魔族の名匠1
キララは、
「わたあめ食べたい」
と去ってしまったので、俺とソフィアは地面に降る。
「前に行ってみよう」
ソフィアは俺の腕を引っ張って、かなり強引に人混みを掻き分けながら前進した。
最前列に出る。
出た瞬間、人間国宝ギンガナムと目が合った。
「ほう、勇者とは珍しい」
彼は良い声で俺に語りかけてくる。
「えーと、勇者って大量生産されているんじゃ・・・・」
「ここは中級者の街だからね。あまり勇者は居ないんだ。周りを見給え」
ギンガナムに言われて、俺は周囲を観察する。
確かに勇者は見当たらない。
「いませんね」
「昔は結構な勇者が居たのだけれど、最近はここまで辿り着く勇者の数も減ってしまってね。今では深刻な中級レベルの勇者不足なのだよ」
ああ、これはところどころでよく聞く話だ。
「レベルの高い勇者って、どんな人なんですか?」
俺はなんとなく訊いてみた。
「もう常連客しか残っていない。ここまで確固たる信念と強固な使命感で挑んだ彼らも、最終決戦でリタイアすることが多い。魔王を倒せないのだ」
「それほど魔王は強いんですか?」
「どうかな?私は実際の魔王に会ったことは無いからね」
「でもあなたは魔族・・・・」
ソフィアに肘鉄をされた。空気読めって事だろう。
「そう、私は魔族だが、全ての魔族が魔王の配下という訳では無い」
俺がうーん、と首をひねると、ギンガナムは俺の目をじっと見て・・・・心の中を見られた感じがする。
「君のいた世界にアメリカ合衆国と言う国があるね。そこの大統領は大きな権限を持っているが、君にとっては外国の指導者で、彼に忠誠心など無いだろう。それと同じだ」
ああ、なるほど。外国の魔王なのか。
わかったようなわからないような。
とにかく魔族も一枚岩では無い事だけはわかった。
「君は高レベルの武具が欲しいようだね?」
「あ、はい」
「フフフ・・・・使いこなせるかな?代金は要らないので、君にレベル50相当の武具を作ってあげよう」
これはラッキー!
「お願いします!」
俺は四の五の言わず、ギンガナムの提案を了承した。




