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第50話: 刀狩り

 ガヤガヤガヤガヤ

休み時間、教室は賑やかだった。


コンコンコン

「失礼します」


入った瞬間その賑やかさは失われる。

「え、高等部の生徒?」

「何かやらかしたっけ俺?」

謎の憶測が教室に飛び交うが、俺たちの目的はただ一つだ。


「アカメ・ユキカゲさんはいますか?」

メルスの声がクラスに届く。


「はい!私です!」

思っていたより活発な女の子がやってきた。


「君が刀を普段携帯しているって聞いたんだが…」


「はい!ロッカーの中にありますよ!」

そう言うと教室を走り、こちらへ持ってきた。


「ちょっと担任から話を聞きましたよ!どうやら刀使いが犯人らしいですね!」

明るい声で割と物騒な事を言う。


「少し調査をしていてな。それはどう言う理由で使っているのか聞きたいんだ」

するとアカメは即答した。

「父上が、“忍たる者常に用心するべし”って事でいつも持たされている所存です!」

どうやらこの世界でも忍がいるらしい…まぁそれは置いといて見た感じでは犯人には見えなかった。


「それで事件の時とかはどうしていたか聞いてもいいか?」


「はい!最近で言えば先月ですよね!その時は全国異術披露会に出ていたのでアリバイがあります!」

忍の者も色々と大変らしい。


「なるほど…じゃあ犯人ではなさそうね。今のところ同一犯というのが濃厚だし」


「あぁ 忙しい所すまないな。事件が起きた時結構大変だったんじゃないか?


「はい!この中等部では私しか刀を所持していないので、私かと最初は疑われましたが何故か一瞬で疑いが晴れました!」

….おそらくこの性格なら殺人などしないという事だろう。クラスの人からの信頼も厚く、この人でなければもっと大変だっただろう。


「今日はありがとうアカメさん。必ず犯人を捕まえてみせる」


「はい!皆さん頑張ってください!陰ながら応援してますよ!忍だけに!」

最後の部分は聞かない事にして、手を振って見送るアカメを俺たちは笑顔で返し、高等部へ戻った。


ーーーーーーーー


「なんか新鮮な感じだったわね中等部」


「あぁ、俺も中等部からこの学園にいたかったぜ」


「まぁ普通にお金かかるから高等部からの入学でもありがたいよ」

 高等部では補助金がかなりの額を国から補助してもらっているため、家の財政問わず入学することができるが、中等部では授業費から何まで全て高いので、お金持ちの家庭の人が入っているイメージである。


「ええと、次は高等部1年Fってウチのクラスじゃん!」

メルスが驚いて紙を見る。

「え、マジかよちょっと見せろよ….シグレ・ツキカゲって俺の隣の席のやつじゃねぇか!」


「刀を持っている人はラストネームに“カゲ”って入っている人が多いね」


「まぁ家系的にそうなんだろうな」

ジェイド達は自教室へと赴いた。


「お~いシグレ!お前刀持ってたのかよ!」

ナブラがシグレに話しかける。


「あぁ、誰にも言ってなかったが伸縮性のあるタイプでな」

そう言うとバッグから柄(刀の持ち手の部分)っぽいモノを取り出した。


「ん?それが刀?」


「これをこうして」


シャキーン


柄から突然刃の部分が飛び出した。


「うわすげぇ!そんなタイプもあんのかよ!」


「小刀だけどな、護身用ならこのくらいで十分だ」

自慢げに見せつけ、再びしまう。

そうするとシグレの方から言ってきた。

「事件についてだろ?実は先月、ある大会に出ていてな。中等部のやつと出場していたんだよ」


「あぁ さっきそいつから話を聞いたぜ!異術なんたらってやつだろ?」


「アカメからも話を聞いていたのか!あいつとは親戚でな、人と喋るのが好きだから今頃喜んでいると思うぞ」

どうやらシグレにもアリバイがあるらしい。


「おう!疑って悪かったなシグレ!」


「まったく、満月の時に騒ぎを起こすとは“ツキカゲ”の名が汚れてしまう。犯人探し頼んだぞ!」


「このナブラ様に任せときなって!」


こうして順調に調査を続けるも犯人と思われる人は居なかった。

「おい、これ本当に生徒の中に犯人がいるのかよ…」


「なんかどの人も証拠があって、中々難しいよ」


「やはり生徒ではないのかしら」

 それが最悪のパターンだ。一般の人となると、調査しようにもこの人数では対処する事は出来ない。やはり警察に任せるしかないのか。落ち込んだ心を持って生徒会へ報告しに行く。


