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猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
閑話1
34/53

閑話〜小さな冒険者〜

セドナが猫の時一体何をしているのか……そういった閑話です。

これはセドナ・フルムーンの小さな冒険の物語ーー



「見ない顔だね!どこから来たの?その毛並み……誰かに飼われてたりしてる?

ねぇ!早く答えてよ!早く早くっ!」


「ケッ……飼い猫なんぞ糞しかいねぇ。プライドを捨てた俺達とは根本から違う猫だ、ほかっとけ。」


「そんなこと言ったってポンコツ君!

彼、凄く困ってるみたい!迷子じゃないかな?どう思う?どう?」


「サイソク、落ち着け。

……はぁ。

おいお前、俺らのシマに何の様だ。

こいつの言う通り飼い猫ならな、早く大好きな主人の元へ帰れ。」


アルカナタウンを出て数日、ここはアルカナ国有数の港町。

気温が高く、日差しの強いアルカナの国でもやはり港町は別。潮風が身体を吹き抜け、晴れ渡った空を心地よさそうに鳥が駆け回る。

漁師は自前の船を風魔法で動かし、今日も漁へ行く様だ。


「きっとお腹減って話す気力も無いんだお〜。

ねぇポンコツ〜、ご飯行こう?」


「おい、お前が食いたいだけだろトンソク。」


「せいか〜い。」


「…………。」


この町は次の国への最短ルートと遠くかけ離れている。では何故俺はここに居るのか。その答えはアレだ。


「俺は有名解呪師だよ。貴方の呪いぐらい簡単に解けるから安心しな?」


「本当ですかい?

これでおいらの足も元どおりに……」


首に髑髏、腕には包帯。

だらんっと幾重にも重なった黒い布を服にし、ワックスを頭から被ったんじゃないか疑いたい程パッツパツに立てられた赤髪。

このいかにも胡散臭い30代程の男性に、俺はわざわざ会いに来た……。


……うわぁぁ!!うぉぉぁあぁぁぁ!!

顔を見ただけで怒りが込み上げてくる!!


「……くそが。」


「……!!喋った?ねぇ!今喋ったよね?

凄い顔つきで……くそが。って言ったよね!?」


……目の前のうるさい奴はほっといて説明再開。

この町には数多くの呪いを解いてきた有名解呪師が住んでおり、残念ながらそれがあいつだ。

人は見掛けに寄らないって誰が作った言葉?

殆どの場合、人は見掛けに寄るだろう!

その人の人格が見た目に表れるのは、至極普通の事だ。お洒落に疎い人はラフな服装だし、人格者なら本を持つ。

ちなみに首に髑髏をつけてたら偽解呪師だ。これテストに出るよ。


……そう。俺は騙されたのだ。

長い時間と高い金を払い得たものは【ほんのり身体が光る】だけだったーー


「また今日もやってるね〜あいつ。

たまたま成功した解呪が独り歩きして、今じゃ有名解呪師なんて呼ばれてるらしいお。」


「ふん。おめでたいこった。」


身体がほんのり光った俺。それを大爆笑したノアとは絶賛喧嘩中。

普段ならそんなことで怒らないが、時間と金を捨てた結末がコレなら誰でも怒るだろ?

結果ノアとは、この町に来た2日前の昼から会っていない。

会いたいとも思わない。


「ねぇ喋った?喋ったよね?

もう1回お願い!!もっかい喋ってみてよ!!」


セドナの姿ならあの偽解呪師、マジでぶちのめしてやったんだが……生憎そう上手くいかないのが人生。

解呪を受けたのはセナの姿だったしな……。


「ねぇ!ねぇってば!!」


「グゥゥ〜〜。」


腹減った……。

有り金は使い果たし0円。

厳密に言えばモノイレロの中にはある、しかしそれは共有している2人のものだ。

喧嘩してるとはいえ、流石に相談も無く使う事はならんだろう。


「今お腹鳴ったよねぇ〜。

やっぱご飯行かなきゃポンコツ〜。」


「本当に腹減ってたんだなお前。」


「えへへ〜僕と同じ〜。」


「……今から俺達は飯を食べに行く、付いてくる来ないはお前の勝手だ。

行くぞ、トンソク、サイソク。」


「ポンコツはねぇ〜、一緒にご飯食べようって遠回しに言ってるんだお〜?

