青の巫女の傷跡
緑の泉が完全に復活し、
森が生命の色を取り戻したあと。
彩はふと気づいた。
セレスが——
まだ膝をついたまま、
立ち上がれていなかった。
レイアが駆け寄る。
「セレス!!
大丈夫か……!」
セレスは微笑もうとしたが、
その笑みは痛みに震えていた。
「……はい……
少し……力を使いすぎただけです……」
だが彩は気づいていた。
セレスの腕の色が、
まだ“枯れたまま”戻っていないことに。
後遺症①:枯れた腕《生命侵蝕》
彩はセレスの腕に触れた。
「……冷たい……
色が……戻ってない……!」
セレスは静かに言う。
「緑虚彩の《生命吸奪》……
あれを受けた部分は……
しばらく“生命の流れ”が戻らないのです。」
ミュレが涙目になる。
「そんな……
セレスちゃんの腕……枯れちゃったままなの……?」
セレスは優しく微笑んだ。
「大丈夫ですよ。
これは……青の巫女としての“代償”です。
心を守る力は……
時に自分の生命を削るのです。」
彩は震える声で言った。
「そんなの……!
そんなの……嫌だよ……!」
後遺症②:心の揺らぎ《青脈の乱れ》
セレスは胸元を押さえた。
「……少し……
心脈が乱れています……」
彩は息を呑む。
「心脈が……?」
セレスは頷く。
「《心脈共鳴》を
限界を超えて使ったせいで……
私の“心の青”が揺らいでいるのです。」
レイアが眉を寄せる。
「それは……危険なんじゃないのか。」
セレスは静かに答えた。
「はい。
青の巫女は“心”が力の源。
心脈が乱れると……
結界も導糸も、しばらく使えません。」
彩はセレスの手を握った。
「……セレス……
私のせいで……こんな……」
セレスは首を振る。
「違います。
彩さんのために戦えたことは……
私にとって誇りです。」
後遺症③:泉との過剰共鳴《青泉反動》
セレスは泉を見つめながら言った。
「緑の泉と深く繋がりすぎたせいで……
しばらく“青の泉”とも繋がれません。」
彩は驚く。
「えっ……!?
じゃあ……泉の異変があっても……」
セレスは静かに頷いた。
「はい。
私はしばらく……
“泉の声”を聞くことができません。」
ミュレが不安そうに言う。
「それって……
巫女として……すごく大変なんじゃ……?」
セレスは微笑んだ。
「でも……彩さんがいます。
あなたの色があれば……
私はしばらく休んでいても大丈夫です。」
彩は胸が熱くなる。
「……セレス……
そんなふうに言われたら……
もっと守りたくなるよ……!」
彩の決意:セレスを守る番
彩はセレスの手を握り、
強く言った。
「今度は……
私がセレスを守る番だよ。」
セレスは驚いたように目を見開き、
そして静かに微笑んだ。
「……彩さん……
あなたの色は……
人の心を救う光です。」
レイアが二人を見て頷く。
「セレス。
お前はしばらく休め。
彩と俺が前に立つ。」
ミュレが元気よく跳ねる。
「そうだよ!!
セレスちゃんは休んでて!!
彩ちゃんが絶対守るから!!」
セレスは胸に手を当て、
深く息を吐いた。
「……ありがとうございます。
少しだけ……
あなたたちに甘えさせてください。」
泉の光がセレスを優しく照らす。
青の巫女は傷ついた。
だが、その傷は“絆”となり、
彩たちの旅をさらに強くする。




