表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/36

Story23 狐っ娘です。

最近短めだったので、今回は長めです。

 「ジン君、落ち着いてねぇ?」


 冒険者ギルド内で獣耳少女に出会った喜びを叫んだ後、暫く静寂が続いた。

 そして、その静寂の中最初に言葉を発したのは姉さんだった。

 姉さんの言葉で我に返った俺は、羞恥心で少しだけ頬を赤くし俯く。

 女の子見たいだって? ふッ、すぐに立ち直ったさ。

 暫くは横でニヤニヤしてる姉さんに、弄られそうだけど……。


 「皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


 俺は冒険者の方を向き、冒険者ギルド内の人達にそう謝罪すると、何事も無かったかの様に元に戻った。

 受付の人……恐らく狐の獣人だろう女の子に向き直り、今度はその子に向き直る。

 獣人がいる事は親父に聞いていたが、人間国では悼み嫌われ奴隷として扱われている。

 また獣人族の国とも敵対していることから、獣人と会うのはもうちょっと先かと思っていた。


 「すいません、いきなり叫んで。それでですね……」


 俺が狐の子に謝罪をした途端、周りの冒険者は勿論、他の受付の人までもがざわざわとしていた。

 俺に謝られた狐の子も、少しギョッとしている。

 そんなにおかしい事をしたか? ただ、謝っただけなのに。

 もしかして、謝るのが珍しいほど獣人って嫌われてるのか?

 ……獣人を……獣耳をそこまで下に見るとは、人間国は目が……いや、心が腐ってやがんな。

 まぁ、とりあえず。咳払いを一つして、話を続ける。


 「それでですね、冒険者登録をしたいのですが。お願いできますか?」

 「私の分もお願いしますぅ」

 「……わかっ……分かりました。少々、待って……お待ちください」


 その獣耳少女の声は凛としているのにもかかわらず、何故か覇気が無かった。

 獣耳少女は敬語が苦手なのか、多少つっかえつつ承諾を得た様でカウンターの中を漁る。

 そして目的の物が見つかったのか、ある物を取り出し俺に見せる。

 

 「これは『ランクカード』という物で、冒険者登録をする際に必要な物だ……あ、です」

 「えーっと、敬語じゃなくても良いですよ?」


 狐の子にそう言うと、少しほっとした様にし咳払いを一つする。


 「では。お言葉に甘えて、そうせて貰おう。さっきも言ったが、これは『ランクカード』という物だ。これから必要事項を紙に書いて貰う。その必要事項に書いたものをこの『ランクカード』に移す、そして冒険者についての説明をして終わりだ」

 「分かりました」


 敬語じゃなくて良いよと言ったけど、あんまり変わってないような気がする。

 でもちょっと強気というか、男勝りというか。そんな感じだな。

 狐の子に紙と羽ペンを貰う。

 ……そう言えば、この人何て名前何だろう?

 狐の子って言うと、若干長いし。 

 まぁ、後で教えてもらえば良いだろう。

 そう思い、貰った紙に目を通す。

 なになに、名前と性別、LVとスキル魔法……ってLVとかスキルとかって、書かなきゃいけないの!?

 

 「LVやスキル。魔法は、書いても書かなくても大丈夫だぞ? だが、できれば一つは書いて欲しい」


 俺がLVとかを書くのかと、驚いているのを察してくれたのか狐の子が教えてくれた。

 

 「あ、そうなんですか。分かりました、ありがとうございます」


 お礼を言い、紙に記入していく。

 書いた内容は名前が『ジン』性別が『男』LVとスキル記入しないで、魔法で『闇魔法』と『光魔法』記入しておいた。俺の中二が疼いたぜ。

 ちゃんと書けているかもう一度確認し、狐の子に手渡す。


 「うん、しっかりと書けている。ジンだな。LVとスキルは書かず、魔法だけ記入か。分かった」


 そう言うと、紙とランクカードを持ってどこか奥の方に行った。

 暫く待っていると狐の子が帰ってきて、ランクカードだけを渡してきた。

 カードを貰い、次の説明を待つ。

 

 「冒険者についての説明をしよう。まず私の名前は、ルナールだ。私はジンの担当受付となったから何かあった時は来てくれ」

 「はい。よろしくお願いします」

 「まず冒険者についてだが、冒険者は人々や貴族の依頼や王直々の緊急依頼を受ける。あとは魔物討伐やモンスター討伐だな。そして、ランクについてだが。これはランクカードを見ながらの方が良いな。ランクカードを見てくれ」


 言われたままに、ランクカードを見る。 


 「ランクカードの右上に『E』と表記されているだろう? それが今のジンのランクだ。ランクは下から順にD・C・B・A・S・SSだ」


 おお! やっぱりランクがあるのか!

 SSまであって、SSSは無いのか。

 でもやっぱり、一番上を目指さなきゃな。


 「ランクを上げるには?」

 「ランクを上げるには、それに見合った功績や強さ、あとはギルドマスター等に認められれば上がる事ができる」

 「ランクを上げた時に起こる、メリットとデメリットは何ですか?」

 「メリットは依頼の報酬が上がったり、魔物やモンスターの素材に上乗せされたりだな。デメリットは。緊急依頼の時に他の依頼より優先されるな。でも緊急依頼を拒否する事もできる」


 うん、メリットの方が大きいな。

 デメリットの緊急依頼も断れるらしいし。

 SSまで頑張りますか! 勿論、姉さんも。


 「Eランクから受けられる依頼は、後ろにあるボードに張ってある紙の上に書いてあるから、それを私の所まで持ってきてくれ」

 「分かりました。では、さっそ―――」

 「ジン君ご飯はぁ? もしかしてお姉ちゃんとの約束を破る気なのかなぁ?」

 「……早速ご飯を食べに行ってきます」

 「あ、ああ。何かあったら言ってくれ。あと、私の事はルナールで良いし、敬語もやめてくれ」

 「わ、分かった。これからよろしくルナール」


 ルナールにそう言って、俺と姉さんは受付から離れて出口に向かって真っ直ぐ進む。

 しかし、その途中一人の男性に呼び止められる。

 

 「おい、そこの兄ちゃん。ちょっくら、面かせや」


 おやおや、これはまさかのテンプレですか?

