城下町1
城門を潜るとそこは城下町だった。
・・・・想像していたよりも狭い。最初に広場でもあるのかと思ったら、渋谷のスクランブル交差点よりも狭い空間があって、そこから道が左右に別れ、城壁に沿いながら続いている。
城は真正面の小高い丘の上に見えるんだが、正面には宿屋が構えていて、真っ直ぐには進めない。
まあ、城まで真っ直ぐのメインストリートなんてあったら防衛上問題があるよな・・・・
ということは、左右どちらかに進むわけだが・・・・左か。宿屋の脇に矢印の看板がある。
うむ・・・・そう言えば腹が減った。
空腹を感じるということは、やはりここが現実なのか・・・・いや何か食おう。
俺は腰の頭陀袋の中を調べた。
金銀銅と硬貨があるから、食費くらいなら問題ないだろう。
道の両脇には露天が連なっている。
食い物は・・・・食品は果物と生野菜、あと生肉と言うより食用の動物を売っている。
果物・・・・あれは紛れも無くリンゴだ。
「おばちゃん、リンゴ」
俺は銅貨を一枚差し出した。
「あいよ」
おばちゃんは銅貨を見ると、籠にリンゴを5つほど詰めて俺に渡した。
「籠は?」
「サービスだよ」
「あ、ありがとう」
こう言ったマーケットでは、オヤジの塩辛声ってヤツが響いているのがお約束なのに、売り子はおばちゃんばかりで、たまに手伝いの若い娘や子供がいるだけ。
男の姿は無かった。
俺は道端に寄って、リンゴを齧った。
・・・・酸っぱい・・・・
そう言えば、ヨーロッパのリンゴは酸っぱいので、砂糖を入れたジャムやらアップルパイに向いている、とか何かで見たことがあった。
これは頭陀袋に入れといて・・・・
お、ソーセージを売っている。
ここはドイツ語圏、のはずらしい。
ドイツと言えばソーセージだろう。
しかし・・・・俺の知っているソーセージとはだいぶ違うものが売られていた。
「そのソーセージ、そのまま食べられますか?」
俺の質問におばちゃんは、
「あんた勇者だね」と俺の面を繁々と見て「ま、食べられるけどね。一本で二リッターの水を飲みたくなるだろうけどさ」と言った。
この時代、冷蔵技術も無ければ保存剤も無い。
塩をたっぷり入れて保存が効くようにしているって訳だろう。
「何か食い物にありつける所は?」
俺の質問におばちゃんは宿屋を指差して「あそこで頼みな」と指摘した。




