岩の洞窟5
ダンジョンを入って三分ほど経過すると、奇妙なことに気付いた。
「敵がいないぞ」
次の三叉路を右折してみるが、何もいない。
「リポップが遅いのかよ」
ソフィアがイライラしながらメイスを扱く。
「ミケ、この先は?」
ロゼがマッピング担当のミケに聞くと、
「部屋がイッコあって、行き止まりだニャ」
地図用紙に書き込みながら答えた。
盗賊やレンジャーといったスカウト職には、障害物が無い限り、魔法で大まかな地図を察知できる能力がある。
「一応、その部屋に入ってみるか。お宝もありそうだし」
ソフィアはメイスで通路の奥を指示した。
しばらく進むと、木製のドアが見えてくる。
まずはトラップが仕掛けてあるかを確認しなければならないので、ミケがソーっと扉に接近するが、
ガチャッ
と内側から扉が開いた。
「あ、お先に」
中から別のパーティが出てきて、勇者らしき男が俺に挨拶してきた。
「あ、どうも」
狭い通路である。
あとから来た俺たちは通路の脇にどいて、一行が過ぎ去るのを待った。
「よし、こっちも入るか」
俺が後ろを向いて宣言するが、どうも全員乗り気で無い。
「先客がいたんじゃ、中に入っても無駄ね」
ロゼがため息を付いた。
「そりゃ人気のダンジョンだから、仕方ないけどさ」
そう言いながらソフィアが扉を開けて、俺をどつく。
「おっと・・・・」
俺は部屋の何へ強制的に入った。
確かに何もない。
「たからばこがあるよ!」
キララが杖で宝箱の方角を指す。
「どうせ空っぽだろうけど、何か残ってるかも。ミケ、調べてみて」
ロゼにそう言われたミケは、サッと宝箱に近付くと、手早く調査を終えた。
「開けるニャー」
パカッ
宝箱にはトラップも無かったらしく、何事も無く蓋が開く。
「お、宝石があったんだニャー」
ミケが中から宝石を取り出す。
宝石と言っても原石のルビーで、カットしなければ大した価値が無い。
「ルビーか・・・・残りカスにしては上出来と思っとこう」
ソフィアがメイスで自分の肩を叩きながらぼやいた。