君も意地張ってないでおいで〜!」


「ト、トンソク!!勝手な事言うんじゃねぇ!ホラ行くぞ!」


彼らは身体を上手く使って、人波をすり抜けて行く。

俺も追わなきゃ……どうであれこのままじゃ死ぬ、飯にはありつかないと。


「ねぇ!話してよ!ねぇ!」


「黙っとけサイソク、こっからは静かにしねぇと飯にはありつけねぇぞ。」


「分かったよポンコツ君……。」


1人途方に暮れていた俺に話しかけ、飯まで恵んでくれる……なんて良い奴らなんだ。

旅の仲間にしたいぐらいだぜ…………彼等が猫じゃなければ。


※※※


ノアと喧嘩した後、俺はひっそりと猫の姿になっていた。

アルカナタウンでの一件以来この姿になるのは久しぶりだ。最初はすぐ戻るだろう、気分転換に散歩でもするか〜!なんて軽い気持ちでいたが、2日経ってもこの姿。

いよいよ人間に戻れない可能性が浮上し、本心泣きそう。


「ポンコツ君!今日は何の日!?

教えてよ!早く!早くっ!」


「この時間なら魚屋だな、確か仕入れで人が少ねぇ。」


「だってドナ!!良かったね!」


「あぁ……強いて言えば魚より肉の気分だけどな。」


猫と話す俺。

プライドを捨て、更に空腹の俺は強欲だぜ。

俺を含めた野良猫4匹は、港の魚屋へ到着する。

一際肥えた猫トンソク。

耳元でうるさいサイソク。

言動と雰囲気からボスと推定されるポンコツ。

元人間代表俺……。


「トンソク、いつもの感じで頼む。」


「はぁ〜い。」


ずしりずしりと太った猫が真正面から歩き出す。


「にゃ〜!!!!」


「まーた来やがったかデブ猫!!人手が少ない時ばかり狙いやがって……お前に魚はやらんぞ!帰れ!!」


「今だ。裏から回るぞ。お前はサイソクに続け。」


「行くよ新人♪」


「へいへい。」


正面で戦うトンソクを横目に俺達3人は裏から魚を頂く。

まぁ猫にしては賢いんじゃねーの。

サイソクは好みの魚を口に咥え、すぐさまポンコツの元へと持っていく。

ポンコツはいつの間にやら袋を拾ってきており、その中へ魚を入れている。


「何してんの!君も早く手伝ってよ!早く!」


生きていてそのままの生魚を口に咥える事になるとは……。

うぅ……生臭い……でもやるしかないよな。

せーのでいきます。

せーの……ちょっとストップ。息を止めてからのが良いなコレ。

んじゃ改めて……せーの!!


「にゃーー!!!」


「やっと捕まえたぞ猫!!」


真正面から大きな物音と魚屋の主人の声が響く。

目視しなくても理解する、トンソクが捕まった様だ。


「まずい。サイソク、新人を連れて逃げろ。」


「ポ、ポンコツは!!?」


「トンソクを助ける。もし3匹とも捕まったら元も子もねぇからな。俺1匹で十分だ。」


そう言ってポンコツは走り出す。


「おいっ!!お前も捕まるだけだぞ!!行くなっ!!」


「にゃー!!」


1匹の猫が人間の足に飛びかかる。

自分が人間だからこそ分かる……無謀だ。


「な、なんだ!?コイツの仲間か?

まぁ良い、お前も一緒に捕まえてやる!」


「ポンコツ!!」


「お前を残して逃げれるかよタンソク。そもそも危険な目に合わせたのは俺だ、責任持って助けに来たぜ。」


「チッ!離せ糞猫!!」


ポンコツは必死に足にしがみつき、トンソクを助けようとする。

主人が足元に気を取られた隙に、トンソクはガブッと手に噛み付いた。


「いてててて!!」


不意に解放されるトンソク、太っていても猫だ。

スムーズに着地を決め、ポンコツも連動する様に足を離れる。


「逃げるぞトンソク!!」


「うん!!」


2匹は急いでその場から離れようとする。


「逃がすか泥棒猫ォ!」


っっ!!まずい!!


