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真祖開放計画中

 バカンス気分多めとは言え真祖開放の準備も進めないといけない。

 と言っても大抵の事はスマホでチャチャっと調べればほとんどの事は分かるのである程度手は抜けるのだが……

 スマホのマップ機能を使って真祖が居るところを調べると妙なんだよな……

 封印状況を細かく確認しているのか、真祖がいる場所によく人が出入りしている様子が分かる。

 そして真祖そのものも時折動いており、アセナの様に1部封印を免れているのではないかと考えたがそれはないと思う。


 マコト自身がサメの真祖は封印されていると言っていたし、封印を免れているのであればもっと大きく動いていてもおかしくないのではないだろうか?

 とにかくこうしてスマホで調べただけでは情報不足なので、実際にその部屋に行って状況を確認してみたいと思ってる。


 そして現在旅行1週間目。


「……鮫の事、まだ助けられそうにない?」


 夜中、同じベットで寝ていたアセナが聞いてきた。


「正直に言うともうちょい情報が欲しいな。こういう調べただけじゃなくて実際に見て見たいって感じでさ。ところでアセナは他の姉妹がどういう風に封印されたかとか知らない?」

「知らない。それぞれ管轄があってそこで人間を一定の数になる様にしてただけだから。それに会うって言っても100年に1回ぐらいだったから」


 長命種の欠点と言えるんじゃないか?そのたまに会うの期間の長さ。

 ただの人間だったらとっくに死んでるぞ。

 アセナは話をしながらも構ってほしいのか俺の上に移動する。

 柔らかいアセナの肌とぬくもりが心地いい。

 俺はスマホを近くのテーブルの上に置いてアセナの身体をまさぐる。


「んっタツキ、もっとする?」

「ああ、もっとしよう。それに考えがない訳じゃないし」


 そう言いながら俺はアセナを転がして、俺がアセナに覆いかぶさる体勢にする。

 アセナは俺に身を任せながらも聞く。


「考えって?」

「プラチナコースの特典の1つに王城の観光があるんだ。マップで確認する限り鮫の真祖が王城で封印されてるのは間違いない。だから観光しながら調べてみよう」

「そう。それなら早く済ませちゃお。ん」


 アセナが甘えながらキスをねだってくるので俺は容赦なく襲うのだった。


 -


「おはようございます、タツキ様、アセナ様」

「おはようございます、ポールさん!」

「おはよう、ございます」

「タツキ様はお疲れの様ですね」

「ええ、ちょっとはしゃぎすぎちゃって」


 昨日ははしゃぎすぎた。

 何と言うかアセナに誘われるまま2日に1回だったのが毎日になりつつあるし、もうちょっと自制を考えた方がいいかも……


「そうでしたか。あと3週間ございますので1日ぐらいゆっくりとお休みしてもよろしいのではないでしょうか」

「ええその内。今日は王城の観光に行こうと思うんですが、礼服は必要ですかね?」

「王城の観光コースですね、その場合は私服で問題ございません。しかし王城内は全て撮影禁止となっております。その事はお気を付けください」

「分かりました。気を付けます」


 そう言ってから俺達はポータルに触れた。


「朝ごはん食べに行ってきます」

「行ってらっしゃいませ。それからタツキ様」

「はい」

「疲労回復にはオレンジジュースや牛乳がよろしいですよ」

「教えてくれてありがとうございます」


 そして俺達はポータルでホテル本館へと向かった。

 ホテル本館では前の世界のホテルとそう変わらない。

 ただ材質が鉄とかそんな感じではなく、この亀の甲羅の1部と書いてあったが本当だろうか?


 そして朝食はパンフレット通りビュッフェスタイル、好きなものを皿に乗せて席について食う。

 俺達は朝食として皿の上に様々な料理を山盛りに乗っけて食べる。

 これでプラチナコースだと思う人はいないだろうな。

 そしてポールさんのアドバイスを信じでオレンジジュースを忘れない。


「相席、大丈夫ですか?」


 食事中そんな声をかけられて顔を動かすと勇者とルフェイが居た。

 流石に勇者もこういう所で鎧を着たまま飯を食う事はしない様だ。

 ルフェイも以前よりラフな格好になっているし、ある程度楽な服装に変わっている。


 正直俺はそこまで勇者に苦手意識はないのだが、アセナの方は分からない。

 アセナに目線を配ると渋々と言った感じで頷いた。


「いいってさ」

「ありがとう。いや~どの席も空きがなくて大変だったんだよ」

「ありがとうございます。失礼します」


 勇者は俺の隣、ルフェイはアセナの隣に座った。

 そして勇者は言う。


「2人とも朝はしっかり食べる方なんだね、僕は朝の方は小食かな」

「そうみたいだな。それっぽっちで足りのか?」


 勇者のさらにはロールパン2個、スクランブルエッグ、ソーセージ、サラダと牛乳しかない。

 それで本当に足りるのか?


