魔族の娘1
俺とキララが広場の元の場所へ戻ると、メンバー全員が戻っていた。
いや、一人足りない。
「ミケがいないようだが?」
俺が尋ねると、ソフィアが嗤って、
「ミケならそこで寝てるだろう」
と大木の根本を指差した。
・・・・うむ、確かに寝ている。気配を隠しているので気付かなかった。
くるっと丸まった体が一瞬伸びると、ミケはozrの格好からo^rの格好になり、猫のような伸びをした。
「ニャー、よく寝たニャー」
「アンタ、ちゃんと荷物番してたんだろうね?」
ソフィアが詰問する。
「大丈夫だニャー。荷物には指一本触れさせないのニャー」
「じゃあ、今度はアンタが買い物に行っといで」
「合点承知だニャー」
そう言い残して、ミケは物凄いスピードで人混みに消えた。
「マサムネも買い物に行ってきなよ」
ソフィアはそう言うが、別に買うものもない。
「いや、いい」
「そうか、じゃあ、もう一度買い物に行ってくる。食料品とか買いだめとかないとな」
そして、キララを除く三人でじゃんけんを始める。
キララはお留守番だったからなのか、グーしか出せないからなのか、それは聞かないことにする。
「じゃ、マギーが留守番な」
マギーを除く三人は雑踏へ消えた。
参ったな・・・・無口な魔族の女と二人きりか。話すことがない。
ああ、そうだ。
「マギーはギンガナムを知ってる?」
「知っている」
「有名人なのかね?」
「ああ」
「魔族ってのは、何なんだ?」
「もっと具体的な質問をしてくれ」
「じゃあ、魔王ってのは、全魔族を統治しているのか?」
「名目上はそうだが、ギンガナムの様に外れた者もいる。なぜそうなったかは様々だが、多くは派閥争いに敗れた部族の末裔だ。私を含めて」
「派閥なんてあるのか」
「前回の勇者に倒された魔王の家臣は、軒並みリストラされた」
「リストラね」
「人間に与することも無く、同族からは忌み嫌われる。特技を活かして職人と成るか、フリーの冒険者にでもなるか・・・・山賊にでもなるか、それくらいしか道は無い」
「結構厳しいな」
「山賊に落ちた連中の中には、魔王からコソコソと隠れて、小王国を作って独裁政治を敷いている姑息な連中もいる」
「ほう・・・・」
「魔族の誇りを捨てた下賤な連中だ」
「何か恨みでも?」
「私は、そんな山賊の頭の娘だった。だから抜けてきたのだ」
「そうだったのか」
「私は弱い者いじめが嫌いでな。魔王の正規軍には上納金を収めて頭を下げ、弱い者を襲って略奪する。それは許せない」
「ほう」
「略奪するなら正々堂々とやらなくてはいけない」
「は?」
風が冷たくなってきた。




