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猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
腐敗の森
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力不足



「いっ……っっ。」


「ノア、まだ右手を使ったらダメだって。」


「セドナって見た目の割に心配性よね。私なら平気、もう治ったわよ。ほら……いっ!!?」


「ウサギみたいに飛び跳ねてるけど?」


早朝、町の宿の一室。少しばかりの肌寒さに薄手の上着に袖を通すノアと、頬杖をつきながらその動作を見る俺。


「なっ……何見てんのよ……」


「そんなんじゃいつまで経っても着れなさそうだなぁーって。」


「じゃあどうすれば良いのよっ!!セドナが上着を着せてくれるって言うの!?」


「良いよ。ノアが傷を負ったのは俺の所為だから。」


「……へっ!?」


「ホラ、後ろ向けって。」


片腕だけ通った上着を、彼女の後ろからもう片腕に通す。


「ちょっと……息が耳に……んっ……はぁ……」


「……ちょっ……動くなって!!」


「……やはぁんっ!?しゃ……喋っちゃダメぇ……」


ノアがクネクネと身体を動かすので、簡単な動作でも非常に難易度が高くなってしまう。

あー……中々袖が通らないからイラついて来た。もういっそ抑え込むか。


「……ふん!」


「……ひゃあ!?セ、セドナ……それ……抱きしめ……ん……」


ノアの際どい声と、ふわっと香る女の子の匂いに頭がクラクラして来る。このままでは正気でいられない、早いとこ着せないと。


「セド……セドナ……ちょっと待って……待っててばぁ!!」


あと少し……


「ノア。兄さん。」


「「……ヒィーー!!!!」」


何を悪い事をしていた訳では無いのだが、俺とノアは室内の端と端へ離れて正座する。


「シャ……シャルナ……おはよう我が妹よ!」


シャルナ・フルムーンは、桃色の髪を整えながら、優しく微笑む。その可愛らしい容姿からは想像できない程、凄まじい圧力を放っているのは何故だ?


「おはようございます兄さん。今日も相変わらずカッコ良いですね、大好きです♪」


「あ、ありがとな。」


「ところでーー」


ビクッ!!


「先程ノアと何していたのですか?良ければ私にも同じ事をして下さい。」


目は口程に物を言う。しかし話さない方が効果的な時もある、今回みたいに一言も喋らず、笑わない目なんてものは恐怖のソレでしか無いでしょう。

俺はシャルナの背後につき、後ろから服を着せるフリをする。そう、俺は服を着せてただけだ。


「ではそのまま抱きしめて下さい。」


「……妹よ?」


「早く。」


言われるがままにそっと後ろから、シャルナの華奢な身体を抱きしめる。


「んっ……良いで……す。では次に進みましょう兄さん。胸を……胸を揉んで下さい。」


彼女は、振り向きながら上目遣いでそう告げる。吐息が頬を撫で、興奮している事が手に取るように分かってしまう。


「い、妹よ!?」


「は……はやく……にぃ……さん。」


「シャ、シャルナっ!!」


「ノア……貴方が兄さんの選んだ恋人でも、婚約者でも、性奴隷でもそれは構いません。兄さんが選んだ女性なのですから……けれど、ノアがして貰った事は私して貰う。そういう約束だったじゃありませんか。」


「私はセドナの恋人じゃ無いし、婚約者でも無いし、せいど……んんっ!!とにかく!!離れなさいよ!そんな約束した覚え無いわ!」


ノアが俺とシャルナを引き剥がそうとすればする程、シャルナは強く抱きしめてくる。


「寧ろ感謝すべきです!兄さんに女性が居た時のマニュアルは、その女の人を殺す。ノアだったから踏み止まりましたが、別の人でしたら今頃土の中ですよ?」


「うん、シャルナ?そのマニュアル1回見せてくれ無いかな?」


「嫌です。兄さんと結婚後に、こんな事を考えていた時期も有りました……っと楽しむ為に取って置かなければ。」


「結婚!?兄妹でそんなのダメ!!」


「私の夢は兄さんと結婚して、両親と共に仲良く暮らす事なんです。あ、子供は何人欲しいですか?私は5人位欲しいなぁって……兄さんが良ければ……今から1人目を作っても……」


「ダ、ダメに決まってるでしょー!!」


「めちゃくちゃだ……」


頭を抱えながらも心底ホッとする。

この光景を見ていると、3日前の激闘が嘘の様に思えて、結構嬉しかったりするのだ。


「…………。」


結局の所マイナは取り逃し、その後の足取りも分からない。シャルナとノアの怪我を治した後、俺はギルドに今回の事件について、全てを話した。行方不明の冒険者は殺されており、死人として腐敗の森を徘徊していた。それはレメゲトンの仕業、魔格者によるものだったと口にしなくても皆が理解していた。きっと神格者の俺が現れた時から、察しの良い人は泣いていたと思う。

森は、神格軍が徹底的に捜査をする為に立ち入り禁止になっている。勿論、森にはクモなんて居ない。

……マイナは、魔力を持つ者を感知する為に森全体にクモを散らしていた。守護者と呼ばれる森林狼は、森にとって異物であるクモを必要に追い回して居たのだ。それが上手く噛み合って良かったと、胸を撫で下ろす。


「……私は猫の兄さんでも、銀髪美少女の兄さんでも、勿論黒髪イケメン兄さんも、全部愛しています!」


「そんなの……私だって……好き……よ。」


「何ですかノア?声が小さくて聞こえませんねぇ!」


嫁を虐める姑かよ!!そうツッコミたくなる程、シャルナはノアを上手いことイジっていた。ところで、何故シャルナが呪いの事を知っているのかというと……


【「兄さん……やっぱり私がピンチの時に助けに来てくれたんですね!!……嬉しい。」


「お、おう!」


「……あれ?それって……ノアとセナちゃんにだけあげたブレスレット……何故兄さんが?」


「へ?」】


以上、回想終わり。

かくして俺はヤンデレ妹と出会い、その妹に呪いも知られてしまったのだ。


「おいセドナ。」


回想をしていたら幻聴が聞こえてくるなんてザラだよな。妙に生々しく、リアルな声だが。


「誰?」


「俺だ俺、1回コッチに帰ってこい。」


このうざったい声は……誰だっけな……んーと。


「お?シャルナも居るじゃねーか。ついでもお前も連れて帰るからな。」


「隊長の声!?何で……何でですか?」


「2人共、急にどうしたのよ?」


思い出せそうなんだが……んー……あ!そうだ!


「ハゲだ!!」


「誰がハゲだぁ!!!!テメェソッコー連れて帰るかんなァー!!」


坊主の詠唱と黄金の翼に引き寄せられる俺とシャルナ。この声は間違い無い、俺の兄弟子、シルバだ。


「ノア悪い。ちょっとだけ待ってて、この宿、俺が泊まるって言ったらタダになったからお金は大丈夫だとおもーー」


※※※


消えた。

光に包まれて2人が居なくなった。


「私……置いて行かれた?」


不意に、床に転がる指輪が目に入る。考え無しに広い上げると、指先に微量の電流が疾った。


「……いっ!何よコレ……」


メインリングにはその剣の名が彫られている。そしてこの金指輪にはこう彫られていた。


【シャトルーズ・ムーン】








この章は今回で終了です。

次章は師匠の元へとんぼ帰りし、故郷でのお話になりそうです!!


メリナ「私の出番じゃあぁぁぁ!!」



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