表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、悪魔になりました  作者: 白子うに
5章 VS銃使いのオオカミ
26/80

第26話

苛立ちを抑え平静を装いながら、わたしはオオカミさんの話の続きを聞いていた。


「それじゃあ軽く説明するわ。このピンク色の銃はけん銃。ハンドガンとかピストルとも呼ばれるわ。これはあなたでも知ってるんじゃない?この銃は携帯に便利なように片手で持てるぐらい小型のものよ。このけん銃にもおおまかにリボルバーピストルとオートマチックピストルっていう二種類あるんだけど、今回はオートマチックピストルの方。この銃のメリットは連続で素早く射撃することができて、弾倉がリボルバーピストルに比べて大きいから、一度に撃てる弾の数が多い。あー弾倉っていうのは補充用の弾丸をこめるとこね。デメリットは構造の複雑さ故に故障や不発の可能性があること」


「次はこの紫色の銃。これはショットガンと呼ばれるもの。この種類の銃は散弾銃と呼ばれることが多くて、名前の通り散弾と呼ばれる小さい弾丸を一度に複数発射できたり、スラッグ弾て呼ばれる高威力の弾丸を発射できたりするから、メリットとしては発射できる弾丸の種類が多いことね。デメリットは弾の届く距離がかなり短くなってしまうこと」


「最後に紹介するこの赤い銃はライフルと呼ばれるもの。これもけん銃と同じで大まかに二種類、ボルトアクションライフルとフルオートライフルってのがあるけど、今回はボルトアクションライフルの方を用意したわ。これは一発ずつ射撃するもので、ライフル銃についてるボルトっていう部分を操作するの。メリットとしては精度の高い射撃ができることだけど、ライフルは他の銃に比べて扱いにくいから今はオススメはできないけど。デメリットは手動だから発射速度が低いってことね」


「まぁ今回用意した銃は全部人間界のものをベースにしてるし、弾丸を悪魔に効くものに変えてるだけのものだから、性能としては私のオリジナルには遠く及ばないカスみたいなものよ。けど大丈夫、あなたが先に選んでくれた後にわたしもこの中から余った選ぶから、銃の性能差についてはそこまで変わることはないから」


丁寧に説明してくれたのだろうが、わたしには何が何やらでほとんど頭に入ってこなかった。文系のわたしが数学の公式が全くわからないのと同じようなものだ。なのでなんとなく扱いやすそうなピンクのハンドガンを選ぶことに決めた。なんでオリジナルの銃じゃないんですかと聞くと、あなたがもともと人間だったからという謎の計らいらしい。まぁオオカミさんも人間ではないにしても、わたしと同じファントムだから何か思うところがあるのかもしれない。

ただ扱いやすいといっても銃なんて撃ったことなんてない者としては未知の領域なわけであって。そんなことを思いつつ銃を手にすると、オオカミさんは扱い方を教えてあげるわと言ってくれた。

さらに練習も兼ねてオオカミさんが作った射撃場なるものに連れていってもらい、的当てをやらせてもらうというこれから戦う相手に対して絶対に行わない行為、もとい好意を受けて万全の状態で戦いに臨むよくわからない展開になった。射撃の練習をしている様子をサタンは木にもたれて横目でわたしのことをジトっとした目をして見ていて、言いたいことはなんとなくわかったがわたしは気にしなかった。

練習をさせてもらい、それなりに扱えるようになったところで練習は終了したところで、サタンが起床後の伸びをしながらこちらに向かってきた。暇だったという遠回しの嫌味なのだろうか。


「よーやく終わったんか。これから殺しあうっていう相手に武器の使い方教えるとか、ほんま意味わからんやつやな。自分で自分の首絞めるとかお前マゾヒストか?」


「私は超がつく程のサディストよサタン。まっ誰にでもってわけじゃないけどね。サディストって自分で言うやつは逆にマゾヒストみたいに言われるし?」


「誰もお前の性癖なんて聞いてへんのやけど?」


「ふふっ。本当にあなたとは気が合わないわね。つまらない口喧嘩はやめてそろそろ始めましょうか。まず最初にだけど、今回は場所を指定させてもらうわ。この広大な場所全部を戦いのステージに選んでもいいけど、その場合だと尚更あなたたちには勝ち目がなくなる。なぜならこの場所は私の庭。地形も全て把握しているから、どう考えてもわたしの方が有利よ。だから場所を限られたものにする。ここから少し離れた場所にある三キロメートル四方の壁に囲まれた特製ステージにさせてもらう」


