第14話
「これから行くのは富士山や。山登りするわけちゃうから安心してな。用があるのは樹海や」
オロチが住処にしていたのは富士の樹海だとサタンは言った。
悪魔が人間世界にいて問題はないのかと問うと、結界を張っているため普通の人間には見える事は絶対にないらしい。もし誰かが結界に入ってきたとしても、そこらへんは能力でなんとかなるとか。
わたしの知っている記憶だと、ヤマタノオロチの話の舞台は確か出雲の国、現在の島根県だったはず。
邪魔者を消してあげたんだからそのまま住めば?とサタンは聞いたらしいが、オロチはかたくなに拒否し、あまり人間が来ない場所だからと言って富士の樹海を住処にしたという。
「でもさー、わざわざこっちの世界に住まなくても向こうの世界に住めばいいのにねー」
「それは違うんや篝ちゃん。治安の良さで言ったらこっちの方が断然良いんや。うちが大魔神やったときはまだマシやったんやけどなぁ、アスモデウスが統制してる現在、向こうの世界にいるとどうも居心地が悪ぅてな。まぁ住めないってわけじゃないから、住み慣れてる場所から離れたくない言うやつは今も肩身が狭くても住んでるわ。それでもうちと仲良くしてた悪魔達はこっちの世界に住んでるやつも多いけど」
わたしが知らないだけで向こうの世界でも色々と問題があるみたいだ。こっちで言う派閥みたいなものなのかな。うんうん、と訳も分かってないが頷いて話を聞いてあげようえ?。
「まぁこんな話は今してもしゃーないよな。昔話はまたぼちぼちしてくわ。よし篝ちゃん、うちの背中に乗ってくれ」
「え?背中に乗るって、おんぶしてあげるってこと?別にわたし大丈夫だよ、翼もちゃんとあるし」
「ちゃうねん、うちは急いで行きたいだけやねん。篝ちゃんはまだ悪魔になりたてやから移動もまだまだ遅いんよ。だからうちの背中にいたらすぐ着くから素直におんぶされてやってくれ」
「あぁそういうこと。わかったわかったってうわぁわゎ!!」
返事をするやいなや、サタンはすぐにわたしを掴み無理やり背中に乗せて
「ちゃんとつかまっときやー!」と一言、目を瞑った。
「もうっ。そんなことしなくても自分からおぶられに行くって・・・」
とりあえず言われた通りしっかりと腕をサタンの体に巻き付ける。
「目的地確認」
サタンがボソッとつぶやくと、わたしの目の前がどろどろに溶けていく火をともされた蝋燭のように視界が歪んでいく。




