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伍
「ああ、失礼しました!私としたことが、とんだ誤解をしていました。あなたのように図太く横柄で、人を不快にさせることにかけては天才的な方でも、やはり緊張はするんですね。新たな発見です!」
……こんな二人に挟まれた春は、自然と肩をさすった。
冷気どころか、吹雪で荒れ狂っている。
体の半分くらいが凍りつき、涙目で秀暁の名をか細く呼んだ。
「秀暁ぃ……寒いよぅ…!」
そんな春の異変に気づかないはずがなく、急いで走って駆けつけた。
大きく揺さぶり、そのまま眠らないように声をかける。
「あぁっ!春!だめです、寝てはいけませんっ」
「……死んだ、ひいおばあ様が……花畑の、向こうで、手を振ってるよぅ………」
「向こうへ渡ってはいけませーんっっ!!」
喜劇だ。
まるで喜劇のようだ(笑)。
この冷たい氷河のような男が、ファニーフェイスに振り回されている様は、滑稽という他ない。
愉快だ。