第七章:工場に響く戦火
三勢力が交錯する夜
工場の内部は戦場と化していた。レジスタンスのメンバーは、かなさのバーサーカー護衛隊に追い詰められながらも必死に抵抗していた。蓮は息を切らしながら、ゴム手袋を嵌め直し、周囲を見渡す。
「涼子の部下も入り込んでいる……この混乱をどうにかしないと」
彼は、かなさの髪に仕掛けた薬剤がどれほど効果を発揮しているのか確認する暇もなく、バーサーカーと第三勢力の部下たちに挟まれていた。
かなさの絶対的な力
その中で、かなさは冷静さを保っていた。彼女は髪を軽くなびかせ、近くのバーサーカーたちに目配せした。
「全員、私の指示通りに動きなさい」
魅了された彼らは、完全に彼女の命令に従い、第三勢力の部下たちを圧倒し始めた。
「どうして私の髪を狙うのかしら?」
かなさは遠くから涼子を見据え、冷たく笑った。「あなたには、この髪を扱う資格なんてないわ」
涼子はそれを受け流しながら叫ぶ。「その髪は、この世で一番美しい。でも、それを守るためにどれだけの人を犠牲にしたか、あなたにはわかっている?」
「犠牲?」かなさの声には軽蔑が混じっていた。「この髪を保つためなら、どんな犠牲も当然よ。それが世界の理じゃないかしら」
涼子はその言葉に歯噛みしながら、部下に命じた。「今よ、かなさを囲んで!」
涼子の策略
黒谷涼子は、かなさの髪を奪うために特注の「毛根引き抜き装置」を持ち込んでいた。それは、強力な吸引力で髪を毛根ごと抜き取るための道具だ。
「かなさの護衛たちを引き離しなさい。私は髪を奪う準備をするわ」
彼女の部下たちは次々にバーサーカーを足止めし、涼子がかなさに接近する隙を作った。
涼子は装置を構え、かなさに向かって静かに歩み寄った。「この髪を手に入れたら、あなたの支配なんてただの幻よ」
しかし、かなさは動じず、冷ややかな視線を向けた。「あなた、私の髪を奪えると思っているの?触れた瞬間に魅了されることを忘れたのかしら?」
涼子は冷笑を浮かべた。「それを防ぐ方法は、もちろん考えてあるわ」
彼女の手には薄手のゴム製のスーツが着用されており、髪の魅了効果を無効化する対策を施していたのだ。
「さすがね」かなさは小さく拍手をした。「でも、そんなに簡単にはいかないわ」
かなさの冷酷な一手
かなさは、わざと涼子に隙を見せるような動きを取った。涼子が毛根引き抜き装置を構えてかなさに接近した瞬間――。
「バーサーカー、彼女を囲みなさい」
かなさの声が響き渡ると、周囲の魅了された護衛たちが一斉に涼子を取り囲んだ。
「何をするの……!」
涼子は動揺しながらも、装置を作動させようとしたが、かなさの髪はその場でふわりと広がり、彼女の顔に触れた。
「あなたの装置がどんなに優秀でも、この髪の力には勝てないわ」
かなさは涼子の頬に髪を撫でつけ、冷たく微笑んだ。「さあ、どうする?私の虜になりなさい」
しかし――涼子は魅了されなかった。彼女の冷静な瞳が、かなさを鋭く見つめていた。
「あなたの髪に頼った力なんて、私には効かない」
涼子はそう言い放つと、装置を再び構えた。「今度はあなたが恐怖を味わう番よ」
蓮の奮闘
一方、蓮は工場の一角でレジスタンスのメンバーを率い、かなさのバーサーカーたちに応戦していた。
「くそっ、このままじゃ全滅だ……」
しかし、そのとき、彼は第三勢力の部下たちが持ち込んだ装置を目にした。それが「毛根引き抜き装置」であることに気づいた蓮は、咄嗟に叫んだ。
「涼子のやつ……あれを使うつもりか!」
彼は隙を見て、涼子に接近しようとした。かなさの髪を奪わせるわけにはいかない――しかし、かなさ自身も敵だった。




