ミスリルの武具2
「それ似合ってるわね。貰っちゃえば?」
ロゼがソフィアに不穏な提案をした。
「これレベル50の装備だから。試着するなら問題ないけど、正規に装備したらガードにとっ捕まるよ」
ソフィアが否定したので、俺は心の中で安堵した。
「そうだったわね」
「それにさ、これ、マサムネがギンガナムから貰った物だし。マサムネのものだよ」
「義理堅いわね」
「まあね」
「それをタダで貰ったと思ってるのかニャー?」
それまで熱心にニシンのマリネを貪っていたミケが、突然問いただしてきた。
「タダくれたぞ?」
鎧を脱ぎながらソフィアが答える。
「甘い甘い、甘すぎて虫歯が出来てしまうニャー」
変な喩えだ。
「いいかニャー。この世界の鍛冶屋の16%がギンガナム流なのニャ」
ほう、そうなのか。
「弟子は売上の1%から3%を師匠に上納しているのニャ」
アコギだな。
「これだけ大人数の中で、売出し中の勇者に無料で武具を作る、なんてのは単なる宣伝なのニャ」
そうかもな。
「さすがは名匠ギンガナム、太っ腹、さすがだニャンて印象付けたのニャ」
ふむ。
「益々ギンガナム流の名声は高まって、弟子になりたがる入門者続出なのニャ」
ほう。
「それに、どうせ作ってもらうならギンガナム流に頼もうとする冒険者も増えるのニャー」
なるほど。
「これによって売上増5%とすると、ギンガナム個人の1日の収入は700万ゴールドに達するのニャー」
1日7億円の収入かよ!
「流派全体の好感度アップの効果を考えると、たかだかセットで2万ゴールドの出費なんて、ヘノヘノカッパなんだニャー」
このセットで200万円するのか!
「相変わらずこのコはバカなのか利口なのか判らないわね」
ロゼが感心と疑念が綯い交ぜになった表情でミケを見る。
「金が絡むと、とたんに鋭くなんだよ、コイツは」
そう言いながら、ソフィアはミケに何かを投げて渡した。
レジャーシートを畳むとあんな感じになるな。
ミケは受け取ったレジャーシートのようなものをパッパッパッと広げる。
寝袋だったようだ。
ミケは袋の一方から中へ入り込むと、中で体を反転させて、顔だけ出した。
そしてそのまま寝てしまった。
「アイツのお気に入りが壊れたんで、新しくもらってきたんだ」
ソフィアが芝生に腰を下ろす。
俺も適当に座ってメシを食おうとしたが、『大きな袋』に大夫ゴミが溜まってしまっていた。
「ゴミを捨ててくる」
「あそこの木の下に公共のゴミ箱がある。そこに捨ててきな」
と言って、ソフィアは俺に自分のゴミを渡した。
ちっ、パシリか。
俺は言われた通りゴミ箱へ向かう。
何だ、普通のゴミ箱だな。
ビール樽みたいなのが10箱並んでいる。
「これは!」
そのゴミ箱に使われているゴミ袋こそ、ミケが包まっていた寝袋に違いなかった。