「ちょっと待てや。確かにお前の言うてることはわかるが、お前が作ったステージやろ?そんなん結局お前の方が有利なんちゃうんか」


確かにサタンの言う通り、結局はわたしたちの方が不利な状況には変わらないんじゃないのか。珍しくサタンと意見が一致してちょっとばかり嬉しくなってた。だが強気に言ったサタンに対して、オオカミさんはさらに強い口調でこう言い放った。


「勘違いしないで。私が有利になるのは当たり前じゃない。これは遊びじゃない、あくまで殺し合い。でもあなたちが有利になったのは嘘じゃないわ。この場所全体をステージに選んだあなたたちの勝てる確率はゼロ。だけど特製ステージは場所も限られている分、動ける範囲が限られている。自由自在には行動できない私には不利にはなる。だからって私はそこまで不利になることはないけどね。あなたたちの勝てる確率がゼロではなくなるというだけ。それでも限りなく確率は低いけどね。それに銃の扱い方を教えたのも、それなりに同じ土俵に立ってもらわないと、私のプライドが傷つくからってだけ」


さっきまでわたしに銃の扱い方を教えてくれていたオオカミさんとはまるで別人みたい・・・

冷酷。淡々と言い放ったその正論にサタンもわたしも何も言い返すことが出来る訳もなく黙る事しかできない自分が情けなくて唇をかみしめる。


「そういうことだから異論はないわね。じゃあ移動するわよ。それと、私が使うのはこのライフルにさせてもらうわ。残ったショットガンも別に持って行ってもいいわよ。まぁ使い方はそんな難しいものではないから大丈夫よ」


「じゃあうちがそのショットガン持っとくわ」


そう言ったサタンを憐れむような眼でオオカミさんは見た。


「あれだけ使わないって言ってたのに持っていくの?あなたにはプライドがまるでないわね」


「元悪魔の王のうちがお前にありがたいお言葉をプレゼントしてやるわ。プライドなんてものは戦いには邪魔なだけやぞ。勝てばいいんや。勝たなければ何の意味もない。あと、この銃は持っていくだけでうちは使わへん。うちにも言うた手前、一応プライドっちゅうもんはあるからなぁ~」


「メサイアにそのショットガンを使わせるの?言ってることがよくわからないけど、そのくだらないプライドを守れるといいわね」


最後の口喧嘩をし終えた二人は目を合わせることもなく、特製ステージにそそくさと移動していった。

少し遅れてわたしも続けて移動をする。

けど、わたしショットガンは練習してないからなんか不安だなぁ・・・

移動し終えて、わたしたちは四方壁に囲まれている特製ステージに着いた。

中に入ると、そこは先ほどまでの景色とさほど変わることはなく、ただ広大な場所の一部分を壁で囲んだだけの特性というには程遠い簡易的なものだったが、正直に言うと戦う前に蜂の巣にされてジ・エンドなのでそっと心の中に言葉をしまった。


「東西南北のスタート地点があるけど好きな場所から始めていいわよ。いきなり目の前に敵がいるなんて面白くもないからね」


それぞれのスタート地点の付近の特徴として、東はうっそうと生い茂る木々、西は小高い丘、南は綺麗な川、北は特に何もない見晴らしのいい場所だと教えてくれた。どうせ移動して戦うのだからどこでもいいだろうと思ったが、なんとなく東を選ぶことにした。サタンとは別々の場所でもいいと言われたが一緒に行動した方がいいやろと言われたので同じ東に移動開始。対するオオカミさんは西を選んだ。それぞれがスタート地点についたのを確認したオオカミさんは「では、始めさせてもらう!!!」と大声で叫び、バーンと銃声がピりついていた空気を切り裂いたのを皮切りに戦いは始まった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