表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫が美少女で実は俺?  作者: もこ
紙飛行機は空高く
32/53

足跡と足音と

夏ですね。

圧倒的夏。

あ、twitter初めました。

そちらで更新のお知らせも致しますので是非!

@nekogabisyoujyo

勿論フォローは返します!


次に向かう場所の確定と魔力玉提供者の確保。

俺が患っている呪いへ即効性のある薬ではないが、2つとも重要な要素だ。

その要素をお土産に、俺は外で待っていたノアへと駆け寄る。


「ん、帰ってきたわね。」


「おう。」


「ノアあのさ、」


「分かってるわよ。次の目的地が決まったんでしょう?もう出るの?」


「ああ、お世話になったゴロー達には申し訳無いけど、今直ぐ街を出るつもりだよ。大丈夫、こうなると思って置手紙をしてきた。

ん、あとコレ。」


俺は手を取りその掌に指輪を乗せる。

これはハイネから貰った服だ。ノアに渡した分と、俺の分。その他に何着か貰っている。


「目立つ俺達はコイツを着なさいってさ。少しだけ周りの目を緩和してくれるらしい、まぁ信用してないけどな。」


人に怪しげな魔法をくっ付けた奴だ、言葉を鵜呑みには出来ないよな……まぁなんだかんだ着ているのだけど。

ノアも服は受け取り、そのまま羽織ってみせる。

うーん……彼女の体格と服のサイズが合っていない。良く言えばラフな感じ、悪く言えば大き過ぎてみっともない。


「私このデザイン嫌かも………それにもう少し小さめのサイズは無いの?」


ノアがそう言った瞬間、服が一瞬だけ煙へと変化する。その後、体に巻き付いて収束し、現れたのは全く同じ服、しかし違う点が1つある。それは彼女が求めたであろう理想サイズの服へ調整されていたのだ。


「わぁ……。勝手にサイズが合うのね。

ねぇセドナ、私似合ってるかな?」


ノアはクルリと回転して見せるがそれどころでは無い。


「これなら猫やセナに変化した時、服が対応してサイズが合うんじゃ無いか!?

凄い!凄いぞこの服!!もう早着替えの隠し芸とはおさらばだ…………!!?

痛い!イタタタタッ!!」


脇腹に痛みを感じと思ったらノアが割と強めにつねっていた。それもジト目で。


「綺麗です!可愛いです!似合ってます!」


ノアはパッと手を離し、自分の頬を両手で抑える。


「あら、ありがとう。貴方がそう言うなら、着てあげるわ。」


なんなんだ全く……。

俺達2人は歩き出し、来た門と反対の門へ、いわゆる街の出口へと向かう。


「で?次の場所って……。」


「あぁ、ここからだと次の国はメリクリウスの統治する【エルドラド】だ。

言ってもまだまだアルカナの国は広い、そこを抜けてからじゃ無いと。だから馬車が必要だな。」


「ここからエルドラドまでずっと馬車で行くのは到底無理よ?通れない道もあるし、何より私達のお金が無いわ。」


ノアはそう言って溜息を吐く。そう言えばクエストを全くと言って良いほどやっていない……巨大ゾンビドラゴン君を倒したから、誰か報酬をくれても良いんじゃ無いかな?


「なら行けるところまで馬車で、途中のギルドで資金調達をしつつ、エルドラドへ向かいましょう。」


ノアの言葉に頷く俺。突き当りを右に曲がり、大通りへ出る時に、2人してフードをかぶる。


「あ!そう言えば、ミネルヴァの神格者と協力関係になったぞ、俺が変身する為の起爆剤さ、実はジュースじゃなくてーー」


続ける談笑。

人の波をすり抜け進む俺達に、声をかける者は居ない。


※ ※ ※


「出してくれ。」


「かしこまりました。」


次のギルドまで、そう言って乗り込んだ馬車がカラカラと音を立てて動き出す。

俺はこの街を少しでも救えたのだろうか?

他人に興味を持ち心配までしている。異世界に来る前の俺が見れば驚くだろうな。

良くも悪くも人の中身は変わる、何者にも染まる。そう、丁度この真っ白な折り鶴のように。

……ん?折り鶴??


「セナさぁーーん!!ノアさぁぁーーーん!!」


「カノン!!」


ノアがいち早く反応し、窓から身を乗り出す。俺も続く様に窓から後方を見ると、彼女を筆頭に街中の人々が手を振っていた。


「おーーい!!」


「ノアちゃーん!セナちゃーん!!」


「ありがとなぁーー!!!」


「また来て頂戴ねぇ!!」


しわくちゃの老人、傷だらけの鎧を着た男、雑貨屋の店主に街角の子供達、そしてキララエル一家。

関わった人、関わってない人問わず、多数の人間が空高く折り鶴を飛ばす。

置き手紙には、「この街を出ます。お世話になりました。」と一言書いただけ、ゴローは短時間で人々を集め、折り鶴を作ったらしい。

俺達の為に、俺とノアの見送りの為だけに!