 オラ、ワクワクすっぞ!

 見たいな感じなんだけど、姉さんが若干イライラしてきているのだ。

 恐らく、早くご飯を食べたいからだろう。

 だから、俺がこの人に言う言葉はこうだ。


 「嫌です。そこ退いて下さい」


 『お、おい。あの新人坊主、今なんていった? 俺の聞き間違いか?』

 『あの、坊主命知らずだな。Aランクのガルドに盾突くなんて』


 俺がこの人……えーっとガルド? にそう答えると、周りの冒険者達がいきなりざわつき始めた。 

 何だろう、また何かやっちゃたかな。

 

 「……ふっ、俺はこの王都で四番目に強いんだがな。……どうやら痛い目に会いたい様だなぁッ!!」

 

 ガルドはそう言うと、腰の剣を抜きギルド内だと言うのに切りかかって来た。

 Aランクの速度で、俺に迫ってくる。 

 だけどガルドの速度は、俺にとって遅かった。

 これが、Aランクか。

 ……うん、SSは案外早くなれそうだ。

 そう考えていると、目の前まで迫ってきたガルドが笑みを浮かべる。

 どうやら俺が、ガルドの速度に追いついていないと思っているらしい。

 そして遂に、ガルドの剣が俺の頭上に来た。

 なので、手首を掴み捻り上げると、簡単に剣を床に落とす。

 次にがら空きの足元を払い床に倒し、ガルドの腹に乗る。


 「ガッ……!?」

 

 ガルドが、床に倒された衝撃で苦痛の声を漏らす。

 しかし、まだ諦めていないのか、床に落ちた剣に手を伸ばす。

 剣を遠くにやりたかったが、ガルドに座っているため届かない。

 だから、光魔法の『雷電』で剣を破壊する。

 威力が強すぎたのか、少し床も壊してしまったが。

 

 『おい。あの坊主のカウンター見れたか!?』 

 『いや、まったく見れなかった! しかもあの魔法相当強いぞ、ガルドの剣は確かオリハルコン製だった気がするぞ』

 『つまり、実力はAランク以上って事か!? おいおい、それって、え、Sランクって事か!?』


 またもや、周りの冒険者がざわつく。 

 っていうか、オリハルコンってあるんだな。

 

 「なぁ、ガルド……さん。俺に用事があるんだろ? 何だったんだ?」

 

 俺はガルドの上に座ったまま、用件を聞く。


 「くっ……。お、俺の」

 「俺の?」

 「俺の女に手を出すな!」


 ……。

 …………。


 「……は? え、は? 女?」

 「る、ルナールの事だ!」


 あ、え? 付き合ってるの!? 

 それは何か悪い事したな。

 ……いや、してねぇよ。

 ルナールとはただ、話しただけだし? いきなり切りかかって来たのガルドじゃね?

 いやでも、俺とルナールが話してるのに嫉妬したんだろ? 

 ……俺が悪いの?

 

 「んなわけあるか! この、タコ!! 私はお前とはそんな仲じゃねえだろ!」


 俺が心の中で葛藤していると、後ろの方から女性の声がした。

 俺は首だけ動かし、振り返る。

 そこには怒りと羞恥心で顔を真っ赤にした、ルナールが立っていた。 

 

 「大体、ガルドは私が受付に変わってから、何かあるごとに話しかけてきて面倒くさいし、この前は私の後ろをついてきて、家まで押しかけてきただろ!!」


 完全にストーカーやん……。


 「お、俺は唯ルナールの全てを愛していて、勿論獣人なんて関係ない! 耳は俺が切るから!!」

 「なっ、ガル―――」

 「なぁ、ガルド。今なんつった?」


 ルナールがガルドの発言に怒鳴ろうとしようとしたが、俺がそれを遮り低い声でガルドに問いかけていた。

 俺は結構な勢いで、切れていた。


 「耳を……狐っ娘の耳を切ると?」

 「狐っ娘は分からんが、そうだ!」

 

 俺はその発言で、ぷちんと頭の中で何かが切れる音がした。


 「お前はっ! 人類の……いや、この世界の宝を切ると言ったのか!? 馬鹿か、お前は馬鹿なのかッ!? しかもルナールの耳を見ろ!! あの毛質、形、艶どれをとっても最高だろうがッ!! しかも狐だぞ!? 狐!!

馬鹿を通り越して、大馬鹿だな!? それに、彼女の全てを愛してるんだろッ!? 獣人でも構わないんだろ!?

このクズがッ!!」


 …………?

 何で、皆シーンっとしてるんだ?

 何で姉さんは少し頬を赤らめながらも、着実に一歩ずつ後ろに下がってるんだ? 

 何でルナールは耳を両手で押さえながら、顔を真っ赤にしてるんだ?

 ……誰か、現状の説明をッ! 


 「んー……。たっく、昨日は飲みすぎてまだ頭痛がするって言うのに、誰だい? こんな真昼から大声でルナールに告白してる馬鹿野郎は」


 ギルド内がシーンっとなっている中で最初に声を出したのは、奥から出てきた女の人だった。


  


 どうでも良いけど。私、姉ことミッシェル。今回あんまり台詞を言ってない気がするよぉ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