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新婚旅行始まりました

 勇者との遭遇と言うアクシデントはあったものの、俺達がやる事は何も変わらない。

 アセナの姉妹である鮫の真祖を見付け、封印を解除する。

 今すぐである必要はないが期間は1ヶ月、この間にアセナの姉妹をどこからか見つけ出す必要がある。

 それがダメだった場合、またいつかこの島に乗り込まないといけないと思うとちょっと面倒臭い。


 そしてプラチナコースで島に入ったはずの勇者はさらに特別扱いなのか、1番最初にホテルに向かった。

 と言ってもプラチナコースの人達全員が個人用の馬車的な物で移動するので、誰かと一緒に相乗りと言う事態にならなかったのは流石のサービスっと言った所か。

 この馬車、車輪は存在せず代わりにシャボン玉のように浮いている気泡の様な物が馬車の底に設置されている。

 おかげで揺れなどは一切ない快適な乗り心地だ。

 こうして俺達は景色を楽しみながら俺達用のホテルに着いたのだが……


「パンフレットで知っていたとはいえ、改めて見るとスゲーな」

「私達の家とは大違いだね」


 俺達が降りたのは眺めの良い1つの家。より旅行っぽく言うなら貸し別荘とかそんな感じだろうか?

 でもログハウスの様な感じではなく、普通に高級住宅街にありそうな一軒家である。

 しっかりとした作りで綺麗な見た目。我が家とは大違いだ。


 そして渡されていた鍵をドアに差し込むと当然だが扉が開いた。

 扉が開いた事で本当に1か月ここに住むんだと実感した。

 家の中に入ってちゃんとしたソファーやら何やらが揃っているのに呆然としていると後ろから誰かがやって来た。


「失礼いたします。こちらのお部屋は気に入られたでしょうか?」

「あ、はい。本当にここで過ごすんだと思うと圧倒されちゃって……で、あなたは?」

「わたくしはこの部屋のコンシェルジュ、ポールとお呼びください。ご夫妻がこのリゾートでお楽しみいただけますようサポートさせていただきます」


 あ、この人がそうなんだ。

 プラチナコースでは世話をしてくれたり、俺達の要望によってリゾートの行き先を教えてくれる人が付くと書いていた。


「よろしくお願いします」

「お願いします」

「お任せください。快適で思い出に残るような旅になる様お仕えさせていただきます」


 この人……人間の中では結構強いな。

 まぁ人間やめてる感かなり高めの俺には関係ない話だけど。

 アセナは既に家の中を見て回りたいのかうずうずしてる。


「それではまずこの部屋のご説明をさせていただきます」


 ポールさんの案内でこの部屋と言うか家の説明をしてくれた。

 1階にリビングやダイニング、トレーニングルーム、トイレ、一家族入っても大丈夫そうなデッカイ風呂。

 2階には寝室2部屋、トイレと完全に寝る用な感じだな。


「ちなみに全寝室は完全防音となっており、コンシェルジュが寝室に入るのはベッドメイキングの時のみとなっております。それでも不安の方にはこちらをドアノブに掛けておいてください」


 そう言って渡されたのは掃除OKと書かれた表と、掃除NOと書かれた裏のカードだ。

 なるほど、これで掃除に入っていいかダメか確認するって事ね。


「それから朝食の際にはご希望でしたらわたくしがお作りする事も出来ます」

「え?でも確か朝はビュッフェだって」

「その場合朝9時までにホテル本館に向かっていただきます。ホテル本館へはこちらの部屋にあるポータルをお使いください。お客様がお持ちであるお客様カードをに反応してホテル本館からこちらに戻る事も可能です」


 ほ~流石高級リゾートの最高コース。なんかすごそうな技術を客を運ぶためだけに使うとか贅沢。

 そう思っていると隣で小さな音がした。

 音を立てたアセナに視線を送ると恥ずかしそうに言った。


「………………お腹減った」


 あ、そうか。もうすぐ昼だ。

 説明やらスピーチやら入国審査やら勇者やらのせいで既に12時になりかかっていた。

 ポールさんは「それでは」と言ってポータルの隣に移動する。


「それでは早速ポータルをお使いください。このポータルは大きく分けて4つ、こちらの部屋とホテル本館、リゾート街、アクティビティーに行く事が出来ます。リゾート街は広く、店舗、お食事処など幅広く存在します。そしてお食事やお買い物の際には必ずお客様カードをお持ちください。それを店舗で見せる事でサービスを受ける事が出来ます」