ーーーーーーーーー


「どうだったかしら。調査の結果は」


「不審な人物は誰一人いませんでした。誰もが大会に出場していたり、家族と過ごしていたりして証拠があるんですよね」


「その場所を抜け出したりして犯行に及ぶ。という可能性もあるわもっと慎重に捜査しないとね」

事件は再び振り出しに戻る。調査の爪がやや甘かったかと思うも、今ある証拠でなんとかするしかないのだ。


「ジェイド君のクラスメイトの件なんだけど、多分小刀では人の体を真っ二つにするには無理があると思うわ。その他の小刀所持者にも言える事ね」


「確かにそうだな。長身の刀を持っていたのは….ざっと8名くらいか。まぁまぁ絞れたんじゃないか」

ここでルーナが口を開ける

「でも、生徒以外の人がやった可能性も否定できないよね….そうなると人数が無限に増えちゃうけど…」


「そうね。このままでは生徒がやったという確証がないから、調査し続けても時間の無駄ね。満月にはまだ時間があるわ、慌てずにいきましょう」

生徒会長は冷静だ。だが今はその冷静さが怖い。いつまで調査をすれば見つかるのか、いや見つからないのか一番怖かった。


「今日は解散ね。それにしても警察も随分手こずっているようね わたしたちの方が核心に近づいているのかもしれないわね」

そう言い残し、部屋を出ていった。


「はぁ 中々難しいね調査って」

ルーナがため息を吐きながら言う


「すぐに見つからないから燃えるって言うのもあるだろうが、流石にそろそろ見つけたいぜ」


「もしかしたら満月の日俺らが立ち向かった方が案外上手くいくかもな」

ジェイドが恐ろしい提案をしてきた。


「イヤイヤイヤイヤ それはごめんよ!最近訓練しているとはいえ、この訓練が無駄になって欲しいと願うばかりよ!」


「それはそうだな」

だが、俺らはもしかすると迎えるかもしれないその日に向けて、技を磨く事も大切だ。


ーーーーーーーーーーーー


今日は実習の日だ。しかし体術科の先生が出張なのでいつものアズ先生と訓練する事になった。

集合場所はいつもの第2体育館であった。


「他のクラスメイトはEと合同で実習をやってもらってるから今日は俺とやってもらうぞ」

コンテストの前にあった実習の時のように、グラサンを付けたアズ先生がいた。


「先生ー 今日は何をやるんですか?」


「おいそこ!この時間は“アズ師匠”と呼べ!それと内容は今から話す!」

そこまで一緒であった。いつもの実習ではやる気の無さそうに始めるのに、特別な実習の時はいつもこうだ。


「今日の実習内容はこうだ」

「俺からとにかく逃げてもらう」


「え?なんだそりゃあ それでいいのか?」


「あぁ 本当に逃げられるならばな」


ヒュッ!


するとナブラの背後に瞬間的に移動してきた。

「このスピードでな」


「ハハハッ この学校の教員はいつも背後にワープしてくるな…」

ナブラはあまりの出来事で声が震えている。それはメルスも一緒であった。


「この前は、暗殺者役だったけど今度はターゲット役に回るって事ね….ハァ」


「制限時間は3分 それまでに攻撃を避けたり、やり過ごせればお前らの勝ちだ」

 単純なルールだが、簡単な実習ではないだろう。上級魔術師である”アズ師匠“から逃げ回るのは至難の業だと言える。俺たちは来るべき日に備えて真剣な目で臨む。

「俺は本気だからお前らに魔法をかけておく <ベイド> <ディオス>」

ベイドは物理攻撃を一定の威力まで防いでくれる魔法だ。しかし消費魔力が大きく、詠唱時間も他の魔法と比べ長くかかってしまうため中々実践ではつかい魔法の1つである。


「じゃあ30秒後に始めるから、構えとけよお前ら」

フィールドは体育館の中のみだ、逃げ場などない。一人一人が戦うより4人で協力して師匠に立ち向かうのがベストだろう。作戦を手身近に話し、構える。


「じゃあ、行くぞ」


スッ


「「「消えた!」」」


「こっちだぞ」

ルーナに急激に接近し、短剣を突き出した。


「<ランゼ>」

パッ!


瞬間的に短剣を避ける。

「やるな!だが終わりではないぞ」

外したかと思えば姿勢を変え、空中で短剣を再び突き出してきた。


「わわ! <フォース>」


バンッ!

爆風によりルーナは師匠を遠ざける事に成功した。


「やるなルーナ!しっかりと訓練の成果が出ているぞ!」

そう言いながらも次の手を打つのをやめない。


『狂気に導かれし者よ(ディザイア)』


「お、おい固有魔法は無しだって!……..ウガァァァァァ」


「わ、ナブラがおかしくなっちゃったよ!」


「<マジック….ソー..ド>!」

ナブラは暴走しながらも武器を取り出す。

師匠は感心している。

「本来は暴走状態だと自身で魔法を使う事は出来ないはずだが。こいつ、思念が強すぎて発動してしまうのかよ」


暴走したナブラはルーナへ襲い掛かる。


「ごめんよ ナブラ!<ゼイラ>」


グァァァァァァァ

ビリビリビリ


ナブラは雷に打たれ悲鳴を上げている。

「忘れているなお前」

スッ


師匠がルーナに接近しているのに、本人は気が付かなかった。

「あ!、ちょっと!」


バシン!


「うわぁぁぁぁ」

ルーナ脱落


「はっ俺は何をしていた?」

ナブラが目を覚ます


メルスがこの状況で言う

「ふふ、奴は四天王の中でも最弱….」


「お前ただ攻められていないだけだろうが!」

ナブラが置いた直後に激昂する。


「起きたばかりで悪いが攻めさせてもらうぞ」


ジャキッ!

スッ


ナブラの方へ投げナイフが飛んできた。


「おっとどうすれば….<モスカ>」

ナブラの前に金属板が現れた。


カンカンカンカンカンカン


その金属板は全てのナイフを防ぐ事に成功した。

「これ何のためにあるのか分かんなかったけど、こういう時に使えるんだな」

謎のセンスを発揮し、防御した。


「まだまだだぞ<ベイア>」

魔法陣をナブラの方へ展開し、それは光を放っている。


「うわっなんだそれ!」


ドーーーーーン


魔法陣からは光のビームが放たれ、ナブラに直撃した。


「くっそんなのありかよ….グヘ」

ナブラ脱落


「残り2分か…後2人だな」

師匠はこちらの目を捉えた。




もう50話になりました。特に何もありませんがまだまだ続けていきますよ。

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