第10話: 反撃
完全に侮っていた。小さな魔獣でも弱いとは限らないということ。
広場に近づくにつれ、毛色は青く染まり雷をまとった。
「うかつに手を出せないぞあれは」
1匹まだまだしも、10匹単位となると話は変わってくる。一気に魔獣たちは、旗に突撃していった。
必死に個々それぞれ魔法を使うも、あまり効果がないように見えた。
「くそっ このままでは危険な位置まで侵入されてしまう」
こうして、慌てていると、魔獣は危険域へ侵入しようとしていた。
「雷属性には水属性の魔法を使うんだ!」
護衛班の1人が言う。属性には相性があり、このようなとき一番考えなくてはいけないことだ。
「皆魔獣から離れて!」
メルスが叫ぶ。
「私に任せて! <ヴィーレ>」
大きな波が現れる。波状に展開された魔法は、魔獣たちを覆う。
パチ バチ バチン
魔獣から軋むような音がし、しだいに青き毛はしなびれた。
「魔獣の雷を無力化させたわ とどめをお願い!」
「俺がやる」
そういうと魔法で剣を作り出し、普通に魔獣を斬っていく。
手際よく魔獣を処理し、男はこちらにドヤ顔してくる。
「あんた本当に魔術師なのよね...?」
「あぁこのマジックソードがあればなんでもできるぜ☆」
出席番号20番 ナブラ・ラシアン
固有魔法はないが、気分によりステータスが極端に変化する固有能力を持っている。
「絶好調だな! ナブラ!」
「あぁ いつもより余計に回しております なんてな」
...クラス1位を争う調子乗りである。
「しゃあ!まだまだやるぜっと おっとっとコケそうになったぜ」
「気を抜くなよ!じゃんじゃん敵はいるぜナブラ!」
「おう!マジックソードでMVPを狙うぞ!」
10分が経過した。残り半分、まだ半分もあるのかと疲労を見せる人もいる。
「こっからもっと魔獣のレベルを上げるぞ」
この畜生により、魔獣へ向いていたヘイトはアズ先生に向きそうになっているが、ここはこらえた。
次第に小型魔獣は減り、中型~大型が増えてきた。
「ちょっと護衛班が厳しいな、1匹の魔獣の対処にかなりの人員が必要だ。このままではキャパをオーバーしてしまうぞ」
すでに広場の周りには危険な敵が多数存在しており、護衛班と後援班だけではとても対処できる量ではなかった。
「ここは遊撃班も広場に集まろう」
もはや遊撃などしている暇はない、皆でとにかく耐えるしかない。
「イタッ」
「大丈夫?」
「ちょっとねん挫しただけだ...イタッ」
「休んだ方がよさそうだね」
魔獣たちの猛攻により、ケガ人が出る中、この状況を脱する糸口が見つからないままであった。
後援班
「<ヒールポイント>」
後援班には主に、戦闘補助魔法をかけたり、遊撃班と護衛班のベンチ役として機能した。
<ヒールポイント>は使用者から近い者の、細胞組織を活性化させ、けがの治りを早くすることができる。
「どんどんケガ人を連れてきて!回復させるわ!」
あまりにも突然決まった実習内容。しかし即席の部隊ながら、役割をしっかりと理解し活躍する人も続々と出てきている。その姿はもはや入学式をつい最近やった1年生とは思えないほどであった。
「やるなお前ら、ここまで耐えているのは初めて見たかもな」
アズ先生は生徒を褒めながらもその手を抜く素振りは見せない。それどころか数は増えていく。
「イカナにたいぶ疲れが出ている。後援班の誰か代わりに出てくれないか」
「ぼ 僕が出ます!」
ルーナが前線に投入された。
「怖いけどやるしかないよね」
「<ゼイラ>」
雷魔法は、他の属性に比べて、範囲が広いのが特徴だ。ルーナの必死の活躍もあってか、前線は再び息を吹き返す。
「ルーナも頑張ってるんだ 俺らもやらねぇと示しが付かねぇ」
懸命な攻防が続く、幸いにもまだ旗のそばに到達した魔獣はいない。遊撃班の仕事もあり、前線は未だ維持し続けている。
「おい、誰か交代してくれねぇか闇属性のやつ!この黄色く発光している魔獣は闇が効きそうだぜ」
「僕が行く」
「<ダーケン>」
黒く染まった矢が多数出現し、魔物を貫いた。
「ナイスだ!やっぱり見た目通りだな。少し特徴のある魔獣が増えてきたから警戒するぞ!」
「あぁ、この魔獣達を倒したら他の属性の人と変わる」
こうした人と交代することで、属性有利を付けながら戦闘を継続する事ができた。
全体的にペースは落ちていない。
全体の指揮が上がる中、最後の試練が俺たちを襲った。




