閲兵式後
日は傾き雲はこがね色に染まる。閲兵式は終わり、デリー騎士団は割り当てられた兵舎で就寝の準備を進めていた。
「……なあ、お前らきづいたか?」
エイモンは同室の四人の騎士たちを真剣な眼差しで見渡す。
「今日の閲兵式で参列者の前を通った時にさ……」
「ど、どうしたんだよ、エイモン。珍しくもったいぶって」
「通った時に――マリア王女が俺に熱い視線を送ってたよな!?」
しばらくあっけにとられた四人で静かだった部屋は、たちまち爆笑に包まれた。
「そ、そんなに笑わなくたっていいだろ!」
「王女さまの視線には気づいていたよ。でもそれが、エイモンに、しかも熱い視線って!」
端正な顔をゆがめ、細い目尻に涙を浮かべて腹を抱えるショーンはさらに笑い続ける。
「いや、エイモン、あれは俺のこの太くたくましい腕に向けられたものさ!」
アースキンがメロンのような力こぶをつくる。
「エイモン、それ本気で言ってるのかい?相手はあのアルタリア王国の王女さまだよ?まあ誰に向けられたものであろうと、僕には最愛の人が……」
「何人いるんだ、浮気者さんよ」
「失敬だな、アースキン。私はみな等しく愛すよ」
一人茫然とし続けていたアンリが、マリアの名を聞いてようやく、低く陰りのある声でつぶやく。
「あれが、マリア王女か」
「……ああ、悲劇の王女――マリア=アルタリア様さ」
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