表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/54

乙女の神の世界 地球④ 婚約者

「良かったら、あんたらも改革派に入ってもらえねぇか?」


 隼人にテーブルに額をこすり付けるほど請われたものの、正直悩む。

今、現状改革派が優勢に見えるが、あまりにも人が増えすぎていて、スパイが潜り込んでいるなどの可能性がある。

クシナとナゴの二人に危険なことはさせたくない。

しかし、俺達がここに来たということは、改革派と穏健派のどちらか、もしくは両方潰さなければならない可能性だってある。


 果たして、片方にだけ力を貸してもいいものだろうか。とは言っても、穏健派を容認するわけではないが。


「ねぇ、ぼくからもお願いするよ。力を貸してくれない?」


 美里は、兄隼人の隣で同じく深々と頭を下げる。


「一つ、条件がある」


 俺は二人を試すことに決めた。正直、素直に貸してやってもいいのだが、これは二人の覚悟の確認だ。


「ああ、何でも言ってみてくれ」

「その子を、美里を俺の奴隷として差し出す気はあるか?」


 もちろん、そんな気は全くないのだが、ナゴとクシナ、二人でグングニールを使って俺の後頭部突き刺すのはやめて頂きたい。


「お前っ──!!」

「いいよ。その代わり死ぬまで働いてもらうよ。ぼくは、そんなに安くない」


 二人して、意見が別れた。隼人は俺の胸ぐらを掴みかかり、美里は肯定する。

ある意味、二人の覚悟は見えた。

兄、隼人は妹を守るために、味方になる予定の俺に手をかけようとし、妹は、兄のために犠牲になる覚悟が。


「悪いが冗談だから、その手を退けてくれないか?」

「じょ、冗談!?」


 隼人は拍子抜けして椅子に力なく座り、美里は俺の頬を強く張ると、そのまま家を飛び出てしまった。


「済まないな、どうしても懸念が二つあった為に試させてもらった」

「懸念?」

「一つは、リーダーとして味方を切る覚悟があるかどうかだ。俺は改革派に大量の人が流入していることに懸念を抱いている。俺が穏健派なら、スパイの一つでも放り込むからな」

「それなら、そうと言えばいいのに……」


 ナゴは唇を尖らせて、不満気な表情をしていた。


「もう一つは、彼女、美里自身の覚悟だ。穏健派は、隼人を無力化するために、彼女を再び人質にでも取ろうとするかもしれないからな。その時、たとえ凌辱的なことがあっても自害出来る意識を保てるか、だな」


 と、そこまで話したところで、扉がノックされる。美里ならノックしないだろう。つまり別人、美里のことは他言出来ない為に俺は口をつむった。


「失礼します、隼人さん」

「おう、浩か。どうした?」

「いえ、その、美里さんが凄い剣幕で出てきたので、何かあったのかと……あ、そのそちらは……?」


 (ひろし)と呼ばれた少年……と言ってしまいそうなくらい、線が細く素朴な顔つきの男性で、身長こそあるものの、手足は細長く女性のように括れた腰つきをしていた。

黒くかなりの長髪を一つに後ろで括っている。


「ああ、そうだな。あとで、祐介にも話そうと思っていたのだがな、彼は、今日から改革派に入ってもらったグレンだ。その、美里が穏健派の領域で見つけてきた男でな。美里の婚約者だ」


 俺は思わず首が捻切れるかと思うほど、隼人の方に顔を向けた。隼人は話を合わせろとウインクをしてくる。

男からのウインクほど受け入れ難いものはないが、何となく意図は見えた為に、話を合わせる。


「浩くんだね、宜しく」


 握手を求めると、軽く手を払われる。その目は明らかに嫉妬をしているように思える。そして、俺は浩が美里に気があるのだとすぐにピンときた。


「う、嘘ですよね。美里さんの婚約者って……」

「仕方ないだろ、美里が決めたことなんだし」


 これ、あとで俺が美里に激怒されるパターンなのではないだろうか。

美里には、一応クシナやナゴを奴隷として扱っているわけではないと説明しているが、半ば信用していないみたいだし。


 浩が出ていくと、今度は入れ替わりに美里が入ってくるなり、俺は再び頬を強く叩かれるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