「避けろポンコツ!!」


刹那ーー

主人の放った蹴りは、逃げる1匹の猫の身体を捉えた。

その衝撃はか弱い動物を瀕死に追い込むには十分過ぎる威力、メシメシっと身体を軋ませてポンコツは宙へ放り投げられた。


「ポ、ポンコツ!!」


トンソクは足を止め、サイソクは絶句する。

ズシャっと地面に叩き連れらる猫は必死に声を届ける。


「に……逃げろ……お前ら……。」


「ふんっ。人間様の町を荒らすんじゃねぇ。」


「…………早く逃げるよ!!ポンコツ君の勇姿を無駄にしたらダメだ!!

……き、君!?どこ行くのさ!!行ったらダメだ!」


考えより先に身体が動く。

助けるーー

所詮数分前に出会った猫1匹だが、衝動に駆られた俺は、尻尾に持っていたモノイレロをなぞる。

選んでる場合じゃない。

無作為に取り出した魔法系指輪を咥え、出来る限り標的に近く。


「あ?何匹居るんだこいつら。

猫が何匹いようが変わらないがな!」


猫は魔法使えないと思ったか?


「《リング》《クラック!》」


「うわぁッ!!」


ズテーンっと後方に転がる主人。

猫の魔力ならこんなものか……けど十分。


「早くポンコツを担げ!!逃げるぞ!」


トンソクは俺の言葉に反応し、その巨体に衰弱したポンコツを担ぐ。


「こっちだみんな!」


サイソクが逃げ道を決め、俺達は必死に逃げる、……また今日も飯にはありつけないみたいだな。


※※※


「…………うぅ。」


「あ!!リーダーが目を覚ました!!」


「何?本当か!?」


「良かった……本当に良かった……。」


「ここは……。」


俺が手当を施した甲斐があるってもんだ。

目を覚ましたポンコツはキョロキョロと辺りを見渡し、得た情報を脳で整理する。


「アンタ達の拠点だろ?リーダーさん。」


港の端に位置する廃船の中。

ここら一帯の猫拠点、そこに俺達は逃げ込んだ。

甲板に彫られた文字、神格軍船猫又号。神格軍兵の船か?

猫又号なんて名前、持ち主が今の状況をみれば皮肉に近いな。


「……!!

サイソク!トンソク!

なんでこいつを招き入れた!?」


「咄嗟に逃げてきたからしょうがないだろポンコツ君!!そんな怒らないでよ!」


「それにさ〜瀕死のポンコツを助けたのってこいつなんだよ〜。

魚屋吹っ飛ばして、ポンコツの傷も治しちゃった!」


「なんだと!?」


こいつが!?

みたいな目で見るなよ、これでも人間界じゃ有名なんだぞ。


「……その……ありがとな。」


「飯にはありつけなかったけどな。」


「トンソク、あるか?」


「6匹〜。でも僕が捕まえた巨大魚はあげないよぉ〜?」


トンソクはそう言い、奥から何やら咥えて来る。


「さっき釣ったんだ〜。

サイソクとポンコツ、そして君と僕の分!