「その代わり昼と夜はがっつり食べるから問題ないよ。それよりそっちは暇してる?」

「暇って言う事はないかな?今日は王城の観光に行くつもりだ」

「本当!?僕達も今日王城の観光に行くんだ、一緒に行かない?」


 ぐいぐい来るな~

 正直どちらでもいいんだがアセナの方が気になるんだよな。

 俺はアセナに聞く。


「アセナはどうだ?一緒に居ても大丈夫か?」

「……無下に断る理由もない」

「そっか~ありがとねアセナちゃん」


 ちゃん付けで呼んだらアセナがイラっとしたのを感じた。

 それは隣に居るルフェイにも伝わったようでアセナに謝っている。

 何と言うか苦労人だな、ルフェイは。


 それに一応勇者にだって利用価値はあるんだ。

 どうしてこの島に仲間を探しに来たのかどうか分からない。

 その辺も聞き出せれば上々だと感じている。

 と言ってもテンプレとしておそらく人魚姫でもお仲間にしようとしているんだろうが、上手くいったのかどうか分からない。

 そしてどうして仲間が必要なのか、聞きだしておくいい機会だろう。


 俺は俺のためにしか動く気はない。

 真祖を解放するという俺のために一役買ってもらおうじゃないか。


 -


 朝食を食べ終えて1時間後、王城の観光コースを体験する人達がいる。

 ほとんどの者が既に観光し終えているのか、俺達の他に家族連れなのか数組しかいない。

 それでもツアーを行うのだからプロ意識が高いというか何と言うか。

 そして少し待つと案内人が現れて言う。


「この度は王城見学においでいただき誠にありがとうございます。そして申し訳ございませんが、王城に入る前にボディーチェックをさせていただきます」


 王様もお姫様も居るんだから当然である。

 俺とアセナも大人しくボディーチェックをされる。

 全員のボディーチェックを終えた後、観光がスタートした。


 王城と言うのにふさわしい荘厳さ、美しさを備えた観光は確かに圧巻だ。

 何でもこの王城は全てこのウミガメの甲羅を利用して作った物だと案内人が言っていた。

 中庭や、兵士の鍛錬所などを見て回りながら勇者とルフェイの様子を見ると俺や他の客とは違いなれた感じだった。

 よく分からない所はアセナがルフェイに聞いているし、ルフェイに対して苦手意識はないんだな。

 でもアセナは勇者に苦手意識があるし、俺の方から仕掛けてみるか。


「なぁユウガ、お前ってやっぱり城って物は慣れてるのか?」

「どうしたんだ?急に?」

「いや、何と言うか慣れてるって言うか、何度も見た事のあるような目をしてるからさ。やっぱり勇者ってのはお城にお呼ばれされやすいのか?」


 なんて聞くと勇者は苦笑いをしながら言う。


「まぁそうだね。比較的お城に呼ばれる事の方が多いかも。転移した先は教会の偉い人達が儀式をしていたところで、しかも丁度勇者を召喚しようとしてたらしい。そしたら僕がちょうど出てきてあっと言う間に勇者様だよ。だから世界各国で僕は希望の星的な感じなってる」


 そう言う勇者には少し疲れの様な物が見える。

 マコトは確かに俺達を転生、転移する際に言っていた。

『次の人生を楽しんでね』っと。


 こいつは今の人生を楽しめているんだろうか?

 転移組と言う事は元の世界に心残りがないという事になる。

 こいつは何でそう思っていたんだろう。

 俺の様にただ暇と言う理由なのだろうか?

 ただ刺激が足りないという事なのだろうか?


「でもそれは僕にとっても嫌な事ではないんだけどね」

「嫌じゃねぇんだ。俺だったら堅苦しそうで嫌だが」

「堅苦しいっているのは確かに。でも僕は子供っぽいけどやっぱりヒーローが好きなんだ」


 そして勇者は子供のような笑みを浮かべながら言った。


「やっぱり子供のころの夢って僕は仮面ラ〇ダーとか戦隊ものの主人公になるだったんだ。当然今じゃフィクションで誰かが考えた物語なのは知ってるけど、それでも僕はヒーローになりたいって思うんだ。だからこの世界で勇者として活躍するのは好き。誰かが困ってる時に颯爽さっそうと駆けつけて誰かを助けるってやっぱりカッコいいよね!」