「分かりました。とりあえずこのカードを持ってればいいんですね」

「はい。それから紛失してしまった場合にはわたくしにお申し付けください。すぐに新しい物を発行いたしますので」

「ありがとうございます。それじゃ着替えて行ってきます」


 流石に飲食店で礼服は要らないだろ。

 どこぞのレストランに行くならともかくな。

 と言う訳で1度寝室で着替えてから再びポータルの前に来た。

 現在の服装はラフなアロハシャツもどきである。


「それじゃ行ってきます」

「行ってきます」

「行ってらっしゃいませ」


 ポールさんに一言言ってからポータルに触れて飲食街へと向かった。

 触れていきたい所を指定するだけなのであっと言う間である。

 ほんと便利だな~ポータル(これ)。もっと世界規模で普及すればいいのに。


「それでアセナ、何食いに行く?」

「お肉」

「肉か……ならあそこか?」


 飲食街のポータルを出て少し探した所にあったのは焼き肉屋。プラチナコースならどの店舗でも無料らしいし、あの焼き肉屋に行ってみるか。

 と言う軽いノリで近くの焼き肉屋に入った。


「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」

「2人です」

「お客様カードのご提示をお願いします」


 ん?ここで見せるのか?てっきり会計の時に見せるんだと思ってた。

 そう思いながら俺とアセナはカードを見せてから個室に通された。

 もしかしてコースごとに部屋が決まってるとか?まさかな。


 とにかく焼き肉屋に入り、とりあえずおまかせコースと言うのを2人前頼む。

 そしてすぐに肉はやって来た。


「お待たせしました、こちらプラチナコースのお客様限定、ブルーバイソンの盛り合わせでございます!」


 あ、普段から食ってる肉じゃん。これなら安心して食べられる。

 綺麗に盛り付けられた各部位が仕込みのタレだろうか?綺麗に輝いている。

 その輝きは普段食べている肉とは大違いだ。


「いただきます」

「いただきます!!」


 焼き肉の良さと言えば自分好みの焼き加減で食べれる事だろう。

 そして焼き肉の悪い点と言えば――


「ちょ!アセナ自分で焼いてる肉あるだろ!!なぜ俺が焼いてる肉ばかり食う!?」

「だってタツキが焼いてるお肉の方が美味しい!!店員さん!同じのもう2人前!!」

「あ、俺の分も合わせて3人前で追加お願いします」


 自分で育てた肉を誰かに取られる事だろう。

 でもまぁ何と言うか、尽くされるより尽くしたいタイプと言うか、アセナのためになんかしてる事そのものは嫌じゃないんだよな。

 ま、今腹ペコ姫のために肉を焼きますか。


 -


 なんだかんだで2人で5人前食って少しジュースを飲みながらのんびりし終えると店を出た。

 会計の際本当に金を払う必要がない時はちょっと驚いた。

 だって2人で5人前だぞ?普通追加料金とか発生してもおかしくなくね?

 でもまぁ問題ないのならそれでいい。

 それとも1人大金貨5枚と言う時点で結構な値段を取られているんだろうか?

 魔物やら魔石やらが高値で売れるもんだから金銭感覚がおかしくなってるのかも知れねぇな。


「お肉美味しかった」

「だな。でも次は別の店にも行ってみようか」

「それじゃデザート食べに行こ」

「え、まだ食えんの?」


 デザートね……

 驚きながらも辺りを見渡してみるとクレープ屋があった。

 面倒なのでそこでクレープを食って終わりにしよう。


「いらっしゃいませ、ご注文は?」

「「ベリーベリー1つ」」


 偶然にも同じクレープを選んでいた。

 ベリー系のソースや実をふんだんに使ったクレープである。

 甘酸っぱいのいいよね、肉の後だし。

 2人ならんでクレープを食べながら街を散策していると放送が流れた。


『これより、セフィロ・トータスが潜ります。この国は大型の結界によって海水が侵入してくる事はありません。どうぞ海中散歩をお楽しみください』


 あ、やっぱりウミガメだから潜るのね。

 なんて思っているとドーム状に海水が遮られているのか、海中に差し込む日差しがとても綺麗な光が差している。


「タツキ」

「ん?どうしたアセナ?」

「楽しいね」


 満面の笑みで笑うアセナの顔が眩しいと強く感じた。

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