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グレイブクリエイトオンライン~VRMMO嫌いがてけり・り~  作者: 蒼井茜


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プランB

 それからしばらく私と三佐は街中での聞き込みやクエストの確認を行った。

 昨今のAIは素晴らしい物であり、実際の人間と遜色ない反応をしてくれる。

 いずれは彼等AIにも人権をという話も出ているが、その頃には私はハンコを押すだけの立場になっているだろう。


「いやぁ、どうも普通のゲームですね」


「一般向けにもリリースされているからな。ただ知名度的には100位前後をうろうろしているそうだ」


「それ結構凄いですよ。VRMMO最高の時代って言われてる現代で2桁と3桁の間を彷徨うくらいの実力があるってことです」


「少子高齢化による墓参り問題とかではなくか?」


「それもあるかもしれませんが、VR主流の現代において家族や友人の死って言うのは遠いものです。なにせ死んだ相手すらAIに意識転写して死後アドバイスをしてもらうなんてパターンもありますから」


 大手企業がやっている手法だな。

 死人の脳をスキャンして、情報処理能力を与える事でアドバイザーに死人AIを利用する。

 あまり気持ちのいい話ではないが、家族との死別に耐えきれなかた鬱患者なんかの治療にも使われるらしい。

 他にも多重人格の治療法の一つとして確立されているらしいが……専門スタッフじゃないからわからんな。


「それより問題はこのゲームのシステムですよ」


「システムというかコンセプトだな。まさか墓荒らしと墓造りでこんだけ稼げるとは」


「発想の転換といいますか……人間の死すら商売にするのだから恐ろしいものです」


「需要と供給の問題だろ。少なくとも人の生は売り物になるから今も昔も農産業はあるし、オートメーション化されても飯屋の需要は変わらん。睡眠の質を追い求めれば無限の沼にハマり、そして性に関してはそっちも病気や妊娠の心配のないVR化と一部富裕層向けの生身の男女が売買されている。そんで生が売れるなら死だって売り物になる」


「先輩はなんというか……本当にペシミストですね」


「リアリストだと思うんだが?」


「リアリストはハッカーなんて覗き屋やりませんよ」


「それを言うならハッカーよりクラッカーの方がロマンチストだろ。少なくとも世界を変えてやろうなんて連中は英雄志向の強い夢見がちな奴らばかりだ」


「そんな幻想抱いてる奴は三流です。できるけどやらない、やる意味がないと理解しているクラッカーこそ一流と呼べます」


 ならおまえはどうなんだと問いただしたくなるが……まぁこいつの場合ただの愉快犯だからな。

 やらかした罪状を並べあげても一貫性は無し、だからこそ捕まえるのに時間がかかった手合いだ。

 ハッキングとクラッキングは似て非なる技術で、錠前を開けて中に入るまでは同じでもその先が少し違う。

 家具を配置し直すクラッカーと、中を見て満足するハッカー。

 そこには感覚からして大きな隔たりがあるし、必要な技術も違ってくる。

 そういう意味じゃ私より三佐の方が余計な技術を持っていると言えるんだが……錠前を開けて足跡を残さないってところだけは共通なんだよな。


「で、この辺りでいい感じの墓はあったか? 私が見繕ったのは運営が用意したモデルダンジョンだが」


「プレイヤー作成の物ならこの辺りは大したものは無いですね。クリア報酬もしょぼいです」


 このゲームの根幹はダンジョンアタックだ。

 一方でダンジョンを作る事で倒したプレイヤーやNPCの質と量でゲーム内通貨を得る事もできるのだが、面白い事にそれらの通貨も遺産として残す事ができる。

 つまりは難易度の高いダンジョンを用意する事ができれば残す遺産、あるいは現金化するための金額がかなりの物になるわけだが……当然ダンジョンを作るのだって金がかかるし、制約もある。

 その筆頭ともいえるのが「クリア不可能な物はシステム的に弾かれる」という内容だ。

 つまりはどんな形であれクリアできるようにしなければいけないのだが、この辺りは初心者エリア。

 ダンジョンを作るにしても難易度が高い物は作れない。

 それを熟知している高レベルプレイヤーなんかは高難易度ダンジョンの攻略に挑むか、さもなくば安全な場所でパートナーと共にのんびりと暮らしている。


 なるほど、投資プランの初期金額がゲーム内通貨の初期金額に影響を与えるというのはそういう事かと納得させられたものだ。


「とりあえず比較検証だ。どうする、パーティで行くか」


「んー、いえ、今回はそれぞれ公式ダンジョンとプレイヤーダンジョンを順番に当たってみましょう」


「その心は?」


「まず公式ダンジョンで私達の実力を試しつつ、データの採取。次にプレイヤーダンジョンで差異の比較。そして最後に私達のデータをすり合わせてデータを二重で取る目的です」


「そうだな、そのプランで行こう」


 三佐の言葉にパーティ解散をして、それぞれ決めた順番でダンジョンに潜る事にした。

 まずは私が見繕った運営に造られた公式ダンジョンを三つ、それを終えたらプレイヤーが作ったというダンジョンに潜る事にする。

 さて、鬼が出るか蛇が出るか。


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