 はしゃぎながら言う勇者に色んな意味で子供っぽいと思った。

 その夢は本当に純粋に見えて、誰かを助けたいっと言う言葉を本心で言っている事はよく分かる。

 たまに出てくる現実的で、何かを助けても何かを助け損ねてしまう。そんな主人公とは違う本当に全てを助けられるようになりたいと言っている。


 何を目指すのかは個人の自由だろう。どんな人物になりたいかは自由だろう。

 それにその夢は別に悪い物ではない。

 むしろ俺の様に自己中で好き勝手に生きようとしている夢よりも真っ当だろう。

 正直こういう奴が本当に居るとは思ってもみなかった。


「ねぇねぇ!タツキは子供の頃どの戦隊や仮面ラ〇ダーが好きだった?と言うかどっち派?」

「俺は……ラ〇ダー派かな?途中までは戦隊物も見てたんだが……なんかこう、合体ロボが全部くっ付ける様な感じになってから見なくなってきちゃって」

「あ~あれね。確かにやりすぎって感じるときあるよね~。親に全部欲しいって言うと絶対無理って言われそうだし」


 そんな感じで城の中を見て回りながら男の子特有の会話で話が弾む。

 そして俺は切り出した。


「ところでさ、仲間を集めてるって言ってたがなんかあったのか?」

「え、あ~それね。ちょっと詳しいことは言えないんだけど、大昔に魔物を封印した何かが盗まれちゃったんだよ。その事について注意喚起と、いざその魔物が暴れた時に一緒に戦ってくれる仲間を集めてるんだ。この国の人魚姫様は水の魔法が凄く得意って聞いてたからそれで仲間にならないな~って勧誘しに来たんだ」


 なる程、俺が盗んだ時からすでに世界では動き出してるって事か。

 新米勇者に伝わっているとなると、他の国でもすでにドワーフの国の事は伝わっているかもしれない。

 となるとこの城の警戒レベルも上がっているのかも知れない。

 この城のどこかに鮫の真祖を封印している場所があるはずなのだから。


「それで?人魚姫は仲間になってくれそうか?」


 そう聞くと勇者は首を横に振った。


「ダメだった。お姫様としてこの国の事を第1に優先したいらしいし、彼女自身もちょっと問題事を抱えてるみたいだから無理だったよ。でも本当にその危ない魔物が出てきた時には協力するって約束だけは出来たからよかったかも」


 必ずしも勇者に協力するって感じではないのか。

 それにお姫様が国の事を優先するってのは自然な流れと言える。勇者の仲間が増えない事は喜ぶべき事だ。


「それは……残念だったな」

「ちょっとね。僕の理想としてはこの世界の物語に出てくる勇者の様に全ての人種と仲間になる事が目標の1つだからさ、ちょっと残念だったな」


 そう言えばそんな話あったな。

 ドワーフの国で調べた際にそんな話があった。

 なんでも今の人類である人間、ドワーフ、エルフ、人魚、獣人達の英雄と勇者の6名が真祖を封印して世界に平和を迎えたとか。

 ちなみに勇者は召喚によって現れた、と書かれているので恐らく俺と勇者の様に異世界人なのだろう。


 その様になりたいとはどこまでも英雄思考な奴。

 そう思っていると勇者は何故か俺に熱い目線を送ってくる。


「どうかしたか?」

「タツキもさ、チートなスキル山盛りで来たんだよね?」

「いや、特にそんな事はないが……」

「お願い!仲間になってよ!!」


 無茶振りきたー!!


「そんな危険な真似に自分から突っ込んでいくような勇者じゃないわ!!」

「タツキも転移組なんだから勇者になろうと思ったらなれるって!!ダブル勇者で世界を平和に!!」

「俺はアセナと一緒に居れれば幸せなんです!アセナが第1なんだから世界平和なんてやる暇ねぇよ!」

「頼むよ~!友達だろ!!」

「友達でも協力できることとできない事ぐらい普通にあるわ!!」


 いつの間にか友達になっていたがまぁその辺は置いておこう。

 騒がしくし過ぎてルフェイに一緒に怒られてしまった。

 だが勇者に諦めている様な表情はない。これはしつこく来られそうだな。


 そんな風に賑やかな観光をしていると見学もとうとう最後になる。

 最後は何とこの国の王様と王妃様、お姫様と対面するという内容だった。

 これ本当に警戒レベルあがってるの?と聞きたくなるような内容だ。

 それに俺達礼服で来てないぞ!不敬罪で死刑!!みたいなことにならない?


 そう思っていたら衣裳部屋で全員着替えさせられた。

 やっぱり王族の前ではちゃんとするのね。


 そして着替えさせられた後、参加者は全員スーツやドレス姿で王族を待つ。

 お姫様の方は知っているが、王様と王妃様は見た事がない。

 楽しみに待っているとちょっと大丈夫かと思った。

 王様の方は元軍人?と聞きたくなるような立派な姿だったのだが、王妃の方は違った。


 化粧で顔色を誤魔化しているつもりかもしれないが顔色が悪い。

 それに痩せすぎとまでは行かないが、どう見ても細すぎる手足に力が入るようには見えず、しかも車いすに乗って現れた。

 そしてその車いすを押すのはお姫様。

 俺はその光景をまるで重病患者のようで弱弱しい。


 それでも王家の人間だからか、俺達への挨拶などは声を張って王族の威厳を知らしめた。

 だが俺には痩せ我慢をしているだけにしか見えないのだった。

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