それぞれ1匹で僕は3匹ねぇ〜。」


どんだけ食うんだコイツ。


「やるねトンソク!」


ビチャッと地面に置かれる魚。

……やっぱ食べれる時に食べないといけないよな……。


…………いや、無理だコレ。

そんな俺の葛藤を横目に、サイソクとトンソクは魚を口に運ぶ。


「ん?食べないの?」


「お、俺はいい……生はちょっとな。」


「君……ポンコツみたいな事言うんだねぇ〜。

ならあいつについて行きなよ〜、ホラ。」


気付けば魚を咥えたポンコツは廃船の出口へ向かっていた。なんだかよく分からんが俺も魚を持ってついて行ってみる。


「……ふぅ。」


廃船の外は、中に比べ風が通る。

日差しの強い昼下がりでも、涼しく感じる程には強く吹き荒れていた。


「ん?なんだお前か。」


「生魚が食べれないって言ったらお前について行けってさ。」


「トンソクの野郎……。」


ポンコツは、はにかみながらついて来いと顎で支持する。いっつも文句垂れてるが、なんだかんだ面倒見が良い奴だ。


「あそこにいる奴ら、全員お前の子分なのか?」


猫水入らず、道無き道を進みながらの会話も悪くない。


「子分じゃない、仲間だ。

名前も無いあいつらに、俺が見た目通りの名前をつけてやったのさ。そしたら勝手にリーダーだ、面白いだろ?

すぐどっか行く猫はエンソクだし、人間観察が趣味の猫はカンソクだ。他には……」


豚足、催促、遠足、観測………まぁ分かりやすくて一見さんには嬉しいこった。


「お前、名は?」


「……ドナ。」


「へへっ。ダッセェ名だな。」


お前には絶対言われたく無い。なんやねんポンコツって!

1人だけソクが付いて無いだろ統一しろ!


「俺だったら……オンソクってのはどうだ?

魚屋の主人から逃げる時、びっくりする程速かったぜお前。」


「意識あったのかよ……。」


木々を、港町の喧騒を抜けると、波音が心地良く聞こえる静かな場所へ。

古びた一軒家の縁側には人影があり、ポンコツはそこへ向かう。


「着いたぞ。」


「ここ?」


「あら〜今日はお友達を連れてきたのね。」


人影は80代〜90代程の優しそうな老婆だ。

口振りからポンコツはここに通っているみたいだな。


「あ、お魚またお魚咥えて……ちょっと待っててね。」


「おいドナ。この人にソレ渡せ。」


言われるがままに俺は命の綱を老婆に渡す。

正直空腹が限界だ……お腹と背中がくっついて、背中がお腹になっちまう。


「静かで良い場所だろう?仲間内しか知らねぇんだ。」


風に吹かれ、心地良さそうにポンコツは言う。

活気づいた港町があり、その端に猫の廃船があり、森を抜け更に端に行かなければ巡り会えない場所だ。


「はいどうぞ。」


「お!おおぉぉぉぉ!!!」


目の前に置かれたのは先の魚。

しかし!!しっかりと焼かれているでは無いか!!


「焼き魚が好きな猫なんて変わってるねぇアンタ達。」


「ドナ、この人に感謝して食えよ……ってはやっ!!?」


気付いたら魚が無くなっていた。

まるで本当の獣の様に魚を貪り食っていたのか……空腹もいき過ぎる狂気染みるものがあるぜ。

けれど……いささか足りない。


「……はぁ。」


不意に目の前に置かれたもう1尾。


「腹減ってんだろ?やるよ。」


「い、良いのか!?」


「良い。まぁなんだ、一応命の恩猫らしいしな、これ位やるさ。」


「お前……もぐもぐ……良い奴だな……もぐもぐ。」


「俺が答える前に食べてたよな今!?

……はぁ……お前って奴は…………」


「んー。

澄んだ空気、見晴らしの良い景色、やっぱり俺の職場に最適だ。」


!!

聞き覚えのある声に、目に付く奇抜なファッション。間違い無い、港で油を売っていたエセ解呪師の男だ。

何回顔見てもムカつくなあいつ。

1回さ、どついても良いかな?

……いやいや、今は私情を挟む時では無いか。

あいつが何故ここに居るかを考えるべきだ。


「あー居た!

やぁばあさん、調子は?」


「アンタかい……何回来ても家は売らないよ。」


「おいおい。こっちは破格の額を出してんだぞ?」


左中指と人差し指に光る黒指輪。

どうやら男はこの家を買いたいらしい。

それよりも……何が破格の額だ!!俺達から巻き上げた金だろそれ!!


