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ひとびと  作者: はちみつ
はちみつ日記
13/100

学歴詐称疑惑

カルチャースクールの講師の話。

この講師は、生徒たちから人気があった。

講座の指導も熱心であり、丁寧でわかり易かった。

この講師目当てに、カルチャースクールに来る生徒もいた。

「先生の声は、鈴を頃がした様にきれいな声で、先生が歩くと、さらさらと小川のせせらぎが聞こえる様だ」と言う熱烈なファンもいた。


 ある日、カルチャースクールの帰りに、生徒たちでお茶をすることになった。

講師の話しになり「先生は大卒だって。どこの大学だったのかな?」と言った。

別の生徒が「えっ私には専門学校に行ったと言っていたよ!!」

「ええ!!そうなの?」

私も学歴の事は、ご本人から直接聞いていたので

「私は、短大卒だと聞いたけど…」と答えた。

 大卒? 短大卒? 専門学校卒?

あらら、一体どの学歴なのだろうか?

なぜ、講師はそれぞれに、学歴を偽って話をしたのだろうか?

もしかしたら、大学卒業後、専門学校を卒業したのだろうか?


お茶をしたメンバー間では「きっと、学歴を違えて言わなければならない、苦しい理由があるのかも知れないからそっとしておこう」と言う事になった。

私たちにとっては、わかり易くて良い講師だから学歴は関係ない。見栄を張る所でもないだろうと思った。

 だが、学歴詐称は、お茶をしたメンバー以外にも話しがあって、噂になってしまった。

偶然別の講座に、講師の妹と親しい生徒がいて「○○高校から専門学校に行った」と言う事が判明した。

しかし、カルチャースクールの少ない人間関係の中で、なぜ学歴詐称したのか理由は分からなかった。そのうち、だれもこの話には触れない様になった。


 カルチャースクールは修了した。講師への感謝の気持ちはあったが、不信感は残ったままだった。


 1年後、この講師がカルチャースクールを辞めたと聞いた。

 辞めて、海外で仕事をするらしいとの事だった。

なかなかのスキルをもった講師だから、どこか外資系のスクールに引き抜かれたのだろうと思った。

 

しかし、2カ月後には近くの、別のカルチャースクールで講師をしていた。

 海外で仕事をすると言うのは表向きの理由で、前のカルチャースクールは自主退社扱いだが、ほぼクビの状態だったそうだ。


熱心だった講師がどうしたのだろうか?

少し心配はしたが、別の職場で活躍しているとの話を聞いていたので、それもありだろうと思う事にした。

 

 悪事千里を走るとは言うもので、私たちのところにもすぐに情報が来た。

どうやら講師は、ホストクラブに通い大金をつぎ込んでしまい、お金に困って夜のアルバイトを始めたらしい。

明け方までアルバイトをするのだから、当然朝起きられず、無断遅刻や欠勤を繰り返してクビ同然になったらしいとのことだった。

 講師のイメージとホストクラブが結び付かなかったので、非常に驚いた。

 ホストクラブ通いは噂でしかなかったが、夜のアルバイトは実際に働いている所を目撃した人がいてこの情報は本当らしかった。


 実は、夜のアルバイトの方が本性なのだろうか。

私たちの前で良い講師だったのは、演技だったのだろうか。

そもそも狭い範囲の中で学歴詐称をするのだから、信用性の低い人だったのかも知れない。

 良い講師のイメージを壊さねばならない気がして、寂しいかった。


 夜の仕事は、ちょっとアルバイトのつもりで…なんて甘い世界ではないのだろう。

二足のわらじと言うわけには、行かないのではないか。


別のカルチャースクールも3ヶ月で辞めてしまったそうだ。

 今度は、夜のお仕事をがんばっているのだろうか…。

夜のお仕事なら、講師目当てに講座に来ていたファンは喜んで行くだろう。

 私は、カルチャースクールでの良い思い出のために、その後のことは知らないでおこうと思う。 

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