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【いせけい】 元女性教授の異世界開発経済学 〜神界のスロットで魔力無限を引き当てたので、最強スキルの組み合わせで快適な領地経営を始めます〜  作者: つむ教授
第一章 最強スキル、領内の改革【前編】

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第三十七話 一ヶ月の剣術訓練と、アズキの癒しの葉

お読みいただきありがとうございます。つむ教授です!


第36話『Fランクの召喚と、召喚獣の名付け』では、男爵邸の庭に新たな仲間たちであるストーン、ウルフ、ヤンマ、イーグル、アズキが一斉に実体化。それぞれの個性溢れる仕草とともに名前が授けられました。さらに重複する加護によるステータス上昇の凄まじさに、内政チームが驚愕する爽快な一幕が描かれました。


今回の第37話では、5km先の魔獣の森の開拓に向けた、本格的な準備期間へと突入します。


パパによる護身用の剣術特訓により、いつの間にか季節は涼しい秋へ。さらに、ただ魔獣を倒すだけでなく、木こりや冒険者ギルドを巻き込んだ前世の開発経済学的なインフラづくりの戦略が動き出します。

無限収納を活用した、アズキの不思議な能力検証と、回復薬ストック量産ののんびりとした一幕をどうぞお楽しみください!

新しい仲間を召喚した翌日、私は男爵邸の庭でパパから護身用の剣の使い方を教わっていた。


「よし、アルカ。まずはその小さな木剣を真っ直ぐに構えてごらん」


パパの指導に合わせて、私は小さな手でしっかりと木剣を握り、正眼に構える。5歳の幼い体ではあるけれど、Fランクの仲間たちから得た重複した加護のおかげで、私の身体能力は信じられないほど跳ね上がっている。


私が一歩踏み込んで風を切り裂くように鋭く素振りをしてみせると、パパは驚愕に目を見開いた。


「おいおい、なんてまともな筋の良さだ……! まるで長年鍛錬を積んだ剣士のような体幹のブレのなさじゃないか。これなら万が一のときでも自分の身を最低限守ることはできるな。だが、今回の開拓作戦には俺とルークも一緒についていくから安心しろ」


パパが誇らしげに笑いながら私の頭を撫でる。今回の作戦の重要性と危険性を鑑みて、パパと、計算能力に長けたルークの二人が同行してくれることになったのだ。頼もしすぎてこれ以上の安心感はない。


私はそこから一ヶ月くらい、パパの指導のもとでみっちりと剣の訓練を重ねていった。季節はいつしか移り変わり、心地よい涼風が吹き抜ける秋を迎えていた。訓練のおかげで、私の小さな体は加護の力をさらにまともかつ滑らかに引き出せるようになっていた。


「パパ、ありがとう。それじゃあ次は、開拓のための人員と安全の確保ね」


一ヶ月の訓練を終えた私は、隣に控えていたルークとシェラに向き直り、前世の開発経済学の知見を活かした具体的な指示を出した。


「魔獣を倒した手前側の方から木を切り倒して、周囲を見えやすくして安全を確保したいの。だから、腕の良い木こりを何人か雇ってちょうだい。それから、冒険者ギルドへ正式に護衛依頼を出して」


「承知いたしました。木こりたちの作業中の安全はもちろん、アルカ様たちの周囲の警戒も含めて、確実な実力を持つ上位の冒険者パーティーを複数指名で手配いたします」


ルークが手帳に素早くペンを走らせ、手際よく冒険者ギルドへの発注書類をまとめていく。


ただ魔獣を討伐するだけでなく、木を伐採して視界をクリアにすることは、不意の奇襲を防ぎ、開拓スピードを劇的に上げるための鉄則だ。さらに雇った木こりに賃金を支払うことで、領内の資金循環を促すというマクロ経済学的な効果も狙っている。


「あとは、万が一の怪我に備えた備蓄ね。アズキ,お願いできるかしら」


「アズキ、癒(いや)しの葉(は)!」


愛らしい小豆の姿をしたアズキがすっと手を挙げ、一歩前に出た。


アズキの個体能力は【癒(いや)しの葉(は)】。使うと体力が全回復する不思議な回復薬を出すことができる。今回はその能力を検証し、できるだけ多くストックしておくのが目的だ。


アズキは男爵邸の庭の隅に行って、ちっちゃな体で土の中へと潜っていった。完全に隠れず、半分だけ顔を出した状態で動きを止める。


「あら、可愛いわね。そこで何をするのかしら」


シェラが興味深そうに見守る中、アズキの頭のてっぺんから、小さな緑色の芽がひょこっと顔を出した。


ポンッ、ポンッ、ポンッ!


次の瞬間、その芽から淡い緑色の光を放つ美しい葉っぱがどんどん落ちていった。何枚もの【癒しの葉】が、まるで舞い散る木葉のようにアズキの周りに積み上がっていく。


そのうち、アズキは溶けるかのように土に消えていった。


「すごいわ、アズキ! これだけの量の回復薬が一瞬で手に入るなんて!それに、召喚獣の草タイプは一度個体能力を使うと召喚獣に戻ることはできないのね。」


私はすかさず『次元統括(ディメンション・マスター)』を発動し、庭の隅に広がった大量の葉を意思ひとつで無限収納の中へと吸い込ませていった。アズキたちに何度か同じ動作をしてもらい、私たちは十分すぎるほどの【癒(いや)しの葉(は)】を無限収納の中に溜め込んでストックしていくことに成功した。


(完璧だわ。パパからの護身の教えを受けて一ヶ月鍛えたし、パパとルークの同行も決まった。木こりや冒険者ギルドへの護衛依頼も手配して、アズキのおかげで回復薬のストックも山ほどある。これなら何が起きても安全に拡大再生産のサイクルを始められるわね)


準備はすべて整った。成長の限界を迎えた領都ランバートの未来を切り拓くための、超巨大プロジェクトがいよいよ幕を開けるのだ。


「よし、みんな! 私たちの快適な領地をさらに広げるために、5km先の未開拓の森へ向けて出発しましょう!」


私の元気良い号令に、パパやルーク、そして魔導カードからいつでも飛び出せる準備を整えた新しい仲間たちが、それぞれの胸に強い闘志を宿して頷いた。


私たちは心地よい秋風が吹き抜ける中、領民たちの未来を背負い、頼もしく男爵邸の門をくぐって出陣していくのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


パパに一ヶ月みっちり鍛えられ、秋の心地よい風が吹く中でいよいよ出発の準備を整えたアルカ。アズキが庭の隅で土に潜り、頭の芽から「癒しの葉」をポンポンと落として量産していく姿はとても可愛らしくて癒やされましたね。

木こりや冒険者ギルドの手配も完璧に済ませ、マクロ経済学の拡大再生産サイクルを視野に入れたアルカの頭脳にはさすが元教授という安心感がありました。


「アズキの能力発動の仕草がほのぼのしていて可愛い!」「すべての準備を終えて、いよいよ秋の森へ出陣するアルカたちの今後の戦いが気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!


次回もどうぞお楽しみに!

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