「金じゃ無いよ。

それにこの家は愛着があるの。

独り身の私から小さな幸せを奪わないでおくれ。」


「なぁ、ばあさんは名の知れた籠職人だ。

アンタの竹籠は軽く耐久性に優れ、年月と共に色の深みを感じさせる漁師達からしたら持っておきたい1品だな。材料となる竹が群生しているここら辺に、家を建てるのも納得だ。

けれどどうだ?

今となっては、この森に竹は見受けられない。

と、言う事は……だ。

ばあさん……竹籠を作れて無いだろう?」


「それがどうしたんだい?」


「竹籠が作れなきゃ収入も無い。

独り身のアンタは老いで死ぬ前に、衰弱で死ぬ。

……けれどな、幸い俺は人助けが好きなんだわ。だからさっさとこの家を売れ、そしたらアンタは生きれるぜ。」


「収入が無くとも生きてはいける、それに何度言ってもこの家は売らないよ。

見窄らしいけど……亡くなった夫と半生を生きた私の城さ。それに……今私がここを離れたら、遊びにか来てくれるこいつらはどうすんだい?」


しわくちゃで小さくて……それでいて何より温かい手がポンコツの頭を優しく撫でる。


「いつもいつも私の所に遊びに来てくれる猫達、この子達がいる限り、私はこの家を売ったりしない。」


「なるほどな、猫か………。」


時は残酷に、平等に命を奪う。

きっと彼女の夫もそうだったであろう。

彼女の1人残された悲しみを紛らわす為に、ポンコツはわざわざ焼き魚を食べているのだろうか。

考え過ぎ?いや、こいつならあり得る。


「分かったら帰っておくれ。」


「…………また来る。」


ん、割と潔い。

……まぁ売りたく無いと言っている人に、何度も繰り返し言っても効果は無い。

常日頃から人を騙している男だ、それぐらい弁えていて当然だろうか?


「騒がしくしてごめんねぇ。」


そそくさと去っていった2人を横目に、ポンコツは今の場所よりも更にお婆さん元へと擦り寄る。


「ドナ、ここは良いぞ。

港の喧騒を忘れられて静かに時を過ごせる。」


お婆さんは縁側に腰を下ろす。

その膝にピョンと飛び乗り、ポンコツは丸くなって目を閉じた。


「アンタも来るかい?」


「ドナ。」


「……分かったよ。」


ポンコツに習い、ピョンと膝に飛び乗る。

暖かい手が背を撫でる……思った以上に心地良いものだ。

潮風がすり抜け暑さも感じないし、ゆっくりと時が進むこの感じは何故か懐かしい。


「俺は人間が嫌いだ。

この町では皆、仲良いフリしてその心を真っ黒だよ。これでもここら辺のリーダーだ、色んな人間を見てきたから言える。」


海が近ければ物が集まる。

物が集まれば人も集まる。

人が集まれば喧嘩や小競り合いなどザラだろう。

きっと彼らは、猫達はーー

人間よりも人間を見ているのだろう。


「特に欲望にまみれた人間が嫌いだ。

けれど……そんな人間でも、時々良い奴だって居る、この人がそうさ。」


「だからここに通うのか?」


「いや、ただ単に焼き魚が食いたいだけさ。」


「……そうかよ。」


「俺はなドナ、この町の同族を守りたい。

そしてこういった人間も助けたい。

こうして寂しがりの婆さんの元に通うだけで、少しでもこの人の救いになってると思ってる。どうだ?」


「なってるさ。」


「ふっ……。喧嘩の最中の奴に言われてもな。」


「なっ!?なんでそれを!」


「最初に出会った時、凄く不機嫌だっただろ?

だから適当に言ってみたがどうやら当たりみたいだな。」


クスクスと笑うポンコツ。

それと呼応するようにお婆さんも嬉しそうに微笑む。


「くだんねーよ喧嘩なんてさ。

お前が悪いかどうかなんか知らねぇけどさ、早いとこ片付けときな、俺達猫は、人間程生きれねぇんだから。」


「…………。」


「それにしてもな、自己満足と思っていたから俺が役に立ってると思うと……何だか気恥ずかしいものがあるな!……ははっ。

…………ってドナ?おい?…………嘘だろ?こいつねやがっーー」













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