駅前広場にて
偶然通りかかった駅前広場にて、イベントが行なわれていた。
若い女性のCDデビューイベントだった。
待望のデビューらしい。
広場の至る所に、CDのジャケットと同じポスターが貼ってあった。
ポスターには、ちょっと大人びた清楚な女の子がドレスを来て微笑んでいた。この人のイベントなのかなと思い、ちょっと見ていくことにした。
イベントが進み、いよいよ真打登場となった。
ご本人を拝見したら、ポスターとは別人ではないか?と思ってしまった。
もしかしたら、CDのジャケットやポスターにはイメージモデルを使い、ご本人ではないのかも知れないと一瞬思ったが、顔は間違いなく同じなのでどちらも本人であるらしい。
新人デビューのイメージからは程遠く、ファッションモデルが着たら品があるが、一歩間違うと派手なセンスのない服になってしまう着こなしが難しい有名高級ブランドの服に身を包み、ケバイお姉ちゃん風になっていた。ちょっと痛い感じがした。バブル時代の懐かしい臭いがした。
笑顔でデビューに至るまでの経緯を話していたのだが、なんだか薄っぺらいお話だった。
母親と二人三脚で頑張ったと言っていたが、もしかしたら、ご本人の年齢的に母親がバブル世代の人間でその影響を大きく受けている様な気がした。だから、着こなしが難しい高級ブランドらしき服を着ているのかと思い納得がいった。バブル時代には、あのブランドは超人気だった。給料の殆どをあのブランドの服につぎ込んでいるOLも沢山いたのだ。
だが、デビュー曲のタイトルとバブルの臭いは程遠い。
メインイベントの演奏が始まった。
バックバンドは、生演奏ではなかった。スピーカーの音が大き過ぎたのか、肝心の本人の音が全く聴き取れなかった。本当に本人が音を出しているのか疑ってしまうほどであった。
数曲気持ちよさそうに披露していたから、生演奏に間違いないと思うが、本当に演奏していたのかな? と思い、とても不思議な感じがした。 私の耳が音楽耳ではないからだろうか?
イベントは、盛り上がっている様には見えなかった。待望のCDデビューと言うわりには売れている様子はなかった。
私は、そんな人もいるのだろうと思い、あまり気にせずに駅前広場を後にして、当初の目的地へと向かった。
数週間後、メディアからイベントをやっていた本人の名前を聞いた。あのCDは売れているらしいとの情報だった。
売れていると言う事に驚いたが、イベントでは殆ど音が聴き取れなかったから、本当に良い曲なのかも知れない。今後、CDを買うつもりはないが試聴だけでもしてみたいと思った。
でも、ジャケットのイメージと本人が別人に見えてしまうってどうなのだろうか。
曲を聴く前に、私はドン引きしてしまったから、なんだか良いイメージを持てない。
大人の事情で、どうしてもジャケットは清楚なイメージにしなければならなかったのだろうか?
せっかく、バブルの臭いがする独特のキャラクターなのだからそれを生かしてプロモーションしてはいかがだろうか。
きっと、バブル時代を楽しく過ごしたOLさんたちに大いに受け入れられる事間違いないだろう……。
曲のジャンルはクラシックだったが…バイオリンって、多分クラシックに使う楽器よね?
バイオリンとケバいオネエチャンって、斬新な組み合わせなのだろか?
どちらにしても、私にはその価値がわからなかった。