追い風が鳥の背中を押し、馬車と並走する様に空を駆ける。きっと一人一人の成し遂げるべき目標が刻まれているに違いない。


「街を救ってくれて、本当に、本当にありがとうございましたぁぁーー!!貴方のお陰で今の私があります!!」


「本当に感謝してます!!また何時でもいらしてくださいねぇーー!!」


「おにーさん、おねーさん行かないでぇぇー!!!」


一際大きな声を出すのは、ミオと女将、そしてゴローだ。叫びながらこちらに手を振り続ける。ミオに至っては涙目で駄々をこねている様だった。

あぁ、またこの街に来た時は、最初にキララエル一家に挨拶に行こう。

不意に折り鶴が、馬車の窓からポトリと手元に落ちる。

【御二方へ】、そんな文字を見て俺は投擲者がカノンだと悟る。クスクス笑っている所を見るとノアも同じ事を考えている様だ。


「開けるわね。」


俺は頷き、ノアは鶴を広げてみせる。

そこには大きな文字で【すぐ追いつきます!】とだけ記されていた。


「ふふっカノンってば、冒険者になるみたいね。」


「そうみたいだな。追いつくって事は旅に同行する気満々だし…………ってか許可してねぇ!」


「セドナ、口元がニヤついてるわよ。」


そう言うノアだって妙に嬉しそうだ。


「はい。この紙折って!」


手にはカノン宛の手紙、へいへいと折り鶴を作り、窓から飛ばそうとする。


「私は今が使いどきだと思うけどなぁ。」


「うっ……これは本当に大事な時に……」


「お世話になったのはセナであってセドナでは無いわよね?」


急にお母さん感出すなよ……そんな言われたら使っちゃうだろ?

俺はモノイレロから例の飴玉を取り出し口へ放り込む。触れて数えた感じ残り2つ。もっと大事に使おうと心に決めた。


「おじさん、馬車の上に登らせて貰いますね!」


「えぇ!?……はい!

……あれ?女の子2人組だったかなぁ?」


クルッと身体を捻って馬車の上へ。

服装は安心、パーカーが自動調節されセナの背丈にフィットした様だ。


「ほいっと。」


微量の魔力を含ませることで、折り鶴は命を得る。文字と思いを乗せて羽ばたく姿はなんとも言えず美しい。たかが折り紙をそんな風に思う日が来るとは、この世界は本当に面白い。



※※※


「はい今月3人目ー!俺ちゃんだけ『 』様に褒められちゃうぜ?なぁ?レメゲトンでも上の方目指せるんじゃねーの?」


「うるせぇよ。俺っちはまだ2人だが、お前の連れてきた奴らより上等だ。」


下水道に浮かぶ2つの死体と2つの影。

かつての仲間、今はあられもない姿だ。

込み上げる怒りと悲しみを堪え、息と心を殺す。今私が出て行ってもどうせ勝てない。

耐えて逃げる。逃げて神格者様に助けを求めるんだ。

ギシギシと悲鳴をあげる錆びついたパイプ、その物陰にそっと隠れる。


「馬鹿か?世の中質より数だっての!それに質だったら……。」


「あぁそうだな。ロードカジノ支部に連れられたって銀狼族の小娘が1番だ。」


「ウググ……俺ちゃん達、もっとガンバらねぇと!獲物を殺して遊んでる場合じゃあねぇな!」


カツカツと目の前を通り過ぎる男2人。

見つかったらきっと殺される、飛び出してそうな心臓、溢れ出る脳汁。耐えろ、耐えるんだ。


「そう言えば……こいつの仲間って3人いたよな?生意気な2人は殺したとして、あと1人何処だ?俺ちゃんわかんねぇ。」


…………!!!


「…………うぅ。ここは……。」


「おいおい、兄貴がうるせぇから目ぇ覚ましちまったじゃねぇか。」


男2人は立ち止まる。


「なんだ貴様!離せ!!」


「ジタバタすんなよ。お前もあいつらみたいに殺すぞ。」


彼らの1人に担がれている私の仲間、カルデロの目が下水道に浮かぶ物を捉える。

ダメだ見るな、心優しいカルにソレはあまりにも無情過ぎる。


「…………おいっ…………おい嘘だろ……。なぁ……メータ!フレッド!!」


叫び、喚き泣くカルデロ。


「あぁぁぁぁぃあッーー!耳が壊れるぅぅ!

……此奴の口取っても良いかな?」


「ダメに決まってんだろ?」


「ぅぅわぁぁぁぁぁぁ!!!」


「おい……喚いても生き返ったりしねぇぞ?俺っち達はこれからお前をバレ無いように運ぶ、それにはお前の協力も居るんだよ、声を発するな、本当に殺しちまうぞ?」


「…………う……うぅ。

…………さ、サフーは……サフーは……無事なのか……?」


「サフー?あ、やっぱもう1人居たのな。危ねぇ危ねぇ。ちゃんと全員消さねえと俺ちゃん達の存在が世間様に露見する。

ありがとな教えてくれてよぉ。」


「ひっ……やめろ!もう充分だろ!

サフーは……サフーだけは殺さないでくれ!…………ウッ!!」


容赦無く気絶させられるカルデロ、ぐらりとその身を仰け反らせる。

その頬には……涙がつたっていた。

絶対助けるからな……待っててくれ。

ともあれ存在がバレた以上、ここに居るのは危険だ。早く……早く逃げないと……。


「おぉサフー君、久し振りだねぇ。」


「…………え。」


不意に満面の笑みをした男が目の前に現れる。


「ヒィぃーー!?」


「実は最初から君がそこに居ることぐらい分かってたんだよ?

アハッッ。アハハハッッ!!!!

たのしぃぃぃぅぁ!ッッ!

…………ふぅ。

楽しいなぁ……人の一握りの希望を潰すのは。」


悪意で歪んだ表情とはこの事を言うのか。

対面した時の圧倒的威圧感と心臓を握られたような感覚は言葉すら発せなくなる。


「た、た、すけ……」


「じゃ、あの世のお友達によろしく。」


振りかざされた薙刀を止める者は現れずーー



仲間は近くに、敵はもっと近くに置け。

ゴットファーザーの名言です、よければお納めを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