第二十一話 適材適所の能力と、領主の器
お読みいただきありがとうございます、つむ教授です!
第20話『神が宿る才能と、リビングの召喚術』では、10kmにわたる『ルートハーバー東西通り』を一瞬で完全舗装したアルカの規格外な成果を前に、パパとママの脳内補完が限界突破!「商業ギルドに頼むより、アルカに使用人(メイドと執事)を集めてもらえないかな……」という、まさかのスカウト業務委託のお願いが飛び出しました。
家事だけでなく自分の内政管理の右腕になってくれる有能な人材を仕込むため、アルカはそのお願いを快諾。さらに「お父様たちも召喚術を見たい」という熱い希望により、なんとリビングのど真ん中で次なるサモンを敢行することに!
第21話は、パパとママが固唾を呑んで見守るその直後から始まります。
眩い光の中から現れたのは、これからの領地経営と人材集めを大きく変える、黄金色に輝くちんまり可愛い新たな仲間でした――!
パパとママが固唾を呑んで見守るリビングのど真ん中。
私が床に向かって小さな手をそっとかざすると、視界が真っ白に染まるほどの眩い光がリビングの全体へと溢れ出した。
「おお……!」
パパたちの驚愕の吐息が聞こえる中、光が徐々に収まった床の上に、ちんまりとした新しい仲間が姿を現した。
手のひらに乗るほど小さなその子は、輝くようなきつね色の美しい毛並みと、ふさふさとした尻尾を持った、最高に愛くるしい子ギツネだった。
「こん!」
賢そうなつぶらな瞳で私をじっと見上げると、可愛らしく鳴き声を上げる。
私はその愛らしさに微笑みながら、さっそくこの子の名前を決定した。
(きつね色だし、私の魔力を受けて美味しそうな黄金色に輝いているわね。よし、きみの名前は『オアゲ』よ!)
5歳児らしい直球のネーミングに、オアゲは嬉しそうに「こんこん!」と鳴いて短い尻尾をパタパタと振った。
スノウ、モカに続く、3体目のカラーコンビの誕生だ。
私はごくりと唾を呑み込み、あのスペシャルスキルを発動させてオアゲのステータス画面を看破した。
(――万象真眼――)
目の前の空間に半透明のウィンドウが出現し、私の学者脳はその完璧な人事特化のステータスに、不敵な笑みを深く刻み込んだ。
『種族:グランドフォックス ※変異種』
『ランク:G』
『個体能力:【適性看破】』
『スキル:【適材適所】【成長予測】』
(……素晴らしいわ! 人の適性を分析し、最適に配分し、さらに将来の成長の限界まで見通す完全な人事特化のバグ召喚獣じゃない!)
パパから頼まれた使用人集めを、能力のミスマッチなく完璧にクリアするための最強の右腕。
これだけのチート能力があれば、我がルートハーバー家にふさわしい真の優秀な人材を、ノーミスマッチで一網打尽にできる。
さらにアルカの頭脳は、さっき外で確認していた、モカの『地脈感応・資源探査』が解放された未来の展望とも、このオアゲの能力を美しく繋ぎ合わせていた。
(モカの資源探査の能力が解放された今、我が領にはこれから間違いなく新たな産業や資源開発の未来が生まれるわ。そのためには、ただの家事専門のメイドや執事だけじゃなく、領地経営の実務や頭脳労働を回せる隠れた優秀な右腕が絶対に必要になる。オアゲの能力は、そのために不可欠よ)
パパとママがオアゲの賢そうな気配に「アルカはまたしても聖獣を……」とガタガタ震えている中、私はトコトコとパパの前に歩み寄り、5歳児の見た目で知的な提案を仕掛けた。
「パパ、ママ、お願いがあるの! 今度の使用人さんの募集ね、商業ギルドの『紹介状なし』で、領民のみんなを対象にした面接にしてほしいの!」
「えっ……? 紹介状、なし……かい?」
パパが驚いたように目を丸くする。
前世の開発経済学の理論から言えば、商業ギルドがおすすめできる人だけに渡す紹介状に頼っていては、ギルドの評価基準から外れてしまった貧しい領民や、まだ見出されていない隠れた大天才を最初から排除してしまう最大の障害なのだ。
