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軍議

 鬨の声と怒号、打ち合う槍のにぶい音、悲鳴と砂塵、魔導士たちの放った火炎に焼かれた飛竜の絶叫がルバイカ峠を包む。


 ゲリマンダーの軍はそのほとんどが東大陸出身の人族であった。東大陸の人々は徴集され中央大海を通って西大陸に渡りバルカスやその配下による西大陸攻略に用いられるのである。


「この狭い峠ではこちらの数的不利は誤魔化せるが……これでは消耗戦ではないか」


「ルビレ閣下、先ほど捕らえましたこの地に住む猟夫が口を割りました。右手に小径(こみち)があり、峠を大きく迂回できるとのことです。おそらく敵の背後に回れましょう。しかし大変狭い(みち)らしく、(おく)れる兵は精々数百ほどかと……」


「千に満たぬ兵を敵背に(おく)るか……」


 ルビレは馬上から狭い峠で死闘を繰り広げる兵たちを眺めつつ白くたくわた顎髭に手をやる。


「確か飛竜を墜とした亡命神族がいたな、それも純血の」


「アンリ様のことでしょうか。デリー騎士団は予備選力として後方に待機しておりますが」


「三百騎ほどだったな、デリー騎士団は……よし、伝令兵を送れ」

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