続々・岩の洞窟5
そろそろ集合時間なので戻ると、なんと俺が一番最後だった。
「揃ったわね」
ロゼがアルコールを付けた布で弓を拭いている。あのマーケットで手に入れたものかも知れない。
「メンテが終わったら、何をするんだ?」
俺が尋ねると、
「さすがにダンジョン奥のネームドモンスターは無理だから、入り口から近いところのヤツを狙ってみようかと思ってるんだけど・・・・」
ロゼは弓の弦をピンピン弾いた。
「なんてヤツだ?」
「一発狙いの錬金術士トムトムってゴブリン」
「変な名前だな」
ここでソフィアが、
「それって、アンタが欲しい錬金術道具のフラスコを落とすヤツじゃないのか?」
とロゼに詰め寄る。
「そうよ」
「それなら糸巻き隠しのモンモンもやろうぜ」
「二体は無理よ」
「なに!」
「同時湧きだし、下の階にはまだ行ってないから、テレポート出来ないし」
「ちっ、まあいいや。三時間間隔でポップだからな」
俺は単純に疑問をぶつけてみた。
「で、勝てるの?」
「まあ、面倒だけど勝てない相手じゃない」
ロゼが答える。
「面倒ってのは?」
「色々なクラウド系の魔法を使うのよ」
「クラウド系とは?」
「その場に毒とか酸とかの雲を発生させて、じわじわ体力を減らす魔法ね」
「そんなものは風でも吹かせて、ふっ飛ばしちまえは良いんじゃ無いか?」
「フィールドならね。でもダンジョンだと拡散して余計被害が広がるわ」
「ああ、なるほど」
「ヒーラーがきちんと対処すれば問題無いわ」
俺はソフィアを見た。
この女がヒーラーとして対処しているところを、俺は見たことが無かった。
「アタシは殴るぜ!せっかくメイスを新調したんだからな!」
そんなソフィアをロゼはため息を付きながら見つめ、
「誰もあんたにヒーラーの期待はして無いわよ。今回は私がアンチクラウドの呪文で対処するから、あんたは体力の減ったメンバーを頼むわ」
「それは勇者の仕事だろう?」
「あんたもやってよ?」
どうもロゼとソフィアの意見は咬み合わない。
嫌な予感がする。いつもの事だが。




