいつと話がしたい言うんか」
「あまりどちらかの肩を持つということをしたくはありませんので、リリスはこの件に関してはスルーさせていただきます。お二方で話し合って決めていただきたいです。ただし、サタン様の命令には逆らわないのがリリス、殺せと命じられたのならば、その役目は果たさせてもらいます」
てっきりサタンの味方をするものだと思っていたリリスさんは、そう言いつつもサタンの顔色をすごく気にしているのを見て、あぁこの人は人間が出来てるなぁとしみじみ思う。人間じゃないけど。
だが命令には従うという事の方が恐ろしかった。サタンの肩を持ってくれる方が何倍もいい。
サタンもリリスの性格をよく知っているからか何も反応することはなかった。
ただこうなると、わたしとサタンだけの話し合いになってしまうのが、予想できない事態を招きそうな気がして緊張してきた。話し合いで決着するとは思えなかったから。
しばらく何かを考え込んでいたサタンがようやく重い口を開いた。
「この様子じゃ埒が明かん。ここでうちはお前の三つの提案をしようと思う」
「とりあえずその提案というのを聞くだけ聞くよ」
三つも提案があるのがわたしのとって吉か凶かはわからないが、ずっと話し合うよりかはいいだろう。
「提案その一。敵と仲間になろうとしたあんたを心優しいサタン様が許し、オオカミを殺して今まで通りの計画で行く。提案その二。七大魔王の鍵だけ奪ってオオカミは殺さず、二度とうちらと接触しないことを約束させる。まぁこの案についてはうちは死ぬほど納得できひんけど、お前への配慮として考えた案や。最後、提案その三。お前もオオカミと一緒に殺される。これで三つや」
「ちょっと待ってよ、最後のは本気で言ってるの!?」
冗談じゃない。やっぱりこの悪魔はどこか狂っている。見殺しにしようとしたことは謝っておきながら、どうしてこんな事が平気で言えるのかが理解できない。
「本気や。提案は三つ出したが、正直この中から選ぶとしたら二番目しかないんちゃうか?一番目はまぁベターやがお前が納得出来ひんやろ。三番目はまぁ最終手段っちゅうかなんちゅうか・・・まぁありえへん事を言ってるのはうちも承知の上や。うちだってあんたを殺したくはないんやで?せやけどやな~、そんなそりが合わへんようなやつを仲間にしたくないんやうちは。そりゃあ強いから戦力にはなると思うで?けど向こうもうちの事を嫌ってるなら、いつ殺されるかわからん。そんな恐怖を抱えたままこの先行きたくないわ。けど、どーしてもお前がオオカミの方に味方するなら、うちらはあんたを殺す。以上や」




