第9話: コンクエスト
とりあえず3つの班に分かれることにした。クラスの人数は33人。旗を守る護衛班、積極的に魔獣に攻撃を仕掛ける遊撃班、そして全体をサポートをする後援班、それぞれ11人で別れた。
作戦を立てる時間はない。とにかく持ち前のセンス、そして協調性が問われるだろう。今は訓練の開始を待つしかなかった。
ピピィィィ
開始の笛が鳴った。あらゆる方向から魔獣がこちらを睨みつけている。
「やるか」
遊撃班
ジェイドをはじめとした腕っぷしの集団が集まった。遊撃班の仕事は、森の中に入り、強そうな魔獣を旗に近づけさせず処理すること。小さな魔獣は護衛班と後援班に任せることにした。
先に仕掛けたのはこちらの方だった。
イカナが真っ先に詠唱する。
「<マイズ>」
火球が魔獣を襲う、良い威力に見えたが、少し怯んだあと高速でこちらに向かってくる。
「うわっ まじかよ じゃあこれでどうだ」
「<ヴォンス>」
炎の壁が現れた。勢いよく燃え盛る壁は、魔獣の方へ覆いかぶさった。
グァァァァァァ
魔獣が呻き消滅した。
「ナイスだイカナ!俺も負けてらんないわ」
出席番号11番ゼロン・ダイン
属性闇 固有魔法「深淵の中でも闇は」
『深淵の中でも闇は』
黒い物体が浮き上がり、魔獣の方へ物体が突撃する。
すると魔獣はその場で苦しみだした。
「おいゼロン今のなんだ?」
「パラノイアが命中すると、対象はしばらくの間何も見えなくなり衰弱させることができるのさ まだいくよ」
「<ボア>」
黒き波動が魔獣に向かう。ドンッっと破裂した音がなると魔獣は消滅した。
「よくやったゼロン!! だがまだまだ多いな」
遊撃班の必死の攻撃により、ペースはこちら側である。だが、時間が経つごとに魔獣の数は増加し、手強くなっていく。
「ふ、中々強い魔獣が多いね。この調子だと少し危ないかも」
「大丈夫さ、時間は僅か20分。とにかく時間を稼げればこちらのもんさ」
魔獣と戦うごとにその経験が身に染みていく。やはり経験がものを言う世界、過酷ながらも生徒達は次の手を考える。
「1匹ずつやってたんじゃあキリがねぇや。魔獣達を誘き寄せてまとめて倒そう!」
「OK 俺が魔獣を呼んでくるよ」
出席番号28番 モーラン・ダラ
『淡い幻想』
グルルルルルル
魔獣達がモーランの元へ駆け寄ってくる。
「なんだそれ、魔獣達がフラフラしているぞ」
「これは対象の脳を混乱させて、幻想に誘うんだ。この状態なら少しくらい対象を意のままに動かせる!」
「それはスゲェ魔法だ!頼んだぞ俺らは範囲魔法の準備をする!」
モーランが魔獣をまとめている間、集まり詠唱を開始する。
「そろそろ限界だ!魔法を放ってくれ!」
モーランの声と共に魔法が放たれた。
「<マイズ>」
「<ボア>」
「<ゼイラ>」
ドガーーーーーーーーーン
様々な属性が、魔獣の集まりに放たれ、殲滅に成功した。
「良い作戦だったなゼロン!」
「これもモーランのおかげだ。ありがとう」
効率よく魔獣たちを対処していく。
いつの間にか森の深い所に入ってしまっていた。
嫌な予感は現実となる。
班員は大きな影に覆われていることに気づいた。
「ははっ これはヤベえな」
突如として現れたのは、巨大なムカデの形をした化け物である。
「これは魔”獣”ではないんじゃね?」
アズ先生はいい感じの言葉が思いつかなかったのだろうか。
「とにかくこのデカブツをなんとかしないと」
「<ゼクシオム>」
後方から声が聞こえる。複数のチャクラムがムカデを貫く。
だが、傷口は瞬く間に再生していく。
「ならば 連弾<ゼクシオム/グロア>」
複数あったチャクラムが1つの巨大なものとなる。
「貫け!」
スパンッ!
化け物は頭から尾まで真っ二つに切り裂かれた。
「すげぇ あんな巨大な化け物を1人で倒してるぞ!」
「連弾を使いこなすとかヤバすぎだろ」
連弾とは、通常の魔法に加えて追加効果を与えるコマンドのような魔法である、グロアなら複数放出される魔法に対してまとめることで巨大化させ、威力を増大させる効果がある。
「こんなものか、思ったより脆いのだな」
ジェイドは気づいていない。倒したムカデは、この世界の上級魔術師でも苦戦する相手だと。
そして遊撃班は、あまりにもムカデに集中してしまったことを。
遊撃班が戦果を挙げる中、後援班・護衛班はピンチに陥っていた。
「まずい このままでは旗が...」