全員に門戸を開くフリー面接にすれば、オアゲの能力で我が領に眠る最高の原石たちを全て見極め、発掘することができる。
「うんとね、紹介状がない貧しい人の中にも、すっごくお仕事が上手な人が隠れているかもしれないでしょ? だから、みんなにチャンスをあげたいの!」
私が5歳児の可愛い声でおねがいを響かせると、パパとママは言葉を失ったように顔を見合わせ、そのあまりにも深い先見の明に、またしても涙を流して深く感動し始めた。
「そうか……! 商業ギルドの肩書きに頼らず、我が領のすべての領民にチャンスを与え、その中からオアゲちゃんたちの力で真の忠臣を見極めようというんだな……! アルカ、お前はなんて素晴らしい領主の器んだ……っ!」
パパとママがデレデレに限界突破して大いなる納得をみせる横で、私は前世の頭でほくそ笑む。
(ふふ、紹介状なしのフリー面接への切り替えは成功ね。さぁ、オアゲの『適材適所』を使った、最強のスカウト無双を始めましょう!)
3体のカラーコンビを両肩と足元に従えた私は、のんびり快適な暮らしの基盤をさらに完璧にするため、心の中でニヤリと不敵な笑みを浮かべるのだった。
第21話をお読みいただき、ありがとうございました!
パパとママの目の前で敢行されたリビングでのサモンによって誕生したのは、美味しそうな黄金色に輝くふさふさ尻尾の子ギツネ『オアゲ』でした!
5歳児の見た目で「きつね色だからオアゲ!」と直球すぎる可愛い名付けをしたアルカでしたが、その中身を『万象真眼』で看破すると、恐るべき人事特化のバグステータスが判明。
個体能力【適性看破】で相手の隠された適性を見抜き、スキル【適材適所】で最適な場所へと分配し、さらに【成長予測】で将来どこまで大化けするかという限界値まで見通してしまう、完全無欠の人事チート能力者でした。
さらにアルカは、さっき外でモカのレベルが上がった際に見つけた『地脈感応・資源探査』の未来の展望ともこの能力をドッキング。これから生まれる新たな資源開発の未来に向けて、家事専門の使用人だけでなく、領地経営を実務で回せる「隠れた優秀な右腕」を発掘しようと冷徹に計算を開始します。
そこでアルカがパパへ仕掛けたのが、「商業ギルドの紹介状なしで、領民全員を対象としたフリー面接にしたい!」という知的な提案。
ギルドがおすすめできる人だけに渡す紹介状に頼っていては、評価基準から外れた貧しい領民や、まだ見出されていない隠れた大天才を最初から排除してしまう。全員に門戸を開くことで、オアゲの能力を使って我が領に眠る最高の原石をノーミスマッチで一網打尽にしようという作戦です。
これを5歳児の可愛い声でおねがいされたパパとママは、その深い先見の明にまたしても涙を流して大感動(笑)。「なんて素晴らしい領主の器なんだ……っ!」とデレデレの限界突破を見せてくれました。
白のスノウ、茶のモカ、そして黄金(黄)のオアゲ。最強の3体のカラーコンビを従えたアルカによる、領民全員を巻き込んだ「前代未聞の最強面接無双」が、いよいよ本格始動いたします!
次回、第22話。
ついに始まる紹介状なしのフリー面接。
オアゲの人事チート能力によって、一体どんなとんでもない能力を隠し持ったバグ領民(大天才)が発掘されてしまうのか――!?
「人事特化のオアゲちゃんのステータスにワクワクした!」「紹介状なし面接の理論的な提案が格好いい!」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページから【ブックマーク登録】や【評価の☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、つむ教授の執筆エネルギーがさらに無限(∞)になります!
次回もどうぞお楽しみに!




