泉、色を取り戻す
虚彩の影が霧のように散り、
泉の周囲に静寂が戻った。
レイアは剣を収め、
彩の隣に歩み寄る。
「彩……
虚彩は退けた。
あとは……泉だな。」
彩は頷き、
胸元の“核の紋”にそっと触れた。
どくん。
どくん。
泉の奥からも、同じ鼓動が返ってくる。
ミュレが泉を覗き込みながら言う。
「彩ちゃん……
泉、まだ黒いけど……
奥の光が、さっきより強くなってるよ!」
リュミエが静かに告げる。
「虚彩の核が破壊されたことで、
泉の汚染は弱まっています。
今なら……彩の力が届く。」
ヴェイルが彩の背に手をかざす。
「境界の巫女よ。
泉を“完全に目覚めさせる”のだ。」
彩は深く息を吸い、
泉の水面に手を伸ばした。
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核の力、再び
彩の指先が水面に触れた瞬間、
胸元の紋が強く輝いた。
ピンク。
ブルー。
ラベンダー。
三色の光が泉へ流れ込み、
黒い膜が震え始める。
レイアが息を呑む。
「……動いてる……!」
ミュレが跳ねる。
「彩ちゃんの色が、泉の奥まで届いてるよ!!」
リュミエが分析する。
「核の魔力が、泉の“色脈”を直接刺激しています。
もうすぐ……泉が目覚める。」
彩は両手を泉に重ね、
強く願った。
「……お願い……
この町の色を……返して……!」
その瞬間——
泉が光を放った。
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泉、完全覚醒
黒い膜が音もなく砕け散り、
泉の水が一気に“七色”へと変わる。
ピンク。
ブルー。
ラベンダー。
そして——
緑、黄、橙、白。
色脈のすべての色が、
泉から溢れ出した。
レイアが目を見開く。
「……これが……
本来の泉の色……!」
ミュレが涙目で叫ぶ。
「彩ちゃん!!
泉が……完全に戻ったよ!!」
リュミエが静かに頷く。
「色脈の核が完全に活性化しました。
これで、この町の色は……戻ります。」
ヴェイルが告げる。
「境界の巫女よ。
あなたは“最初の泉”を救った。」
彩は泉の光に包まれながら、
胸に手を当てた。
「……よかった……
本当に……よかった……!」
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町に色が戻る
泉の光が町全体へ広がり、
灰色だった家々が淡い色を取り戻していく。
壁に薄い青。
屋根に柔らかな赤。
花壇に緑が戻り、
人々の瞳に光が宿る。
町の少女が駆け寄ってきた。
「……色が……
色が戻ってる……!!」
彩は微笑んだ。
「うん。
泉が目覚めたから。」
少女の瞳に、
淡い桃色が灯る。
レイアが彩の隣で静かに言う。
「彩……
お前の色が、この町を救った。」
彩の巫女装束が、
ピンクとラベンダーの光を揺らした。
「……レイアがいたからだよ。
一人じゃ、絶対にできなかった。」
レイアは照れくさそうに目をそらす。
「……そう言われると、悪くないな。」
ミュレが大笑いする。
「二人とも、相性ばっちりだよ〜!」
リュミエが咳払いする。
「……はしゃぎすぎです、ミュレ。」
ヴェイルは静かに微笑んだ。
「これで一つの泉が救われた。
だが、世界にはまだ多くの泉がある。
旅は……これからだ。」
彩は強く頷いた。
「うん。
次の泉へ行こう。
世界の色を取り戻すために。」
レイアも頷く。
「どこへでも行くさ。
お前の色がある限り。」
泉の光が二人を照らし、
新しい旅路が始まる。
——世界に色を取り戻す旅の、第一歩が完了した。




