裁縫ギルド3
布の染が終わると、さらし、に入る。
小川に染めた布をさらし、
「これで一時間待てば出来上がりだ」
とソフィアが説明した。
一時間か・・・・長いな。
「お茶にしよう」
ソフィアが提案したので時刻を確認すると、午後三時を少し回っている。
ああ、だいぶ頑張ったな、などと自画自賛していると、キララが腹部をまさぐっている。
この生きているうさぎのぬいぐるみは何をしているのか?
と、良く観察してみるや、なんと腹部にポケットが付いているではないか!
まるでドラえ○んの様だ。
そして、そこから巻き貝の殻を取り出した。
パパラパッパッパーッ
と、俺の耳にはファンファーレが聞こえてきた気がする。
空耳だが。
「みんなにれんらくするよ」
キララはウサミミにそれをねじ込むと、トコトコと小川ほとりに刺さっている立て札に向かって歩き出した。
あれは、さっき俺が確認した小川の区分け標識。
その標識の上に、小さな看板があり、巻き貝マークが書いてある。
これは『携帯電話・可』の標識で、このマークの近辺ならケータイを使っても宜しいわけである。
まあ、ケータイと言っても、分かり易く説明するのに代替表現したので、実際には違うものだ。
種類は何でも良いので、巻き貝の殻を用意する。
中身は当然処分しておく。
水晶を殻の中に挿入して、硅砂を詰め込む。
殻に錬金術で特殊なコーティングをして、釜に入れ、高温で焼く。
冷却したら、冒険者ギルドでアクティベートして携帯電話の出来上がり。
水晶は大型の方が感度が良い。
実際、このシステムは『***シェル』と呼ばれているのだが、某ネットゲームで同じ呼称が存在するので、ここでは単に『ケータイ』と呼ぶ。
人間の使うケータイより、耳の大きいキララのケータイの方が感度が良いので、連絡係はキララが担当している。
ちなみに一般の携帯電話と同じく、マナーや混戦回避の方針から、街中での使用禁止で、指定されたエリア以外送信すると罰金を取られる。
ただし、どこでも受信は出来る。
「れんらくとれたよ」
「良し、ご苦労」
キララとソフィアは、堂々と裁縫ギルドの建物内を横切って行くので、俺もコソコソ付いて行く。
表に出て通りを暫く歩くと、看板に、
『銀のスプーン』
と書かれた喫茶店らしき店舗が見えてきた。




